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Think CIVILITY - 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である


はじめに

 日本企業、特に歴史の長い企業や組織で働いている皆様、日頃から年功序列がなんとなく残っているとか、評価システムとか言いつつ結局は年功序列じゃないのか、なんて疑問を抱いていないでしょうか?かく言う私も20年強にわたり典型的な日本企業で働き、年功序列という日本の文化はなぜ残り続けるのだろうかと、潜在的に疑問を抱いていました。
 昨年、外資系企業に転職したのですが、ここでは見事に年功序列の色が薄く、年齢も性別も入り混じった組織で運営されていることに気がつきました。外資系企業とはいえ、私の組織には外国の方が上司というわけでもなく、日本人ばかりの組織で、前職の環境とは異なる価値観で組織運営されているわけです。あれ、日本人でもやればできるじゃないか、と気がつき、自分が所属している組織をある意味で外部の目線で分析をしていると、その違いが見えてきました。そうです、このnoteのテーマである「礼儀正しさ」です。
 典型的な日本企業であった前職では、「XX部長」「YY課長」「ZZ主任」と役職で名前を呼び、メールにも記載します。年上には「誰々さん」、年下の男性には「誰々くん」、と呼び合います。こういう文化の場合、新入社員の頃から年齢や役職を意識したコミュニケーションが空気を吸うかのごとく育まれていきます。年齢や役職を意識してコミュニケーションする場合、相手の年齢や立場など形式的な部分に意識が行きがちで、本来重視されるべき敬意への意識が薄くなると思います。若い世代は特にその影響を受けやすいと考えています。
 これに対し、現在の外資系企業では、役職名でも年齢や性別でも相手の呼び方は「誰々さん」です。徹底しているのは社長がどんな層の社員とコミュニケーションをする場合でも、同じなのです。ここには相手への敬意が込められています。こういう文化の場合、新入社員の頃から年齢や役職を意識せず、どの社員にも分け隔てなく敬意を持ったコミュニケーションが空気を吸うかのごとく育まれていきます。
 些細な違いではありますが、自分以外の他者の呼称を細かく使い分ける文化こそが年功序列という日本における固い岩盤のような壁を作っている要因であり、その処方箋の一つとして、敬意あるコミュニケーション、が挙げられるのではないか、というのが私の仮説です。

「Think CIVILITY - 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である」

 今回ご紹介する書籍「Think CIVILITY - 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である」では、礼儀正しく振る舞うこと、を軸に、なぜ礼節のある人は徳をするのか、礼節を高める方法、礼節のある会社になるステップ、無礼な人に狙われた場合の対処方法、を4部に分けて説明してくれています。「礼節のある」というと少し畏まりすぎな印象があるので「敬意ある」と読み替えてもらうと読みやすいかなと思います。

印象に残ったフレーズ

 礼節がもたらす5つのメリットの中で、組織に及ぼす2つのメリットが挙げられています。1つ目が礼節ある上司のチームは高い業績をあげる、2つ目が礼節ある経営者は従業員に安心感を与える、です。
 礼節ある人が守る3つの原則の中でも印象深かったのは、次の2つです。礼節ある人は相手を尊重する、礼節ある人は人の話に耳を傾ける、です。自分自身も耳の痛い部分があるので、たまにこの本を見返しています。
 無意識の偏見を取り除く、という章があり、多様性について触れられています。多様性は日本企業の課題でもあり、皆さんも日々耳にしていると思います。この本の中では、礼節は多様性の真価を引き出す、と記載されています。でも他者を尊重するのは難しいですよね。だからこそ、無意識の偏見を取り除いていこう、ということが説明されているわけです。
 ワンランク上の礼節を身につけるための5つの心得が挙げられているのですが、これがまた素晴らしい内容で、詳しくは本書を読んでいただきたいです。私がこの本を読んだのは約半年前ですが、強弱はあれどもなんとか実践できているようです。

結び

 本書の終わりで触れられていますが、あなたはどういう人間になりたいか、でしょうか。自分が一緒に仕事をするチームメンバーにいつも感謝の言葉や気持ちを伝えられているだろうか。日々出会う方々に敬意ある(礼節ある)態度を取れただろうか。人生は自分以外の様々な方とのコミュニケーションがあって成り立っています。その中には相手に対して敬意(礼節)があったか、なかったか、これが仕事も、仕事を離れた人生にも、大きな影響を及ぼしてくるのではないでしょうか?
 
 このコーナーの運営母体であるPMIに日本支部SDGsスタートアップ研究会は、男性、女性、年齢がバラバラなメンバーが自主的に活動しており、そのコミュニケーションの本質は相手への敬意で成り立っていると実感しています。こういった社外での活動に加わってみると、本書がいう礼節のあり方が、理解しやすいかなと思います。

 今回ご紹介した書籍、気になった方はぜひお手に取ってご一読いただければ幸いです。皆様の人生をより良いものにするために役に立てたら嬉しいです。


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