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好きを語る ドラマ「カルテット」

 脚本・坂元裕二と主演松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平のTBSドラマ「カルテット」について語る。
 カルテットは2017年に夜10時からTBSで放映されていたドラマである。私はこのドラマを夏休み中学3年生という1番多感な時期にリアルタイムで観てしまったため、影響を受けた、のひとことでは言い表せない程、影響を受けている。この作品は、私の感情や価値観に大きな変化をもたらした。

 まず、このドラマを通じて、はっきりしない自分の性格を受け入れることができるようになった。ドラマでは一貫して世界がグレーであることが描かれている。登場人物たちの関係や心情は、はっきりとした答えがなく、終わりまで謎が残る。カルテットを組んでいる真紀さん、すずめちゃん、家守さん、別府さん、そして真紀さんの旦那さんの四角関係に終止符は打たれず、最後まで事件の真相は明らかにされない。
 これまで、私は告白至上主義や勧善懲悪の考え方に縛られており、自分にはそれに適合できないことに対する不安を感じていた。しかし、このドラマを通じて、白黒つけられないことが必ずしも悪いことではなく、そうすることによって保たれる心や関係性があると理解した。物事がはっきりしないことや、自分の性格が曖昧であることを受け入れ、それでも生きていこうと思えるようになった。

 また、このドラマを通じて、「気持ちと言葉は違う、でも言葉を大切にできる人になりたい」という思いが芽生えた。
 このドラマの会話は常に洗練されており、味わい深い。

言葉と気持ちは違うの。『こんなのデートじゃないんだからね』って言うのはデートでしょ。『絶対怒らないから本当のこと言って』って言われて本当のこと言ったらめっちゃ怒られるでしょ。それが行間。『連絡しますね』っていうのは『連絡しないでね』ていう意味でしょ。

第2話 家森諭高


 家森さんが「気持ちと言葉は違う」と、好意を抱いているすずめちゃんに巧みに伝える場面に心を打たれた。
常に心の中に4人がおり、彼らの言葉や考え方を無意識に追いかけてしまう。例えば、すずめちゃんが「私の好きもその辺でゴロゴロ転がっていて…」と語った言葉に触発され、自分も「私の好きもその辺でゴロゴロ転がっていていいや」と考えるようになった。誰かから「佐藤さんってたまに坂元裕二っぽいというか、カルテットの登場人物みたいなこと言いますよね。」と言われたことはないものの、いつか、他人にもそのように感じてもらえるよう、感性を磨いていきたい。

 それはそうと、今年の夏、カルテットのロケ地である軽井沢に約一ヶ月住み込みでバイトした。少しでもあの4人に近づきたかった。
休日には、聖地である軽井沢タリアセンへ訪れた。そこは塩沢湖が真ん中にある、可愛らしく美しい公園で、4人がアー写を撮った場所でもある。

私は彼らと同じポーズで写真を撮ろうと意気込んでいたが、なかなかタイミングが合わず、最終的には閉園寸前にハンバーガー屋の店員さんに声をかけて写真を撮ってもらった。その際、その店員さんから、ドラマのファンであることを公言し、主題歌も担当している椎名林檎さんも別の店員さんに写真を撮ってもらったエピソードを聞いた。

 その後、軽井沢駅近くにある「カルテットブルーイング」というクラフトビールのバーに入店した。

バーのマスター(ミストレス)に尋ねたところ、「ドラマのカルテットと関係はありません」と教えていただいた。しかし、そのマスターはドラマ・カルテットのファンで、撮影当時の軽井沢の雰囲気や、実際に別府さんの別荘が売り出されていることなど、いろいろな情報を教えてくれた。後日、「おかげさまで別荘にも行けました」と報告した。

 私はそれまで一人で観光地やバーに行ったことがなかった。ドラマ「カルテット」は私の価値観を変えるだけでなく、新たな出会いをもたらしてくれた。その中で「好きだってことを忘れるってくらいの好き(劇中より引用)」の気持ちが膨らんだ。これからもカルテットと共に生きる。

カルテットはAmazon Primeに入っていればこちらから観ることができる。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B01MTAALWO/ref=atv_dp_share_cu_r

椎名林檎により書き下ろしされた主題歌も素晴らしいので是非、歌詞に注目して聴いてほしい。


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