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35mmのレンズ -SIGMA DG DN Contemporary-

僕の中では50mmは標準レンズ。
35mmはやや広角の部類に入る。

というのも主に街中スナップ撮影を中心に写真を楽しんでいたから、画角が狭く、ファインダーに写る風景がある程度整理されている方が主題が明確になって使いやすいと考えていた。

35mmは「ぼーっとしている時の人間の視野」に近いと言われ、これを標準レンズとする人も多いけれど、どこか少し落ち着きがないというか、ファインダーに取り込むものをしっかり意識しないと散らかった写真になってしまう気がしていた。
以前、VoigtländerのCOLOR-SKOPAR 35mm f2.5を使っていたことがある。でもあまり使わずに手放してしまった。描写の傾向が自分に合わなかったこともそうだけれど、やはり35mmという焦点距離に苦手意識があったんだと思う。

とはいえ50mmを常用していても、少しだけ狭いなと感じる時もあった。
そんな時は40mmの出番で、M.ROKKOR 40mm f2が丁度良く、わずか5mmの違いだけど35mmより使い出があった。35mmは僕には広すぎた。

SUMMILUX 35mm 2ndは半ば勢いで手に入れたところもあったけれど、実際なかなか使い所が掴めないでいた。
M10にはSUMMICRON 50mm 、M9にはM.ROKKOR 40mm、M3にはElmar 5cm、fpには45mm DG DNと、なんとなく付けっぱなしレンズが固定化する中でSUMMILUX 35mmの出番は多くはなかった。

ところが、子どもが生まれたことで35mmの需要が増え始めた。
家や車の中での撮影が増えると50mmではどうしても狭い。24mmや28mmの選択肢もあるけれど、そうすると背景まで広く写り込んでしまい写真に纏りがなくなってしまう。
そこでしばらく眠っていたSUMMILUX 35mmを試してみるとこれが丁度良い。被写体だけを上手く切り取ってくれる適度な広さ。室内や車内でも不安なく撮ることができる明るいf値。
なかなか良いじゃんと思って使っていたけれど、やっぱり子どもを撮るならAFは欲しいよね?
という話。

SIGMAの35mm(Lマウント)にはf1.2とf1.4のArtラインとf2のContemporaryラインのIシリーズがある。
Artラインの超絶解像度のレンズも魅力的だけど、普段肩から提げてスナップ撮りをするには大き過ぎるし何よりも重い。
となると質感良くコンパクトなf2 Contemporaryが選択肢として残ることになった。

f2.8のレンズ群に比べると若干大きめ。
屋外でない限りフードを着けずに運用するのが良さそうだ。

描写はSIGMAのIシリーズだけあって色々な表情が撮れる。絞りや被写体との距離によって描写傾向が変化するのは良いのか悪いのか賛否が分かれるところ。僕はその癖を知って使えばこんなに面白いものはないと思っている。
ふわっとシルキーな写りからパキッと硬い写りまで、偶然が印象的な写真を撮らせてくれることもある。


2本の35mmレンズ。
AFとMFなので大きさはかなり異なる。どちらも質感オバケ。触っているだけで夜が更けていく。

fpのJPEG設定を少し変更して好みの画作りをしている。
RAWで撮ってLightroomで編集するのも楽しいけれど、ここのところ撮影枚数が増えて手に負えない。
そんなときにJPEG撮って出しが素晴らしいfpに助けられている。
カラーとトーンさえカメラ側でプリセットできれば、あとは露出を調整するだけで大抵の写真は何とかなる。
発売から随分と経ったカメラだ。でもこうしてレンズを買い足していくことでまだまだ楽しみ方が広がっていく。
決して使いやすいカメラではないけれど、飽きさせないカメラだ。
不便なカメラは使いこなすのが楽しいカメラでもある。

SIGMA fp。嵌るとなかなか抜け出せない沼カメラだ。



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