セバス
This magagine is a collection of monochrome photographs. These photos represent the scenery I saw as much as possible.
僕の中では50mmは標準レンズ。 35mmはやや広角の部類に入る。 というのも主に街中スナップ撮影を中心に写真を楽しんでいたから、画角が狭く、ファインダーに写る風景がある程度整理されている方が主題が明確になって使いやすいと考えていた。 35mmは「ぼーっとしている時の人間の視野」に近いと言われ、これを標準レンズとする人も多いけれど、どこか少し落ち着きがないというか、ファインダーに取り込むものをしっかり意識しないと散らかった写真になってしまう気がしていた。 以前、Voigt
多摩川を越えて少し行くと多摩ニュータウンまで続く多摩丘陵がある。 最近ではよみうりランド付近の宅地化が進み、多摩川から見える景色が変わりつつある。 多摩丘陵には防人の見返りの峠という場所がある。 東国から防人として太宰府へ送られる兵士は、多摩川を越えて多摩丘陵を越えると来た道を振り返っても自らの故郷を見ることができなくなる。 関東平野の西側に横たわる最初の高地が多摩丘陵であり、歌に詠まれる多摩の横山だ。 多摩川を眺める時、僕は川の西側から東京を眺めることが多い。 川を隔て
昨日は一日中雨が降っていた。 傘をさして出かければ済むんだけれど、荷物があるとそれも億劫なので車を使ってしまう。 車を走らせていると少し気になった景色があってもわざわざ駐車してシャッターを切ろうとは思わない。そういうときに限って撮りたいと思う景色に出会うものだったりする。 雨も上がっていたので、息子を学校に送り出すついでにカメラを提げて近所を歩いた。 息子の友だちからは「また写真撮っているの?」と言われた。 朝露よりもはっきりと残る雨粒。 朝日に照らされた水滴が乱反射して
いつもフィルムを現像に持ち込む店舗に今日はフォトアルバムを買いに出掛けた。 あと1回現像を依頼すればポイントが貯まって現像代が少し割り引かれるんだけど、今は撮り切ったフィルムが手元にない。わざわざ出かけるのに何ともタイミングが悪い。 今日持ち出したのはSIGMAfpとAngeneux zoom 35mm−70mm。 カラーモードはウォームゴールド −2。 写りすぎないオールドレンズの描写は春の街によく似合う。 ウォームゴールドやシネマはやや演出過剰な雰囲気になるけれど、黄
桜の木にも葉が茂り、街はすっかり初夏の様相を見せている。 今年の桜については記事にしたばかりだけど、あっという間に桜の季節が過ぎてしまった。 待ち焦がれ咲いた桜も僅かな時間で散ってしまう。この儚さこそ桜の良さであり、何となく日本らしさを感じさせる理由なんだと思う。 新しく家族が増えたり、職場の部署異動があったり、いろいろ忙しい4月。 それでもなんとか日々をこなせているのは僅かでも一人の時間を確保できているから。 音楽を聴きながら撮り溜めた写真の整理をしたり、芽吹き始めた部
今年も桜の季節がやってきた。 4月に入ってから満開を迎える桜を見たのはいつ以来だろうか。 桜は誰がどこで撮っても同じような写真になる。 聞くところによるとソメイヨシノは全ての個体がクローンで遺伝子的には同じ木なんだとか。そんな木なものだから桜だけを被写体にした写真はどれも同じように見える。 同じ桜であったとしても人によって見え方や感じ方が違う。 毎年同じ場所で同じ桜を見たとしても、そのときに生起する感情は違う。 同じ場所から桜を撮り続けて4年目。 使っているカメラやレンズ
やっぱりマイクロフォーサーズが好きでした。 結論から言えばこれに尽きるんだけど、例のごとく長い言い訳を残しておくので、分かる人には分かって欲しい。 今日、4月3日はフォーサーズの日。 さあ、みんなもゲットしよう。 初めて手にしたカメラがOLYMPUSのE-520というフォーサーズ規格のカメラだった。 何となくNikonやCanonのようなメジャーなメーカーのカメラを使いたくなかった。OLYMPUSを選んだのはそのくらいの理由だったと思う。 OLYMPUSのZUIKO DI
「鳥屋」 1 鳥を飼っておく小屋。鳥小屋。 2 鳥の売買を業とする店。また、その人。 3 鳥肉を売る店。また、その料理を出す店。 写真界隈では野鳥を専門に撮る愛好家のことを指す。 鳥屋さんの装備はすごい。 400mm〜600mmは当たり前。 テレコンバーターで2倍にして800mm〜1200mm。 しかも単焦点。 汎用性のない焦点距離だけど、野生動物を専門に撮るならそれくらいあっても良いなと思う。 コサギの飛翔。 サギくらいゆっくり飛んでくれると狙いやすい。 朝日に透ける翼
