EVOJAPANに向けて、格ゲー勢向けにジョジョASBRを紹介するだけの記事

前置き

2023年のEVO JapanのサイドトーナメントにジョジョASBRが選出されました。
前作にあたるジョジョASBといえばとんでもない炎上をしたタイトルという印象が強く、その続編にあたるASBRに関しても一般的な印象は「あのゲームの続き出たんだ」くらいで、実際のところどういうゲームなのかはあまり知られていない印象があります。観戦モードが存在せず大規模な大会の配信が難しいのもそれに輪をかけているのですが、この度EVO Japanという大きい大会の場でサイドトーナメントが開かれるということで、これはこのゲームを知ってもらうチャンスなのでは?と考え、どちらかというと観戦者の目線多めの記事として書いてみようと思い至りました。

実際どういうゲーム?

本作はタイトルからも分かる通り、「ジョジョの奇妙な冒険」を題材にした対戦格闘ゲームです。キャラゲーとしてのビジュアル面の強さが話題に上がることの多い本作ですが、ゲーム性の面においても、「ある意味とてもジョジョらしいゲーム」になっていると思います。

1.個性と個性の殴り合い

本作には50キャラ以上のプレイアブルキャラクターが実装されていますが、そのほぼ全てに明確な個性や尖った部分が存在します。
総合的な強弱こそありますが、結構な数のキャラに「これええんか?」となるようなハチャメチャ要素が実装されており、対策必須の初見殺し要素も多数存在します。戻りにも判定がある鉄球とか行きと戻りで二回判定ある弾速超早いブーメランとか終わり際までアーマーたっぷりのクソデカ判定タックルとかハイパーアーマーで突っ切ってくる幸運と勇気の剣とかガードしてたら無理矢理ガードブチ割られる空気弾とか発動までに3秒掛かる代わりに射程内に入ってたら完全ガー不回避不能のメタリカとか見えるわけの無い時止めワープとか、あとは老化だの重力だので相手を縛ってハメ倒すとか……

優等生みたいな顔した荒らしゴリラ筆頭ジョナサン君。この尖りっぷりがASBRらしさです
EX技撃ち放題で復活するリザレクションもあるよ!

こういったハチャメチャな部分を押し付けながら殴り合いをするゲーム性はまさしく「ジョジョ」の能力バトルそのものであり、好みは分かれると思いますが自分はここにジョジョASBRの面白さを見出しています。

そういった個性の部分が不思議とキャラクターにマッチしていることが多いのもポイントで、例えば一見波動昇竜キャラっぽい技構成のジョナサンは原作で何度も言及された爆発力を体現するように高い火力と多様な逆択を持っている超絶荒らしキャラになっていますし、原作でも時止めを除いて特殊能力を持たなかった承太郎は「シンプルに攻撃判定が強い」「打撃と投げの単純二択が超強い」という味付けが為されています。
特に秀逸だと筆者が思っているのがDIOで、原作の圧倒的な無敵感と押し切られた時の小物感の両面を反映してか、「判定も崩しも起き攻めも超強い」「代わりに防御面は最低クラスで体力も超柔らかい」というキャラクターになっています。

承太郎はコンボの見た目もパワフル。
吹き飛びすぎて拾えないなら引き寄せればいいストロングスタイル

上で挙げたものは特に目立ちやすいものですが、それ以外のキャラにも「これが通れば勝てるかも」「これが出来たら楽しい」という要素は大なり小なり存在しますし、しっかりとした個性が存在します。

ちょっと特殊な事例であるプッチ&プッチ(最終)を除いてコンパチがほぼ存在しないというのも版権キャラゲーとしては密かに凄い点で、例えば同一人物・同スタンドであるところの吉良と川尻は共通部分がほとんどないレベルの別キャラですし、同じく同一人物である三部四部の承太郎は似通ったモーションこそありますが操作感覚・技構成・立ち回りからコンボまで全く違うものに仕上がっています
これだけ多くのキャラがいながらほとんどのキャラに固有の遊びや楽しさ、強さがあるというのは、このゲーム最大の魅力であると言えるでしょう。

