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等身大で生きる大切さをおねショタ塾講師に振られて学んだ話

「君という人間がよくわからないから、君と付き合いたいか判断できない」

そう言って私はマリナ(仮名)に振られた。彼女の好みに合わせて頑張ったつもりだが、予想していない理由で実らないとは思わなかった。

年下の育成が好きな彼女は弟(仮)をたくさん飼っている

私とマリナが出会ったのは就職活動の時だった。

サークルの夏合宿で、私が入社したかったIT業界の企業の内定者だったOGのマリナと初めて出会った。私は小学校~高校時代の経験からひどい女性不振に陥っていたが、大学三年生のときには台本があれば何とか女性と会話できるレベルになっていた。

OGと就活生(兼サークルの後輩)という関係で、IT業界志望のサークル仲間と一緒にOG訪問を数回行い、企業・業界研究のアドバイスやエントリーシートの添削、模擬面接の相手をしてもらった。

なぜマリナは当初面識のなかった後輩に無償でここまでしてくれるのか。何度目かのOG訪問のときに疑問をぶつけたら、他の後輩(バイト等)にも同じことをしていると聞き、私たちだけが特別ではないと知った。

そのバイトも塾講師で、高校生たちの面倒を見るのが好きだし彼ら彼女らのことが可愛くてしょうがないとのこと。塾講師の後輩にご飯をおごってあげたり男子高校生たちの悩みを聞いて相談に乗ってあげたりと昔から世話焼きな性分のお姉ちゃん(長女)だとわかった。

マリナとは私が内定を得て(彼女の内定先とは別の企業だが)就活が終了した時点で疎遠になった。私の大学生時代に最後に会ったのは内定報告を兼ねたランチのときだが、そのときに私のような年下男性を複数弟扱いして可愛がっていると語り、私が知らない男子高校生や私と同い年の男性の頑張りっぷりを自慢げに語るマリナを今でも覚えている。

弟扱いを脱してその他大勢の中から抜け出しい。自分だけを見てほしい。

マリナと次に会ったのは、私が新卒入社した企業で四苦八苦しているときだ。当時私は3ヶ月の新卒研修を終え、現場に配属されてOJTという名の放置プレイで戸惑いながらシステム開発を行なっていた。

マリナは自分が面倒を見てきた弟(仮)のアフターケアも万全らしい。「最近どう?」というメールがマリナから来て、学生と社会人との違いや入社前後のギャップに戸惑っていることを正直に話した。約2年ぶりに居酒屋で会うことになった。

マリナは昔のように相談に乗ってくれた。お酒が進むと、私以外に面倒を見ていた元就活生や元男子高校生の活躍っぷりをのろけるように笑顔で語っていた。彼らのことを心底可愛いがっていることが窺い知れた。

……マリナは私のことをどう思っているのだろうか。他人の話題ばかりだすマリナの話を聞いているうちに、私の心に棘が深く突き刺さっていく。

嫉妬の炎が私の胸の中で燃え上がった。悔しい。その笑顔を私だけに向けてほしい。私だけに関心を向けてほしい。そう願わずにはいられなかった。

私は気付かないうちに、無償の優しさを向けてくれたうえに内定の可能性を信じて応援してくれた数少ない女性だったマリナに恋をしていた。

今思えば、独占欲が強く自分の想いを押し付けていただけだし、女性として好意を抱いたというより無償の愛と承認をくれる母親的存在として彼女を求めていたと感じる(我が家は毒親で私は搾取子だった)。

彼女が好む人間になりたいから自分を押し殺し仮面をかぶってそれを演じた

有象無象の弟(仮)を向いているマリナを振り向かせたかった。その他大勢から私は抜け出したかった。

だから彼女の嗜好をトレースして、彼女が好む人間になろうとした。マリナが好きだと言ったもの(本や音楽等)や卒業旅行で行った国などは知っていたから、興味がないけどそれらを調べたし長期休みを利用して行った。

マリナへの恋が成就するなら、この顔も名前も人格も財産もいらない。自分を殺し、偽って、マリナが好む男性としての仮面を身につけて生きていこう。だってありのままの私には何の魅力もない(むしろ嫌われるだけ)なのだから。

私という人間が別の人格・外見になろうとも、彼女の隣にさえ入れればそれでよかった。当時、悪魔と契約できたなら喜んでしただろう。

そうして数年間本当の自分を偽って彼女が好む人間を演じたのち告白した結果、冒頭のセリフを言われて振られた。

私という人間をあと何万回拒絶されたら彼女ができるのだろうか

ニートになる前の本業はSEだが、システムの営業も一時期していた。
テレアポで断られる毎日だったが、それはシステムがいらないだけだと知っているので断られても全く辛くなかった。

恋愛で私が女性に拒絶される度に、私は私という人間性を全否定される痛みを味わい続ける。

マリナからは恋愛において自分を偽らず等身大で生きる大切さを学んだ。

ただ、等身大の私は、これまで何人もの女性から存在を拒絶され、その度に心に深い傷を負ってきた。わかっていても等身大の自分で生きるなんて怖すぎてできない

私を拒絶する女性たちが言う「あなたを好きになってくれる人もいるよ」とは、私にはあなたという存在が受け入れられないという女性からのメッセージだ。

私という人間をあと何万回拒絶されたら、私に彼女ができるのだろうか。

私のありのままをさらけ出したら拒絶される。相手が好む男性を演じても拒絶される。神は私にどうしろというのか。

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