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2. International sport organisations and their governance

国際的なスポーツのガバナンスは、各国でどのようにスポーツが指導・体験されるかに影響を与える。
"誰" が "どのように" スポーツを動かしているのか知ることは、そのスポーツの未来がどのようなものになるかを知ることにつながる。


2.1. International sport organisation

世界各地で行われているスポーツは、各国の政府から独立した組織によって運営されており、国際的な組織は特にそれぞれのスポーツの未来を担っている。
・ 国際オリンピック委員会(IOC)
・ 国際競技連盟(例:FIFA, FIBA)
・ 規制機関(例:WADA, CAS)
・ 地域ごとの組織(例:UEFA、AFC)

2.1.1. The Olympic Movement - 国際オリンピック委員会(IOC)

  • 国内オリンピック委員会(NOCs:National Olympic Committees)を取り仕切る

  • 主要タスクはオリンピックの開催

    • NOCs(競技者の選定)と国際競技連盟(オリンピックで行うスポーツを運営)から公式に認められることが必要

  • NOCsに属さない独立した人々によって構成される

2.1.2. 国際競技連盟(International sport federations)

  • 各国の競技協会(NFs:National sport federations)と共に特定のスポーツを取り仕切る役割を担う(FIFAとJFC、FAなど)

  • ほとんどが、各国の競技協会を大陸ごとの競技連盟に割り振っている(FIFA>AFC>JFAなど)

  • ほとんどが、1つ以上の国際競技連盟の団体(SportAccord、ASOIF、AIOWFなど)に所属している

  • 各国の競技協会の代表者から構成されることが多い

2.1.3. 規制機関

  • 国際アンチ・ドーピング機関(WADA:World Anti-Doping Agency)

    • ドーピングに対するルールの制定

    • 各国のアンチ・ドーピング機関(NADAs)、国際競技連盟、IOCと共にドーピングのルールを施行

    • 各国の政府からのメンバーを含む

  • スポーツ仲裁裁判所(CAS:Court of Arbitration for Sport)

    • ドーピングを含む違反行為などスポーツ特有のトラブルをスポーツ界内でを解決する機関

    • ’the world supreme court of sport' (McLaren 2010, p.333)

2.2. Governance and governments

2.2.1. Governance

ガバナンスは、組織などの目的達成のためにその集団内の人々の活動を制限し統治する方法や行動のことであり、「誰が権力を持っている」のか、「誰が意思決定をする」のか、「どのように説明責任を果たす」のかを決める。

スポーツにおける”良いガバナンス”は、以下を行える組織の枠組みと文化である。
・ 効果的で持続可能かつ適切なスポーツ政策の策定
・ 組織の戦略的目標達成
・ ステークホルダーとの関わり
・ リスクの評価、管理
・ 活動や進捗状況を構成組織などに報告 (European Union 2017)

また、”良いガバナンス”には説明責任、民主制、透明性、皆が同意した規範、信頼も含まれる。

(Play the Game:Sports Governance Observer

2.2.2. Governments

各国政府は国際的なスポーツを取り仕切ることはできないが、イギリス政府が ’Code of Governance of Sport' を提示しているように、政策制定や資金提供を通してスポーツに関わることはできる。

 【政府がスポーツに介入する理由】
・ 国の認知度・評判を上げる
・ 経済効果(観光、インフラ、雇用)
・ 国民の健康改善
・ 愛国心、国民をしての誇りを煽る など

スポーツを取り仕切る国際組織はほぼ完全に非政府団体で、「スポーツは政治的であるべきではない」という一方、政府からの公的資金はスポーツや組織の発展に大きく関わる。

2.3. International sport governance

各国際競技連盟は全てのスポーツに対してでなく、それぞれの競技に対して権限を持つ。
それぞれの競技連盟には、国際レベルで決定したことが地方レベルで行われるという限定的なヒエラルキー構造が存在する。

2.3.1. スポーツガバナンスの課題

2.1で挙げた組織のほとんどが非営利団体である一方、大会やイベントを開催し莫大な利益を得る力(特に放映権から)を持っている。
このことは、FIFA、IAAF(陸上)、IOCなど、スポーツ組織内での汚職が引き起こされる理由の一つ。
 
汚職の他にもスポーツ界には、人種・男女差別やアスリートの福祉、八百長、組織の透明性への課題などが存在する。

例えば、2030年のサッカーW杯がモロッコ、ポルトガル、スペイン、ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイの3大陸6カ国で開催されるという案(2024年のFIFA総会で最終決定)に対して、
        ・ 選手、サポーターの移動距離の増加
        ・ 1つの大会内で全く違う季節の下試合が行われる
        ・ 開催地間の時差(試合日程はどうなる?)
が指摘されており、FIFAの環境問題への態度や選手のコンディションに対する配慮に疑問が残る。

2.4. Conclusion

スポーツの存続には、そのスポーツを行う・支える人々が欠かせない。
もしスポーツが根本的に "良い" ものとして見られていないのなら、なぜ人々はそれでもスポーツを行う・支えるのか。

"Sport needs to seem to be clean or good"

スポーツが持つ道徳的・倫理的原則と価値観を保証し続けるためには、スポーツが抱えるたくさんの問題や課題を認識し、その中でどのようにスポーツを行う・支える人々を増やしていくかを、スポーツを動かす団体が考えていかなければならない。


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