ASBRの追加システムであるアシストも同様にかなり尖った物となっており、相手の攻撃を止めたうえで相手を凍結させるとか、発生保障があってダウンが取れる設置飛び道具を出すだとか、ガー不攻撃がすっ飛んでくるだとか、1ラウンドに多くても二回しか使えない・クールタイムがあり連発出来ないという制限こそ設けられているものの、こちらもなかなかに凄いです。選ばれるアシストにはかなり偏りがありますが、守りが弱いキャラに防御アシを組み合わせて弱点を補ったり、攻撃アシでコンボ火力を伸ばしたりと、アシストの選定はプレイヤーによって割と好みや個性が出るポイントになっているので、そこを見てみるのも面白いかもしれません。

2.「スタイリッシュガード」というシステム

ここまで言及してきたことからなんとなく察していただけると思うのですが、ASBRというゲームは非常に攻めが強烈です。
表裏択は見えないものばっかりだし、アシストガー不はすっ飛んでくるし、中段もえげつないものが多いし……という具合に、根性でガードするにはちょっと厳しいものが多いです。今作追加システムである、ダッシュをしながら跳ぶことでジャンプの軌道が大幅に低くなるダッシュジャンプもそれに拍車を掛けています。
そういった攻めへの対抗策として、本作では「スタイリッシュガード(以下SG)」というシステムが用意されています。大雑把に言うと「中下段どころかガー不も取れる当身」で、成立するとジョジョ立ちをしながら相手の攻撃を避けることが出来、失敗すると甚大な隙が発生します。感覚としては「ソウルキャリバー」シリーズのガードインパクト「GGXrd」のブリッツシールドに近いイメージです。ビジュアルのインパクトもさることながら、対空に乏しいキャラの対空手段バースト対策にもなっており、非常に有用性の高いシステムとなっています。

観戦という視点で見るなら、対戦中時々発生するSGの応酬はこのゲームの見どころの一つです。このゲームの地上通常技はSGでキャンセルすることが可能なため、対戦中はしばしば「どちらかがSGを取って反撃→取られた側がSGでキャンセルし攻撃を取る→反撃をもう片方が再度SG~」という流れのSG合戦が発生します。慣れたプレイヤー同士だと単純なSGの応酬に加えてキャンセル必殺技で反撃を狩るなど様々な選択肢がここに加わりますが、それらを含め「読み合いが行われている」ということが傍目にも分かりやすく、見どころ・盛り上がりどころになりやすい部分かなと思っています。

SG合戦の例

3.ASBRにおける挑発とは戦術である

一般的にはただの煽りとして認識されがちな挑発ですが、ASBRにおいては挑発もれっきとした戦闘システムの一環です。
ASB及びASBRの挑発は、相手のダウン中に挑発を行うことで演出が入り、相手のHHゲージ(超必やプッツンキャンセルなどで使用するゲージ)を減らすことが出来るという特殊な仕様になっています。前作での減少量は微々たるものでしたが、今作ではなんと相手のゲージを1本分減らすことが可能な代わりに、演出付き挑発は1試合に1回のみの制限が付与されています。ゲージの最大量が3であることを考えると、その強力さが分かると思います。
更に、「飛び道具を重ねて演出挑発を行うと起き上がった相手に飛び道具がヒットする」という仕様を使った挑発コンボも前作から健在であり、「どこで挑発を使うか?」ということを考える戦略性が生まれています。

前作ASBから続投している印象的なシステム「挑発コンボ」
相手のゲージを削る効果も大幅強化され実用度がアップしました

4.攻めと守りの両方を担う追加要素「アシスト」

先述したように、ジョジョASBRでは、プレイアブルキャラの中から一人戦闘を補助してくれるキャラを選ぶ「アシスト」というシステムが追加されています。アシストキャラは他のアシストがある格ゲー同様呼び出すことでプレイヤーキャラと一緒に攻撃を行ってくれるほか、食らい中やガード中に呼び出すことでプレイヤーの代わりに反撃を行ってくれる、いわゆるバーストの役割を担っています。
アシストの攻撃方法は千差万別で、単純な物理攻撃、設置技、相手を浮かせるコンボの中継技、相手の攻撃に反応して攻撃を行うカウンターのほか、変わり種を挙げれば相手のダッシュ・技の使用を封印する重力付与やゲージを1本チャージするものなど多種多様なものが揃っています。これだけ個性的なものが揃っている関係上、採用するアシストひとつでとれる戦法が大きく変わる場合も多いため、アシスト選びはプレイヤーの個性が出る部分になっていると言えるでしょう。

