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【0993】SDGs時代の関係デザイン:架け橋の問いをつくる

SDGs1000日チャレンジの残りの期間、再び各目標を振り返りつつ、基礎的なことから深く話す時まで、色んな用途に使えるようなスライドのベースを作っていこうかなと思います。

本日は、約1年前に業界団体のコラムに相棒とも呼べる同期と一緒に寄稿させていただいたものを改めて。

好奇心を生む架け橋の問い

寄稿コラム全文

SDGsが国連で採択されて5年、達成目標年までは10年を切った現在。テレビや新聞やWEBメディアの各所でSDGsという言葉を目にするようになり、SDGsの認知は徐々に広がりはじめているように思います。この傾向は今後も続き、各企業がSDGsをビジネスチャンスとビジネスリスクの両軸の観点で捉え、経済活動にサステナビリティを取り入れた取組はどんどん加速していくようにも感じます。

しかし、「SDGs時代」とも呼びうる時代に突入していく中、企業と個人、企業と企業、個人と個人、それぞれの関係性に目を向けると、新たな課題が生まれつつあるのではないでしょうか。「サステイナブルな作り方をされていない商品は選ばない」「プラスチックは廃するべきである」「食品のロスは根絶しなければならない」などの声をあげている企業や個人がいる一方で、否定はしないものの積極的には関わろうとしない企業や個人も数多く存在します。そして「自分とは違う考え方なら関わらないでおこう」とするだけではなく、「相手の考えは間違っている」「なぜ理解してもらえないのか」という対立構造になることもあるように思います。つまり、SDGs意識が今後ますます加速していく時代においては「関係性の分断」という新たな問題が生まれやすくなっているのではないでしょうか。SDGsの17番目のゴールとして「パートナーシップで目標を達成しよう」と掲げられているように、持続可能な社会を目指すうえで人々の関係性を繋いでいくことは重要です。それゆえに解決していく価値がある問題だと言えます。

そこで提案したいのが立場や意見が異なる者同士を繋ぐ「架け橋の問い」です。架け橋の問いとは「立場や背景のことなる者同士であっても、双方ともに考えてみようという気持ちになり、一緒に考える関係が生まれる」問いだと私たちは考えます。それによって新しい答えが生まれてくる可能性があるのです。

例えば、様々な課題を内包していると言われるアパレル業界。とある企業の中で、サステイナブル経営を掲げた経営陣から「環境負荷を減らせるように汚れがつきにくく洗濯回数が減る服を開発せよ」と号令がかかったとします。それに対して、顧客の気持ちに日々向き合っている担当者は「多くの顧客は環境負荷よりもデザインや肌触りの良さを求めている」と主張したとします。このままでは議論は平行線をたどり「経営陣と担当者」という関係も「企業と顧客」という関係も分断されていきます。

そこでこの両者に「服によって幸せを感じた経験とは?」という問いを投げかけたら、何が起きるでしょうか。その問いは経営陣であっても担当者であっても自分事として考えられる問いであり、服に携わるものとして改めて考えてみたくなる問いではないでしょうか。そこから「はじめて自分で選んだ服を着た時の気持ち」や「こどもが着る服を選ぶ時の親の気持ち」という共感度の高い気づきが得られる可能性があります。その気づきを持って開発に臨んだ結果、「こどもが家族に思わず抱き着きたくなる、肌ざわりがよくていつも清潔な服」の開発がスタートするかもしれません。

こどもが抱き着いてくれるなら汚れがつきにくい方がいい、こどもが抱き着いてくれるなら肌に優しい自然素材を選びたい、そうして製品が出来上がっていくと、結果として環境負荷が低い服ができあがる。そんなこともありえるのではないでしょうか。問いによって、SDGsの達成意識の高い経営陣と、顧客の気持ちに寄り添う担当者が一緒に考える関係になり、両者が魅力を感じる新しい答えが見つかりました。こういった双方が一緒に考える関係性を生む問いが「架け橋の問い」です。

SDGs時代に突入するとともに関係が分断されやすくなっている中、「架け橋の問い」によって関係を繋いでいく。それによって、企業と個人、企業と企業、個人と個人、この社会にいる全てのステークホルダー同士の関係性は、よりサステイナブルな領域に到達できるのではないでしょうか。

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