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日本のルールと在留外国人

こんにちは。いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。S.C.P. Japanの野口です。今日は、最近ずっと気になっていたんだけど、自分の中で勉強不足が否めず、理解できていなかったことを、自分の勉強や情報の整理もかねて書いてみようと思います。(事実誤認あればご指摘いただけますと幸いです。)

日本の中の人権問題でもっと注目が集まるべきなのに、それほど大きな話題になっていないなと思っていた、「在留外国人」の問題です。

今国会において、入管法改正案が議論されようとしていました。これは、すごくかみ砕いて簡単に言うと、在留資格のない日本に住む外国人が日本に住むことができるのか、住むことができないのか。住むことができるのであればどうしたら住むことができるのか、また、どういう人が自国に強制送還させられてしまうのか。ということが決められている法律です。

今回の改正案の議論のポイントは以下の通りです。

■難民認定申請中は強制送還の対象外なのですが、今回の改正ポイントでは、3回目の申請中は強制送還が可能になってしまう。

■不法滞在をしている外国人は日本の入館管理局管轄下の収容施設に収容されるのですが、収容されるか否かの判断に裁判所が関わらないことになっている。また、収容期限も定められていない。

■逃亡の恐れがない不法滞在者が弁護士や支援者からの監督を受けながら、施設外で暮らすことができる人権措置が設けられていない。


上記のようなポイントが論点としてあげられていますが、「出入国在留管理庁」はこれらの論点に対して回答をしているます。その回答はこちらからご覧いただけます。

Q&Aを読んでいると、いろいろとどういうことなんだろうか?と疑問に思うことが沢山でてくるのですが、、私がとりわけ気になったポイントは、Q3の「なぜ、日本からの退去を拒む外国人を退去させなければならないのですか?」という部分です。回答によると、、、

強制退去となる外国人は、日本のルールに違反し、日本への在留を認めることが好ましくない外国人である。日本人も、ルールを守って生活する他の外国人も、日本国内で安心・安全な生活を送れなくなることにもなりかねない。日本のルールに違反し、日本への在留を認めることが好ましくない外国人は、たとえ本人が退去を拒んだとしても、強制的に国外退去をさせる必要がある。(要約)

確かに、日本に住むのであれば日本のルールに従って暮らせることが一番。それはきっとどの国でも同じだと思います。でも、自国でも自国のルールに則ることで迫害や差別を受ける人が、「難民」として他の国に住むことを望み、そして、その人たちがたどり着いた日本で何らかの理由でルールに従いたくても従えないこともあるのではないかと考えてしまいます。(そんなことは容易に想像できます。)

「日本への在留を認めることが好ましくない外国人」とは誰がどのように定めるのでしょうか?2019年の日本の難民認定率は0.4%に過ぎず、諸外国に比べるとそれはとても低い数値です。(イギリス:39.8%、フランス:19%、アメリカ:22.7%、ドイツ:16%、カナダ:51.2%、オーストラリア:17.3%)

諸外国がこれくらい認定しているのに対し、日本の認定率の低さを考えると、素人ながらに、「日本への在留を認めることが好ましくない外国人」の定義が厳しすぎるのではないか?と単純に考えてしまいます。

この改正法案の議論をしているときに、スリランカの女性のウィシュマさんが収容施設で亡くなりました。不法滞在となっていたウィシュマさんが同居人からの暴力から逃れるために警察に助けを求めたところ、不法滞在が発覚し、そのまま収容となったようです。そして、収容中に体調が悪化したにも関わらず、適切な医療が受けられなかった可能性があるとのことで、収容中の動画をみたいと遺族からの申し出があがっています。しかし、その申し出は未だに叶っていません。

外国人技能実習生が日本に増え、中には不当な扱いによって事業所から逃げている方々もいるのはニュースなどで知っていましたが、致し方なく不法滞在となってしまった外国人を日本はどのように扱っているのか、この5月に起きていた一連のことがきっかけで気になっていたので、自分なりに整理してみました。(遅いですが、、、)

大変参考になった社説はこちらです。

人種や国籍の問題に触れる時、国境という境界線が非常に暴力的に思えてしまうことがあります。2015年の中東からヨーロッパに向かって難民が地中海を渡って逃げていった「難民危機」のニュースを見ながらもそんなことを思っていました。誰かの命を救えない/奪うかもしれない境界線は果たして何のために必要なのでしょう?自国民を守るために引かれる境界線は自国民だけを守ればいいのでしょうか?これだけグローバルにいろいろな人がつながっている時代、自国民とは誰のことを言うのでしょうか?

結局、参政権もなく、しかも日本のルールに背いて不法滞在している人の声に耳を傾けてくれる人は少ないのです。だからこそ、この問題は、日本人が関心を持って、声を上げないと変わらない問題です。

自分のことではないけど、自分のことのように他者のことを思えるのか?多様な他者とともに生きる人生を自分が豊かだと思えるのか?ということが問われている気がします。

「大切にしたい多様な他者」に一人ひとりが出会える場所を小さくてもいいから作り続けたいなと、そんな想いで活動しています。

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