『コロコロ変わる名探偵』

ぐったり横たわる男。
探偵はパイプを吹かすと一人の男を指差し叫ぶ。

「犯人はお義父さんです。貴方には動機がある」

一瞬狼狽えるお義父さん。しかしすぐにしたり顔。
「全然違う。私より動機がある人間を紹介しよう。犯人は君だね?」

鋭い眼差しを叔母さんに向ける。しかし叔母さん余裕たっぷり。
「馬鹿な人達ね。死体の側に箒が落ちているでしょう。犯人はメイドよ」

しかしメイドは無邪気に笑う。
「私たち犯人知ってるもん!ね、ミーちゃん」
ネコを抱き上げる。「ニャー」ミーちゃんもご満悦。
「犯人はそこの観葉植物!蔦で殴って殺したの」

観葉植物クネクネ喋る。
「いや、待ってくださいよ。クマの置物がやったの見てましたよ」

「ガオー」クマの置物断固否定。
「ニャーゴ」これにはミーちゃんも不満顔。

コロコロ変わる名探偵。

横たわる男は焦っていた。テニスボールを踏んで気絶していたとは言えない雰囲気。足元のボールがヒソヒソ囁く。

「そろそろ私、自首しましょうか…?」


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