【声劇台本】071「涙なんかじゃない!」
「涙なんかじゃない!」
《人物》
日比谷純くん(17)高校2年生。
三田円花さん(17)高校2年生。
《本編》
日比谷のMO「俺は、見てはならないモノを見てしまったようだ……!」
円花のMO「放課後、誰もいない教室で私は超クールタイプの目薬をさした。くうーっ! 勉強疲れにはこれが一番だ!」
日比谷「三田さん? な、泣いてる?」
円花「え。誰?」
日比谷「日比谷だけど」
円花「ひ、日比谷君!?」
日比谷「忘れ物、取りに来て……」
円花のMO「私はあわてて目をハンカチで隠した。目は、まだ開けられない!」
日比谷「え。なにか、あった? テスト赤点だったとか」
円花「あ、あのね。ただの勉強疲れです」
日比谷「つ、つらいなら休んでも……」
円花「これ、目薬だから。目薬!」
日比谷「そんな風には見えないけど」
円花「どんな風に見えてるのよ」
日比谷「教室で一人で居残りして、天井仰いで、うううって……」
円花のMO「私はようやく、目を開いて、日比谷君を見た。彼は。心配と困惑の表情で私のことを見ていた」
円花「みないでよ……」
日比谷「だって……」
円花「目薬です」
日比谷「そんな強がらなくても」
円花「目薬だって」
日比谷「俺、誰にも言わないし。秘密守るよ」
円花「あー! もう! すっきりしたー!」
日比谷「(動揺して)え……」
円花「ほら。証拠」
日比谷「こ、これ、超クールタイプの刺激強め……マ、マジか!」
円花「私のリフレッシュのお供ですから」
日比谷「俺、やべっ! はずっ! マジで心配して……!」
円花「そんなに心配すること?」
日比谷「んだよ」
円花「あのね。勝手に心配してたのは、日比谷君です」
日比谷「なんでもないなら。とりあえず、よかった!」
円花のMO「彼は急に顔を赤らめたかと思うと、そそくさと立ち去っていった。変な日比谷君」
日比谷のMO「彼女と視線を合わせるのが恥ずかしくて、教室の外にあわてて逃げ出してから気づく。あ、忘れ物、取り忘れた!」
(おわり)
今後の執筆と制作の糧にしてまいりたいと思います。