また、アシストの使用には回数制限とクールタイムがあり、回数制限はキャラクターによって異なります。「リバーサルの回数を減らしてでもアサルトによるリターンを追求するか」「安定性を取ってリバーサル回数の多いアシストを使うか」という部分も割と個性が出るポイントです。執筆時点(2023年3月下旬)での最新バージョンではアサルト2回リバーサル1回に設定されているアシのクールタイムが短めになる調整がなされており、そういう面でも悩む部分が増えています。加えてアシストのクールタイムはリバーサル・アサルト共有のため、次に触った時のリターン狙いであえてリバーサルを吐かない判断をしたり、アサルトを吐いたタイミングでリバーサルを使って相手の反撃を縛った状態で仕切り直しに持って行ったり……といった具合に「どこで手札を切るか」という判断の重要度が結構高いゲームになっています。SGアシとか受け身アシとか軸アシとかCTガン無視でアサルト吐けるテクが多いのはご愛敬

先述した通りアシストの性能は千差万別ですが、キャラクターの多いゲームの宿命か、実際に起用されるアシストには結構な偏りがあります。恐らく大会等でもこれらのアシストの起用が基本となると思うので、見ることの多い主要なアシストをいくつか紹介します。

よく見るアシスト紹介

ディオ・ブランドー
カウンター系アシストの中でも特に起用率の高いキャラクター。一時期は人気が下火でしたが、クールタイムの調整で2-1アシストを選ぶメリットが生まれたことで復権の兆しを見せています。
使用回数はアサルト2のリバーサル1。アサルトアシストは当て身技で、成立するとなんと相手の膝崩れダウンを誘発します。軸移動中・受け身中にアシストボタンを押すことで無敵を背負いながらクールタイムなしでアサルトアシストを呼び出す「軸アシ」「受け身アシ」と呼ばれるテクニックと非常に相性良好です。
リバーサル1なのは結構痛い弱点ですが、それでも殆どの起き攻めを拒否れるどころか反撃に転じられる驚異的な防御能力はあまりにも強力であり、被起き攻めの暴れが弱いキャラの弱点を埋められるため割と起用率は高めです。

ホル・ホース
アサルト2リバーサル1の設置系アシスト。確定ダウンを引き起こす発生保証付き飛び道具とその後設置される水たまりから放たれる膝崩れを誘発する打撃がセットになった設置系飛び道具です。ディオ同様軸アシ受け身アシとの相性が良すぎるため実際の使用感や用法はカウンター系アシに近いです。
ディオアシと違い時間差で攻撃が発生するアシストであるため様子見された場合でも相手の動きを封じやすく攻めに転じやすいのが魅力です。ディオアシもそうですがこれが最近まで2‐2アシだったの今振り返ってもマジか?ってなります。

東方仗助
かつてのコンボ用アシストの代表格。使用回数はアサルト1のリバーサル2。
現在の採用率はそこそこですが、割とよく見る部類のアシストだと思います一応公式のタイプは「対空」ですが対空に使われることはほとんどない印象です。
ヒットすると相手を浮かせる打撃技で、本来拾えないルートでの強引な拾い直しに使いやすいほか、技自体の火力も優秀
リバーサル回数2回に裏打ちされた生存力の高さも魅力的で、どのキャラとも比較的相性が良いのが利点となっています。以前はアサルト・リバーサル共に使用回数2回で、とりあえず序盤からコンボを伸ばしたい時に使われることも多かったですが、現在は調整でアサルトの使用回数が1に減少したためリーサル圏内を広げる倒し切り用コンボパーツとしての運用が主になっている印象です
現バージョンでも起用率はそれなりに高い印象ですが2‐2アシだった全盛期に比べると弱体化されていることは否めず、似たような用法で使えるジョナサンアシや後述のアヴアシ・シュトロアシに乗り換えている人も多いです。

虹村形兆
追加されたばかりの新キャラクター。アサルト2リバーサル2の設置アシで、触れた相手を真上に吹き飛ばす地雷を設置するアシストとなっています。
設置位置が固定のためコンボに使うにはちょっと工夫が必要ですが、とにかく踏ませたときの単発火力が高いため、立ち回りや起き攻めで置いておくだけでも結構なプレッシャーがあります。
挑発コンとの相性の良さもポイントで、後ちょっとで倒しきれるという状況下でのダメ押し用も兼ねて起用されることが増えている印象があります。如何せん追加されて日が浅いキャラクターのためまだまだ開拓の余地はありますが、比較的起用率の高いアシストとして台頭してきている有望株です。

モハメド・アヴドゥル
カウンターアシと攻撃アシを兼ねた性能を持つ、アサルト2リバーサル2の特殊なカウンターアシストです。
攻撃を受けた場合は即座に反撃し、攻撃を受けなくても一定時間経過で打撃を繰り出す」という点が最大の特徴となっており、カウンタータイプでありながらコンボパーツになる非常に珍しいアシストです。単純にキャラの固め能力や暴れ耐性・コンボ火力が上がるため活躍の幅が広く防御手段としても非常に優秀なため、どのキャラと組ませても腐りにくいです。ちなみにアシスト攻撃終了後は立ションポーズを取ってから去っていきます。なんで?

