見出し画像

身も心もヘトヘトになった約2時間。焦ったり感謝したり学習したり。

昨日、我が家の高3女子は、漠然と希望する大学のオープンキャンパスに参加するため東京に行ってきた。

松本から東京は、大抵は新宿行きのあずさか高速バスの2択。
今回は日帰りで時間に余裕がなかったので、あずさで行くことにした。
JR東日本のえきねっとで早割のチケットを購入するのがお得だけど、八王子で下車したかったので、えきねっとの割引が使えず、みどりの窓口に行き学割を使うことにした。

1週間ほど前に、本人がみどりの窓口に出向き、チケット購入。
学割よりも安いプランがあったので、そちらを選んだ、との事だった。

忘れ物がないか確認して、私が車で駅まで送った。
我が家から松本駅までは車で20〜30分の距離。
最寄りの駅から松本駅まで、毎日電車通学していることもあり、駅にも慣れているので、さほど深く考えずに「行ってらっしゃい」と駅前で娘を下ろし、私は家に引き返した。


5分くらい走って、そろそろあずさに乗ったかな〜、などと考えていると、娘から着信。すぐに車を止めて電話に出ると、「電車に乗れない。乗車券がないと乗れないって駅員さんに言われた。」と。
電車の出発までは残り10分ほどで、みどりの窓口は長蛇の列でとても無理だし、乗車券の買い方が分からない!どうやって買うの〜???
乗車券らしきものを持っていたけど、乗車券じゃなかったのか?意味が分からないのと、時間が来たら電車が出てしまうというタイムリミットに焦ってしまい、とにかく近くの駅員さんに聞け、と言った。

今思えば、この時点で私が焦らずに落ち着いた対応が出来ていたら、おそらく事態は大きく違っていただろう。

娘は、自動券売機で八王子までの往復乗車券を購入し、その乗車券で自動改札を通り、あずさに乗った。
心配している私に、すぐにまた着信が・・・。
「大丈夫?乗れた?」
「乗ったけど、もっと大変な事になっちゃった・・・」

「特急券、失くした・・・。」

駅の券売機で乗車券を買った時に、多分すごく焦っていたせいだと思うけど、特急券をその場に置いてきてしまったのだ。

「ホントに、ホントにないの?」
「ない・・・」
さっきまで半泣きだった声が泣き声になっているようだった。

娘に、あずさの車掌さんに事情を話すように指示して、私は松本駅に連絡する事にした。車掌さんが言うには、チケットの紛失は買い直してもらう事になると、まあ当然そうでしょう。
駅の電話は”大変混み合っているのでお待ちください”ばかりで埒が明かず、私は家に着いてしまったけど、これは行った方が早いと思い、また松本駅に向かった。


松本駅の駐車場に車を止め、改札に走った。
3連休の初日で、「置き忘れた」という券売機には大勢の人が並んでいて、見たところ、娘の特急券は残っていなかった。
人がいる改札は混んでいて、順番が来るまで気が急いた。
松本駅の職員の方に事情を話すと、少しお待ちくださいと言われたのち、なんと!奥から特急券が一枚出てきた。
「それらしき物が一枚届いております。」

購入した日付や、帰り分のチケットの座席番号などから、その一枚が娘のものであるという証明ができて、走行中のあずさにも連絡してくださった。

私の携帯電話から娘に、松本駅の方がこの後の一連の手順を説明してくれて、やっと安心して席に座ることが出来た。
今までのところ、”無賃乗車のような人”なので、席に座るのは気が引けて、デッキに立って乗っていたのだった。


娘のチケットを届けてくださった方は、おそらく券売機に置き去りになっている特急券を見つけて、改札にハイっと届けて行ってしまわれたのだろう。
どなたが届けてくださったのか把握できておりません、との事だった。
私としては本当に「ありがたや〜、ありがたや〜」と手を合わせて拝みたいくらいに有り難かったし嬉しかった。

新聞の投書欄に、時々「助けてくださった方にお礼を」と言うような文章が載っているけど、まさにそういう気持ち。お礼が言いたいけど、どなたか分からない。


私がようやく家に戻った頃、娘は八王子に着いた。
2時間くらいの間に、とても色々な事件が巻き起こって、私もまだまだだなぁ・・・と、思うのと同時に疲れがドドーンとやってきた。


そして、なんと、娘は乗車券を最初から持っていた。乗車券が松本→八王子ではなく、東京周遊パスのような表示になっていたため、分からなかった。いつもは定期でピッと改札を通過するだけで、特急に乗るのは初めてだった。
娘の兄は、こういう時に全く手がかからない少年だったので、何となく私もそれに慣れてしまっていたのだ。
考えてみれば兄の方は、鉄道オタクで中学から電車通学の上、高校3年間は鉄道研究会だった。
「しっかり者の兄と、その妹」ではなく「鉄オタと一般人」だという事に私が気が付いていなかった。

私が改札まで送れば、この事件は起きなかった。


松本駅の方が、二重に購入した乗車券の払い戻しまで手配してくれた。対応してくれた方にお礼を言い、車掌さんにお礼を言い、娘は私にもお礼を言った。
落とし物が返ってくる国、日本て本当に素晴らしい。

今回受けた恩は、別な誰かに必ず返すと心に決めて一件落着。


しかし、オープンキャンパスで上京する練習もしたようなものだ。
これがもし受験の日だったら、と考えると空恐ろしい。
今回のことで、とても多くを学んだから、受験の日は時間に余裕を持って、焦らずに行けるような気がする。



「今日はごめんなさい」と娘がお土産に買ってきてくれたデザート



「今日はありがとうございました」と娘がくれたポムポムプリン











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?