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【談話】水戸地裁の東海第2原発運転差し止め判決を歓迎する

2021年3月18日
社会民主党幹事長 服部良一

 本日、水戸地裁は日本原子力発電東海第2原発の再稼働を認めない判決を言い渡した。防災対策の不十分さから、PAZ(予防的防護措置を準備する区域、原発から概ね半径5km圏内)及びUPZ(緊急時防護措置を準備する区域、原発から概ね半径30km圏内)の住民につき、人格権侵害の具体的危険があることが再稼働否認の理由であった。社民党はこの水戸地裁判決を歓迎する。

 東海第2原発の場合、PAZ及びUPZ圏内には14の市町村があり、圏内人口は94万人以上である。判決は、原子力災害広域避難計画を既に策定している市町村はこのうちわずか5つであること、策定した自治体についても原子力災害の原因となる大規模地震や津波、火山の噴火といった自然災害による家屋損壊や道路寸断を考慮されていないこと、避難に関わる要員・資材の確保等を今後の検討課題としていることを以って「実現可能な避難計画及びこれを実行し得る体制が整えられているというにはほど遠い状態」と明言している。原発事故を誘発する自然災害による被害までをも考慮した避難計画の実現可能性の是非という論点は、全国各地で行われている原発差し止め訴訟においても問われるべきである。

水戸地裁判決がこのような論点を掲げる前提には「発電用原子炉施設の事故は、高度な科学技術力をもって複数の対策を成功させかつこれを継続することができなければ収束に向かわず、一つでも失敗すれば、事故が進展、拡大し、多数の周辺住民の声明、身体に重大かつ深刻な被害を与えることになりかねないという、他の科学技術の利用に伴う事故とは質的にも異なる特性がある」という原発事故に対する認識がある。水戸地裁判決と時を同じくして広島高裁は四国電力伊方原発運転差し止めの仮処分を取り消した。四国電力が想定する地震規模と火山のリスク評価の適切性が争点であったが、いずれも不十分もしくは過小とし、差し止めの仮処分を決定した2020年1月の判決からは後退する結果となっている。社民党は本日の水戸地裁判決を最大限に活用し、議会内外の様々な人々と連帯しながら自然災害大国、とりわけ地震大国である日本においては脱原発を進めていくべきであるという世論を形成すること及び、2018年に野党共同で提出した原発ゼロ基本法案を成立・施行させることに全力で取り組む決意である。

 なお、原発立地自治体には原発関連事業で生計を立てている住民も数多くおり、原発事故に対する不安と生活の糧を失う心配との狭間で葛藤を抱えている。社民党は廃炉産業や自然エネルギー産業をはじめとする代替産業を原発立地自治体で振興することで雇用を確保し、原発立地自治体を取り残さない脱原発をめざす。

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