ルドル・フォン・シュトロハイム
多段技を放つ近距離攻撃アシストです。使用回数はアサルト2リバーサル2。攻撃技自体の威力はそこまで高いわけではないですが、攻撃範囲が広いため攻撃を当てやすく、尚且つ追撃可能なきりもみダウンを誘発するなど、仗助アシ同様にコンボパーツに適した性能をしています。そのため恒常的な火力アップ用途には不向きとなった仗助アシの代案として採用されることも結構あります。
また、どういうわけかリバーサルアシストヒット時の受け身受付時間が異様に短くなっており、リバーサルが通った瞬間受け身ミスからターンが入れ替わることも珍しくないです。バグか仕様かよくわからない受け身の難しさ、2‐2アシであるが故の安定感、全体的な取り回しの良さなど非常に扱いやすいアシストであると言えます。

よく見るアシストの一例はこんな感じですが、重力で機動力を封じてガー不をぶつけるリゾット+康一アシGERをゲージ増加効果で無理矢理延長して維持し続けるジョルノ+音石アシなんかを筆頭に、「広く使われているわけではないけれど特定キャラとのシナジーが激強」という例もいくつかあるため、たまにアッと驚く組み合わせが出てくることもあったりします。そういうプレイヤーの発想力が見られる部分もこのゲームの面白ポイントだと思っています。

対戦風景を見てみたい

ここまで読んできて、「実際のガチ勢の対戦を見てみたい」と思った方もいるかと思われるので、いくつか過去に行われた大会の動画を貼ってみます。

第四回かずのこ杯

恐らく国内だと現状唯一の企業協賛大会です。発売初期に行われた大会ですが、ジョジョASBRの個性で殴り合うゲーム性が分かりやすくオススメです。
あと今や死にかけのナランチャが大暴れしてた時代の貴重な資料映像です

Frosty Faustings XV 2023

ギルティプレイヤーにはおなじみのElvenshadow先生が主催している、アメリカ・シカゴで行われた大規模大会のASBR部門です。やはりこちらも今とはバランスが少々異なりますが、キャラクターが割とバラけておりいろんなキャラクターの動きが見られるのでとりあえず観戦してみたい人はこれ見てみるといいと思います。

KGP in EVO Japan 2023

つい先日行われたばかりのKGP様主催によるサイドトーナメント……の決勝戦を切り出したアーカイブです。この動画のみ単発の試合を切り出したものになります。
ギアッチョVS重ちーという異色のカードで、ASBR史に残るベストバウトでは?と個人的には思いました。
補正切りと差し返し、飛びに長けたギアッチョリソースありきなものの強力な盾と迎撃能力と固めを持つ重ちー、双方の強みを活かした対戦となっており、最初の項で記載した「個性と個性の殴り合い」を体現した試合となっています。
ほかの試合も名勝負だらけだったので全部見たい場合は後述のKGPチャンネルから是非……


上で挙げたものは企業協賛のものや大手運営によるものですが、現在ASBR界隈では週1ペースでユーザー主催大会が開かれており、中には超強豪プレイヤーが他の参加者全員を迎え撃つという変わり種のイベントもあったりします。
現状のASBRには多人数プレマや観戦機能が実装されていないため、なかなか大規模な大会配信を行うことが難しいゲームとなっていますが、ガチ勢が積極的に対戦・大会配信を行っています。また、2023年3月31日にはEVOJapanのサイドトーナメントにてASBRの大会開催が開催され、サイドという位置づけではありますが大きな盛り上がりを見せました。この大会を通して人口が増えてくれないかな……と筆者的にはひそかに期待したりしています。
大会の模様は上述の動画で紹介したものの他にASBR大会主催のKGP様のTwitchチャンネルにてアーカイブが公開されています(以下にリンクあり)


おわりに

ASBR、マジで面白いからやろう!!


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