川沿いの木が芽吹き始めている。 今朝も近所のカワセミを撮りに出掛けた。いつもカワセミを見かける止まり木に目をやると緑色の小さな葉が見えた。 週末は完全に春の陽気で、花粉の飛散が悲惨な程だった。ファインダー越しに見る朝日を浴びた鳥たちは溢れる涙に滲んでいた。 目が痒い。 午後は久しぶりにLeica M9を持ち出して近所をスナップしてきた。 無人の野菜販売所 埃まみれのカラーコーン 古い理髪店 野良猫 明るいレンズをf8に絞ってノールックでシャッターを切る。エモくもなければ
息子が鳥を撮りたいと言い出したので、車を走らせて都立桜ヶ丘公園まで行ってきた。 多分僕が野鳥撮影の動画を見ていたせいだろう。カワセミ、ドットサイト、プリ連写……うなされるように検索する姿は何かに取り憑かれたようだった。そんな僕の雰囲気にあてられたのかもしれない。 家の近所にも沢山の鳥がいる。カワセミだっている。 鳥を撮るためだけなら敢えて遠くの公園まで行く必要はなかったけれど、こういうものは気分の問題だ。 リュックサックに水筒と軽食を詰めて歩きやすい服装で出かける。 妻は「
SIGMA fpは野鳥撮影に向かないカメラだと思う。 鳥認識AFなんて機能はついていないし、それどころか通常のAFすら怪しい。 シャッターを押す少し前のタイミングの画像を残してくれるプロキャプチャー(プリ連写)機能も勿論ついていない。グリップ感だって良くないし防塵防滴でもない。 撮影モードの切り替えもノールックで行うことができない。 ボディ内手ブレ補正もない。 “ない”ことが個性でありミニマルの極限を体現するのがfpだ。ないことをネガティブに捉えることは見当違いだし無理し
東京国立近代美術館で開催中されている中平卓馬の展示を見てきた。 広いスペースに多数の展示。 中平の作品をこれほど一度に沢山見たのは初めてだった。 わざわざ竹橋まで足を運ぶくらいだから、この展示を見に来る人は少なからず中平自身やその作品を知っていることだろう。仮に初見であっても展示のステートメントはとても丁寧なものだったし、とにかく展示の数が多かったので順を追って作品を見るだけでも何となく人物や作風(そして時の経過による変化)を感じることができるだろう。 中平の著作をいく
新宿で息子が使うカメラを探していた。 「テストで100点取れたら買ってあげるよ」 安請け合いしたことは間違いないが、息子が勉強を頑張るモチベーションになるなら良しとしなければならない。 息子へのご褒美を口実に僕がカメラを買おうという魂胆ではない。多分。 最近はフィルムカメラがブームだけど、やはりデジタルが便利で最強。 コスパの面でもデジタル、特にミラーレス一眼を全力で勧めたい。 流行りに乗りたいならαシリーズでもいいし、在庫があればZfだっていいじゃない。MFTならG9Ⅱ
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports が届いた。 息子の運動会用という名目でMマウントのレンズ数本を下取りに出して手に入れた。 マ⚪︎プカメラの査定はなかなか厳しいものだったけれど、ちゃんとした値段を付けて買い取ってくれた。株を買って優待券をもらいたいくらいに感謝している。 運動会はまだまだ先。とにかくこの大きく重いレンズに慣れなくてはいけない。 今の季節に望遠レンズで撮るなら梅の花とメジロだろう。ということで練習と試写を兼ねて
レンズにはフィルター(プロテクター)をつけている。 どのレンズもフードを常用しているので不意にレンズの前玉を触ってしまうということはない。それでもカメラバッグを使わず常に肩から提げているスタイルなので前玉にチリやホコリが付着することは防ぎたい。 Leica純正のフィルターは(機能の割に)高額で財布に優しくないけれど、オールドレンズは傷つきやすいので精神衛生上の保険のようなものと考えている。 SIGMAのIシリーズのレンズを3本ほど持っていて、これらのレンズにはフィルターを
90mmのレンズをつけたカメラを持って新宿を歩いていた。 三連休の中日。 夕食の買い出しを頼まれた。カメラを持って出掛けるのに丁度良い口実ができた。 東口はいつもの週末と同じように人で賑わっていた。人の出が戻って久しいけれどコロナ禍に感じていた寂寥感は既にどこにもなかった。 西口では小田急百貨店の建物がなくなっていた。 解体工事をしているのは目にしていたけれど、改めて見上げることもなかったので少し驚いた。 新宿を東西に分ける壁が消失した。 開けた空にそびえる数本のクレーン。