「みずつき7」より好きな歌

千原こはぎさん編集、合同短歌集「みずつき7」に今年も参加させていただきました。

(「みずつき7」はこちらから)
http://kohagi-orz.jugem.jp/?eid=2385

今年で三年続けて参加したことになるのかな?なんだか一年があっという間です。

昨年の「みずつき6」からは十首を引かせていただいたのですが、
(https://note.mu/scope_scape/n/n37e4a009563d)

今年も選をしようと思ったところ、これは多いな……となりまして、せっかくですし十七首を紹介させていただきます。

まよなかのお湯に浸せばわたくしのどこかにしみる傷口がある
/有村桔梗

ヤクルトはみんなの希望そうやって育ってきたのつらかったでしょう
/井口可奈

耳がもう音を拾おうとはしない産毛のひとつひとつが濡れる
/泳二

君が昨日指を浸していた水を加湿器で霧状にしてゆく
/小野田光

安いから買ってきたのに深みあるコクやらキレを誇るコーヒー
/工藤吉生

思ひ付く限り愛されしこの指が粉末スープに湯をぶちまける
/笹谷香菜

ひとまえでなくのはいやだ この駅の中には個室トイレが六つ
/田村穂隆

朝焼けは決してふたりのためでなく例えばシーツのタグを照らして
/chari

感情は法定速度を守りつつ雨たんたんとはじくワイパー
/橙田千尋

テーブルのペットボトルの紙コップななめのままに了承される
/穂崎円

もしかして哲学だったかもしれぬ林檎が裂かれジュースにされた
/松岡拓司

水滴をグラスについた水滴を汗に例へし矢沢永吉
/本田葵

透明な飲み物ばかり選ばれる春のセクハラ防止委員会
/深影コトハ

H2OのOです、月刊の少女漫画で夢見ています
/森川 晴

雨だとは気づかなかった。夏ですね、もいちど月を蹴飛ばしてみます
/山上秋恵

梅雨空にシーラカンスの降ることを夢想してゐる古書店の隅
/山川築

味がないことがわかって飲む水のようにみんなと握手しましょう
/山川創

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