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SIGMA fpで野鳥を撮る苦行を楽しんでいる

SIGMA fpは野鳥撮影に向かないカメラだと思う。

鳥認識AFなんて機能はついていないし、それどころか通常のAFすら怪しい。
シャッターを押す少し前のタイミングの画像を残してくれるプロキャプチャー(プリ連写)機能も勿論ついていない。グリップ感だって良くないし防塵防滴でもない。
撮影モードの切り替えもノールックで行うことができない。
ボディ内手ブレ補正もない。

“ない”ことが個性でありミニマルの極限を体現するのがfpだ。ないことをネガティブに捉えることは見当違いだし無理して向いていない被写体を撮る必要はない。
fpにだって向いている被写体はある。
例えば・・・、例えば明るい場所にある動かない物とか。
そう考えると望遠レンズの練習として野鳥を選んだのは失敗だったかもしれない。動体撮影の練習には難しすぎて満足できる写真を撮ることができない。
つまり正解が分からない。

一脚を購入したりYouTubeで野鳥撮影関連の動画を見て勉強したりして試行錯誤を繰り返す。
知れば知る程にfpで鳥は無理なんじゃないかと思えてきた。
難しいからこそ挑戦する楽しみがある。ものは言いようだ。

今日も今日とて早起きをして近所を野鳥探索。
川沿いでピーピーという独特の鳴き声を聞くとつい青い鳥を探してしまう。


茂みの中のカワセミを見つけるのは上手くなった気がする。


止まっている鳥を撮ることはfpでも難しくない。
茂みの中だと枝が邪魔をしてフォーカスが迷子になるのが辛い。


飛翔の瞬間を捉えるのはなかなか難しい。飛び立つタイミングを狙ってシャッターボタンを押しても既に遅い。何もないコンクリートブロックの写真を量産することになる。


これは“撮った”というより“写っていた”と言った方が正確かもしれない。




なんとか飛翔シーンを捉えたけど画角の端だったのでトリミングしてみた。
結果として周辺画質も良好であることが分かった。さすがSIGMAのSportsライン。MTF曲線に偽りなし。


枝に止まっていなければAFも問題なく効く。


飛翔シーン。やっぱり少しだけトリミングしている。
シャッタースピードは1/4000くらいだった気がする。被写体もカメラも動いているけれどブレもローリングシャッター歪みも気にならない。
条件さえ良ければfpでもカワセミを狙える可能性が見えてきた。

鳥と呼吸を合わせることも面白い。
目線や姿勢から飛び立つタイミングを予測する。飛び立つ一瞬前からシャッターボタンを押して連写を始め、狙った瞬間を収める。
もちろん失敗続きだ。
「あれ、飛ばないな」と思って連写を止めた瞬間に飛び立ったり、長い時間ファインダーを覗いてシャッターチャンスを待っていたのに一呼吸置くために一瞬目を離した隙に飛び立ったり。
誰かこの現象の名前を教えてほしい。

fpは“人がカメラに合わせる”カメラであり、そこが面白いところ。
野鳥撮影に関して言えば工夫の余地があり過ぎてどこから手を着けて良いか分からないくらいだ。
LUMIX Sシリーズ(S1やS5)を使えば多くのことが解決する。
でもそれでは面白くない。fpで撮ることが目的化している感じすらある。fpはそういうカメラだ。








時間帯もカメラの設定もバラバラなので統一感のない写真だけど、SIGMA fpでもカワセミを撮ろうと思えば撮れる。
そう、明るい場所で動かなければ。


このポイントで見ることができる野鳥はカワセミばかりではない。
カワセミを撮ることに疲れたら川沿いを少し歩くことにしている。
珍しい鳥はいないけれど、シャッターチャンスはたくさん訪れる。


どこにでもいるヒヨドリ。


公園でよく見るツグミ。


鳴き声が可愛らしいシジュウカラ。


この辺りではあまり見かけないイソシギ。


たぶんコガモ。
羽毛の模様がFoveon案件。


ジョウビタキのオス。通称ジョビオ。
この子はサービス精神旺盛な子で何度も目の前を飛び回ってくれた。



SIGMAが誇るSportsラインの解像度は枝を見れば分かる。
600mmに1.4倍のテレコンをつけてもとてもシャープに解像している。
芽吹きを待つ蕾が鮮明に写し出されている。
鳥にピントが合っていないのはご愛嬌。

他にも、オナガ、ハクセキレイ、キセキレイ、ダイサギ、コサギ、アオサギ、カワウ、ムクドリ、モズ、カルガモ、マガモ、メジロ、スズメ、カラス、ドバト、キジバトと見渡せば野鳥だらけだ。


とはいえ、やはりカワセミだ。
君が羽ばたく瞬間をこのカメラで納めることができる日は来るのだろうか。

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