ヨーロッパ文化教養講座(イギリス映画「レ・ミゼラブル 2012映画版」録画鑑賞記)
2023/07/08
WOWWOWのミュージカル映画特集でBDレコーダーに残していた最後の作品。
コメントと感想:
1.小生は、2007年ごろヴィクトル・ユゴーの原作を読み、
その後、NHK海外ドラマで放送された、2018年のイギリスのテレビドラマシリーズで感動し、今回のミュージカル版も改めて感動した。
2.本作品で、感銘を受けたシーンは、
1)コゼットが預けられていた、いかがわしい宿屋テナルディエ夫妻の娘エポニーヌが、愛するマリウスを政府軍の銃撃から守るために犠牲になるシーン。
エポニーヌは、マリウスがコゼットと愛し合っていることを既に知っていたが、マリウスの幸せのために自分の命を捧げた。
同じヴィクトル・ユゴーの戯曲をベースに作られた、ヴェルディの名作オペラ「リゴレット」でも、主人公の道化師リゴレットが、愛娘のジルダの純潔を主人であるマントヴァ侯爵に奪われたことを恨み、殺し屋を雇って暗殺しようとするが、それを知ったジルダがマントヴァ侯爵の身代わりに殺される。
いずれのシーンも、自分の愛する人のために犠牲になるという、「アガペー」の愛をユゴーは表現したかったのではないかと小生は解釈している。
2)ジャン・バルジャンを執拗に狙うジャベール警部が、反政府勢力の学生たちに捕まったが、ジャン・バルジャンは彼に「あなたは任務を果たしただけだ」と言って逃がす。
これは、典型的な「赦し」の行為だと思った。
そして、ジャベール警部は自殺してしまう。
ジャベール警部は、自分が信じる正義のために公権力を司って治安維持に一生を捧げてきた。そして、自分の信じる悪党である、ジャン・バルジャンに赦されしまう。
また、自分の正義の源である権力側=政府軍は、弱き学生たち、特に、反政府勢力のこども、ガブローシュをも無残にも殺してしまう。
ジャベール警部は、自分が信じていた権威に対する信頼を無くし、自分の存在が無くなったように感じたのだろう。
ここで、神へ身を委ねることができたら、彼も救われたのかもしれないが、彼は神に対する最後の裏切り、すなわち、自分で自分を裁く、自殺をしてしまった。
3)言うまでもなく、銀の燭台をジャン・バルジャンに与えたミリエル司教の行いは何度みても感動する。
この行為を行う時のミリエル司教は聖霊に満たされていて、その聖霊の働きにより、ジャン・バルジャンが回心したのだと、小生は解釈した。
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