見出し画像

ヨーロッパ文化教養講座(NHK歴史探偵+BSスペシャル 皇帝ネロの黄金宮殿)

2023/05/02
先日、NHKの「歴史探偵」で「皇帝ネロの黄金宮殿」の紹介があり、その完全版がBSであった。

上記の写真は、小生が、2006年6月にローマに行ったとき、黄金宮殿(ラテン語で、Domus Aurea)を覗いてみた。 修復中のため入れなかった。

何故ここを知ったかといえば、小生の人生に最も影響を与えたと言っても過言でない、塩野七生氏の「ローマ人の物語」の編集部が作った塩野七生「ローマ人の物語」の旅 コンプリート・ガイドブック (新潮社)に紹介されていたからである。

「ローマ人の物語」を歩く4つのコースの中の一番最初のコースに紹介されている。

ネロの黄金宮殿
(99年6月、約20年ぶりに入場が再開)
●開場:9時から19時
●料金:1万リラ(要予約)
#リラの時代!

 紀元64年、ローマは大火災に見舞われ、その市街の大半を失った。復興計画として<ネロが考えたのは、ギリシア人が「アルカディア」と呼んでいた緑豊かな理想郷を、ローマの都心部に再現しようとする試みであったのだ。それが、パラティーノからエスクィリーノに至る50万平方メートルもの土地すべてを使った、「ドムス・アウレア」の建設であった。(ローマ人の物語 第7巻459ページ)>
 しかし、建設は皇帝ネロの死によって中絶し、のちの皇帝は地上部分を破壊して浴場や神殿を建造したために、残ったのは地下の一部分に過ぎなかった。これが改めて発見されたのは16世紀のことで、「グロッタ(洞窟)」と呼ばれ、独特な壁面模様に由来する「グロテスク」という言葉を生み、ルネッサンス期の画家に大きな影響を与えた。また、「ラオコーン像」などもここから見つかった。しかし、今では壁面の損傷が激しく、独特の紋様は褪色してしまっている。近世以降、遺跡保護がなされるまでのダメージがもっとも痛手だったようだ。

塩野七生「ローマ人の物語」の旅 コンプリート・ガイドブック P25,26から 新潮社

太字の部分は、「ローマ人の物語」からの抜粋。

コメントと感想:
1.上記では、黄金宮殿のスケールを50万平方メートルと記載してあるが、「歴史探偵」では、確か60数万だったので、調査が進んで規模がもっと大きいことがわかったと思う。

2.皇帝ネロの評価は、
1)一般的にキリスト教側から見れば、極悪人。

2)「歴史探偵」から見れば、天才的政治家だったが、抵抗勢力の元老院に嵌められた、可哀想な皇帝。

3)塩野七生氏から見れば、
<皇帝であったことさえ忘れるなら、ネロは、奇抜なことをやってくれる愉快な若者だった。。。善政はしたのだが、それが持続しなかっただけである。とはいっても、持続する意志とは、リーダーには不可欠の要素ではあるのだが。(第7巻489ページ)>

小生は、クリスチャンではあるが、1)も2)も極端だと思う。
塩野七生氏に賛成

3.「歴史探偵」では、八角形の間の移動食堂の謎や、同じ時代のポンペイの庶民の生活など、政治史としての歴史だけでなく、生活史もとりあげられていて興味深かった。
まだまだ、これから発掘が進むのだろうから新しい発見もあるのだろうと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?