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たぶんなんたる星の人。短歌

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最近の記事

お知らせ:『そしてくりかえせ』について

短歌連作と掌編小説の個人誌『そしてくりかえせ』につきまして、2017年11月に製作してから、一度の増刷を経て今まで一年半のあいだ販売してきましたが、残り部数もごくわずかとなりました。 以降の増刷は今のところしない予定でおります。この機に購入ご希望の方は私宛にご連絡いただければ、どなたでも対応いたしますので、ぜひともよろしくお願いいたします。 メール:szkms19★gmail.com(★は@です) TwitterのDMでも対応いたします。 価格:一部400円+送料180

    • 「みずつき7」より好きな歌

      千原こはぎさん編集、合同短歌集「みずつき7」に今年も参加させていただきました。 (「みずつき7」はこちらから) http://kohagi-orz.jugem.jp/?eid=2385 今年で三年続けて参加したことになるのかな?なんだか一年があっという間です。 昨年の「みずつき6」からは十首を引かせていただいたのですが、 (https://note.mu/scope_scape/n/n37e4a009563d) 今年も選をしようと思ったところ、これは多いな……となりま

      • 千原こはぎ歌集『ちるとしふと』を読む

         千原こはぎさんが先日出版された歌集『ちるとしふと』。  ご本人による装丁・挿画が綺麗で可愛らしい。 こはぎさんの歌は概ね平明で、すっと入ってくる読み易さがあるのだけれど、その中に込められた感情の深さというのが非常にあって、それは普段の歌からも勿論、今回初めてらしい職業詠にもよく出ているように思えた。   タブレットドライバはいつも不機嫌で慣れた手順でまずはなだめる   十月の本屋に積まれるわたしの絵 年賀状素材集の隅っこ   声すらも知らない顧客 四度目のメールの語

        • なんたる星1月号連作 加賀田優子『よわいつよい』を読む 〜たべてつよくなる〜

          ROAD TO 2020! (特に深い意味ないけど皆頑張ろうぜ、という意味) 今回は、なんたる星1月号の連作 加賀田優子『よわいつよい』について述べていきたいと思います。 なんたる星1月号はこちら http://p.booklog.jp/book/119652 帰る気がないのに家をめざしてる道のとちゅうの街灯の数  帰りたくなくても家に行くしかないという状況というのには思い当たるところがあって、個人的なことを言えば、親兄弟と住んでいた頃にも、独り暮らしをしていた頃にも

        お知らせ:『そしてくりかえせ』について

          なんたる星2017.8 ナイス害『#tanaka』を読んで 〜何回田中と書けばいいのか〜

           田中という個人をモチーフにした連作、というと辻井竜一氏の「総務課の田中」という傑作が真っ先に思い出されるのだが、あの田中は一貫した指向性を持つ田中なのに対して、この田中は複数のイメージを総称するために名付けられた田中、のように見える。前者が「こういう奴がいて、それが田中という奴なのです」だとしたら、後者は「例えばこういうことやこういうことがあったんだけど、それは全部田中なのです」ぐらいの違い。  田中という固有名詞には、「ごく一般的な日本人」というアイコン的な用法があって

          なんたる星2017.8 ナイス害『#tanaka』を読んで 〜何回田中と書けばいいのか〜

          なんたる星6月号 はだし「それから、それから」を読む 〜たぶん誰にでもある「それから、それから」の話〜

          はだしの連作「それから、それから」について。 (連作はこちらから読めます)
http://p.booklog.jp/book/115205  この連作は、タイトルが中盤で現れるという構成になっている。前半と後半でタイトルを境にして雰囲気が一変するのがこの連作の特徴と言えるだろう。 鳩時計もらった人が車のなかで考えてること、わかるよ  記念品を贈り合うようななんらかの集まりがあったのだろうか。宴席を後にして、おそらくはひとりで帰途についているであろう時の、心の声。  鳩時

          なんたる星6月号 はだし「それから、それから」を読む 〜たぶん誰にでもある「それから、それから」の話〜

          「みずつき6」より十首選

          千原こはぎさん主催の「水」をテーマにした合同短歌集「みずつき」に今年も参加させていただきました。 http://kohagi-orz.jugem.jp/?eid=2363 その「みずつき6」から、十首選をしています。 舌裏についたパブロンすすぎたくいつもより多く飲むはるのみず/岩田あを まずいねと囁き合へばきらきらとしば漬けチャーハンひかりを帯びて/門脇篤史 盗まれる傘はいつでもぼろぼろで雨が雨を叩いている道/金子りさ すれ違う人に睨まれながら行くあなたが忘れた雨

          「みずつき6」より十首選

          落ちる!崖ミシュラン

          5つ星(即死)

          落ちる!崖ミシュラン

          なんたる星8月号 迂回「初夏、柵と錆」を読む

          まだまだ暑い折ですが、さめないうちに迂回の連作「初夏、柵と錆」を評してみたく。 季節、特に夏を題材として考えるのは基本のやり方であり、表現がしやすい反面、匙加減によってウェットになり過ぎるきらいがあって、僕個人はなかなかに扱いにくいものだという考えがあるのですが、そこに敢えてメスを入れていくような連作だなと。 夏というテーマには、なんだか青春めいたものだったり懐古的な表現がぴたっとはまりやすくて、それが何故かは想像でしかないのですけど、やはり子供あるいは学生の頃に経験して

          なんたる星8月号 迂回「初夏、柵と錆」を読む

          恋をしている「ひかりのくに」評

          こんばんは! さて、今回はなんたる星のスーパー編集長こと恋をしているの「ひかりのくに」を評してみたいと思います。 http://p.booklog.jp/book/103870/ ・・・・・ この連作は通読することで、はっきりとした物語として描かれているのがわかります。主体がロボットを手に入れ、そのロボットに恋心を抱く。そこにキーとして現れる「光」。奇妙さとせつなさがこれ以上ないようなバランスで合わさっている、そんな作品であると感じました。  白鳥の交換シティー 白

          恋をしている「ひかりのくに」評