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ヨーロッパ文化教養講座(NHKBS 「ザ・プロファイラー ヒトラーが憧れた独裁者 べニート・ムッソリーニ」鑑賞記)

2024/01/20
ファシズムと言えば、ヒットラーを連想するが、ファシズムの由来はイタリアの独裁者ムッソリーニ。
普段あまり取り上げられないムッソリーニの人生をわかりやすく語った良い番組だった。

イタリアの独裁者ムッソリーニ。個人より国家を優先するファシズムを推し進め、熱狂的人気を得た。しかし、ムッソリーニに憧れたヒトラーとの関わりが、破滅をもたらす…

「その狂気のような情熱こそが、独裁者を独裁者たらしめるのだ」イタリアの独裁者ムッソリーニは語った。第1次世界大戦後、自由や人権を無視する全体主義、暴力もいとわない政治運動ファシズムを展開し独裁者となる。
「ローマ帝国の復興」をスローガンに熱狂的人気を得るが、ムッソリーニを尊敬するヒトラーとの出会いで運命が変わる。ムッソリーニの狂気がヒトラーの狂気を呼び、ヒトラーは第2次世界大戦を始めてしまうのだ…

出演者
【司会】岡田准一,【出演】井上咲楽,高橋進,パンツェッタ・ジローラモ,【語り】笠間淳

NHKホームページ等

感想とコメント:
1.ムッソリーニは、成績は抜群だったが、寄宿学校にいた10才のときに、逆上して上級生をナイフで傷つけ、退学になるくらいの短気な性格だったそうだ。

2.父の影響緒あったかは不明だが、共産主義者になる。
彼を変えたのは第一次世界大戦。
この当時の共産主義者は、世界の共産主義の連帯を訴えていたので、ドイツやオーストリアの共産主義者が自国のために、ロシア、イギリス、フランスと戦うということを決めてしまったことに幻滅する。

3.第一次世界大戦にイタリアが参戦することになり、ムッソリーニも戦場へ。戦場の塹壕の中は、貴族も平民も区別無くイタリアのために戦っていた。イタリアは戦勝国にはなったが、戦死者も多数出て得たものは少なかった。

ファシズムの語源である、イタリア語のfascio(束)は、ラテン語のファスケス由来し、古代ローマの執政官の権威の象徴だったという。
このファスケスは、斧の回りに短杖を(束ねた)もので、束ねると簡単には壊れない。(毛利元就の三本の矢と同じ)

ムッソリーニは、統一されたばかりで、弱小国だったイタリアをローマ帝国のように偉大にするのだということをスローガンに、貴族も平民も国民全体を束ねていこうと思った。
そのためには、暴力の行使も厭わないということで、第一次世界大戦に賛成した元兵士を中心にファシスト党を立ち上げた。

4.このファシスト党員(黒シャツ隊)を率いて、ローマ進軍というクーデターをおこす。
クーデターの成功には、イタリアの正規軍が邪魔をしないということが必須だった。当時の最高権力者、イタリア王のヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は、ムッソリーニを支持し、組閣を命じた。

このとき、イタリア王がムッソリーニを支持したために、第二次世界大戦後、国民投票によって、イタリア王家は国外追放になり、イタリアは共和国となる。

5.ムッソリーニは、ゲストの高橋進氏(ファシズム研究者)によると、単純で衝動的、直感的人間だったそうで、最大のミスは、ヒットラーと同盟したこと(鋼鉄協約)だとのこと。
ヒットラーの方が、政治家としては能力が遙かに高かったようで、ムッソリーニは最後はヒットラーのいいなりになった。
連合軍がシチリアに上陸して、ムッソリーニは、あっさりと降伏するが、それをヒットラーが許さなかったため、ミラノでヒットラー傀儡政権を率いて、南部にいた連合軍と対峙する。
そのため、イタリアは内戦となり、イタリア人が殺し合うという悲しい出来事が起こってしまう。

6.ミラノ政権が崩壊後、スイスに逃げようとするところを、民衆に捕らえられ、ミラノで処刑された。(明智光秀の最期を思い出す)

7.ルネッサンスが、ローマ帝国の文化の復興だとすると、ムッソリーニは、ローマ帝国の覇権の復興を意図したことになるが、そのような誇大妄想的な夢は実現するはずもなく、悲惨な最期をおくってしまった。
誇大妄想の3国(ヒットラーのドイツ、ムッソリーニのイタリア、帝国日本)が敗れるのは歴史の必然かなと思う。

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