【声劇台本】075「メロディー・メモリー」

「メロディー・メモリー」
《人物》
星川俊(17)高校2年生。
天野奏(17)高校2年生。

《本編》
奏「タン、タン、タ、タ、タン!」

俊のMO「高校の帰り道。奏はいつものように歌っていた」

奏「タタ、タタ、タン」
俊「奏。それ何の曲?」
奏「当ててみ」
俊「んー。難し」
奏「俊は聴いたことはある。よく知ってる曲だよ」
俊「確かに、奏、よく歌ってるような……」
奏「早く。当てて」
俊「うーん。なんの曲だろ……」
奏「タン、タン、タ、タ、タン。タタ、タタ、タン」
俊「ダメだ。降参!」
奏「正解は。私のテーマソングでした」
俊「はあ!? そりゃ、わかるわけないよ」
奏「まだまだ。私のことわかってないね」
俊「オリジナルソングは難易度高し」
奏「タン、タン、タ、タ、タン」
俊「タタ、タタ、タン?」
奏「正解。でも音痴」
俊「悪かったな」
奏「(口ずさむ)タン、タン、タ、タ、タン。タタ、タタ、タン」

俊のMO「奏のメロディはどこかたどたどしくて。でも。僕はそんな奏が好きで」

奏「俊のオリジナルソング作ってあげようか?」
俊「いいよ別に」
奏「ええとねえ。タタタ、ターン。タタン、タン! こんな感じ」
俊「え。さっきと違う?」
奏「違いますー」
俊「もう1回!」
奏「タタタ、ターン。タタン、タン」
俊「タタタ、ターン。タタン、タン?」
奏「正解」
俊「なんだ難しいな」
奏「私の新しいレパートリーにするから。俊もすぐ覚えるよ」
俊「タタタ、ターン。タタン、タン……」
奏「もう覚えたね」

俊のMO「奏の曲は、きっとこの先、僕の心に、記憶に、ずっと残るだろう。そんなことを考えたら、僕は急に怖くなった。奏と離れる日がくることが怖くなっていた」

俊「タタタ、ターン。タタン、タン。あってる?」
奏「あってる」

俊のMO「奏の隣で。僕はメロディーを繰り返す。夕焼けが僕たちを包んでいた」

(おわり)


今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。