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《14》産廃処理業界の事例(石坂産業㈱)

 業界別のSDGs事例紹介。今回は「産業廃棄物処理業」の事例をお伝えします。

 今回ご紹介するのは、埼玉県にある石坂産業株式会社

https://ishizaka-group.co.jp/


 1964年の東京オリンピック後にゴミが町中にあふれる状態を見た先代の社長が「資源を再生する仕事に取り組みたい」という思いで67年に創業されました。

 しかし、90年ごろからダイオキシン問題が社会で認識されるようになり、同社のゴミ処理場も稼働への反対運動が起こり、地元から大きなバッシングを受けて公害調停や裁判にまで発展。そこで、当時の社長の娘さんが会社のイメージを刷新すべく自ら社長に就任されました。

 社長就任後は、悪天候の中で作業する社員を守り、埃ほこりなどが周囲に飛散するのを防ぐため、工場を全天候型のプラントに改装
そして、生物多様性の森づくりに1年半をかけて取り組み、JHEP認証(生物多様性の保全や回復に資する取り組みを定量的に評価・認証する仕組み)で最高ランクを取得。こうした地道な取り組みが評価され、数年後には周囲から向けられる目も変わっていきました。

 現在の業務は資源回収やリサイクル事業、サーキュラーエコノミー・コンサルティング、リサイクル製品販売、環境分析などと幅広く展開。特に資源再生に関しては減量化・再資源化率98%という業界トップクラス水準の技術を誇り、「どんなごみでも再び価値ある資源へと変えてみせる」という思いで再資源化率100%に向けて飽くなき挑戦をされています

 更に、同社が所有する東京ドーム約4個分の敷地の一部を「三富今昔村」として開放し、里山に生息する植物や生き物を知るガイドウォーク、自社農園「石坂オーガニックファーム」で土づくりや野菜の食育体験、里山の暮らしを体験しながら学ぶ里山体験プログラムなど多彩なプログラムを開催。全国から人が訪れ、地域から大切にされる企業となっています。

 廃棄物などのごみの問題はSDGsゴール12「つくる責任つかう責任」に大きく関わってきますが、モノをつかった後の「処分する責任」も重大です

 いま日本全体で埋め立て処分場の不足が問題となっており、全国の最終処分場の残余年数は約20年と言われています。企業も個人も大量生産、消費、廃棄という考え方を転換しないとSDGsの達成に近付くことは難しいでしょう。

 どのような業種でもごみは出るはずですので、それをただ捨てるのではなく、リサイクルしたり新たな価値へとアップサイクルできないかを改めて社内で検討してみることも効果的なSDGsアクションとなります




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