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枝葉型と根っこ型、成長の糧のヒミツ🌳

プロフェッショナルには2つタイプがあると思う。

一つは自分の職業一本に専念するタイプ、謂わば職人。例に出すとイチロー、大谷翔平や、ミュージシャン、学者などか。
彼らはその分野を深く追求する。そして顕微鏡で見るような微細な違いを解像度高く識別している。

もう一つは自分の職業以外とも積極的に交流して、その知見を本業に還元するタイプ。本田圭佑や、お笑い芸人、実業家などがそれに当たると思う。
彼らは世界を俯瞰で見ている。そして他者には気づけない視点で奇想天外なアイデアを見つけ出す。

それぞれのタイプに名をつけるなら『枝葉型』『根っこ型』と私は呼びたい。
前者は、植物が光に向かって枝や葉を伸ばすように目標にまっすぐ進む。 
後者は、多種の栄養を求めて根を広げ、吸収したものは茎に集約していく。

どちらも植物が成長し生存するのに必要な構造なので、その能力は優劣ではなく適性というのが相応しいと思う。
この2種類のプロフェッショナルが属する業界も同様で、つまりその業界が発展するにはどちらも必要不可欠なのだ。


私は『根っこ型』のプロ

私は後者です(キッパリ)。臨床心理士の友人からもお墨付きで、『物事を広くぼんやりと見ている。興味が移ろいやすい。』らしい。
そしてそれは自認するところで、私自身に何かとび抜けたスキルがあるわけではなく、かといって致命的なほどの欠点もない(気づいていないだけか、単に上手く隠せているだけかも?)。

その通り、医学・獣医学の学問に固執せず、サイエンス全般に面白そうと感じればハマるし、歴史や地政学から陰謀論にも学べることはあると思っています。
ただし“ぼんやりと見ていて、移ろいやすい”ので『枝葉型のプロ』には叶わないのが悲しいところ、本性は器用貧乏なのですが。笑)
それでも彼らには見えていない世界が見えているのでしょう、一部の同業者からはアイデアマンと見られているようです。

長い前置きから今回書きたいのは、そんなまだ何者でもない私が最近刺激を受けている、非獣医療の仕事の話です。

エマージェンシーコール

世間には悪名高いNHKですが、魅せられる番組が多いのもまたNHK。
【エマージェンシーコール 〜緊急通報指令室〜】は119番の通報を受ける指令室に密着するドキュメンタリー番組です。

リアルの緊急通報から伝わる緊迫感と、オペレーターの対応に向学心を刺激されて、番組の30分間、全く目が離せません。

電話応対ってすごく難しいんですよ。
相手の表情が見えず、声のトーンで感情を伺いつつ、会話の内容から電話の向こうの状況と相手の要望を把握する。

私たちも患者(飼主)さんから電話を受けることはしばしばあるのですが、相手の感情に振り回されずに要望を理解し、タイミングを見計らって返答をするのは意外と神経を使います。
それでも対面の1/3にも満たない情報量しか伝わっていないと思う。
込み入った話は対面が鉄則です。

さて、番組の指令室には私たちが受けるそれとは比較にならない喫緊した電話がやってくる。
努めて冷静に会話する通報者はいるが、焦りで怒りだす人、不安で話を聞けない人、パニックを起こして叫びだす人、認知症の人、救急と関係ない話をしだす人、本当に様々です。
オペレーターは相手の感情をなだめつつ、可能な限り情報を引き出そうと話しかけ、わずかな情報から状況を把握し、救急隊員へ簡潔に伝える。

これは教科書でも自分の仕事からでも学べるものではない。
異業種の方からしか学べない経験です。

もちろん番組を見たから私がそれをできるようになるのではないです。
でも近しいシチュエーションに遭遇した時に、番組のシーンを思い出してヒントを得るかもしれない。
少なくとも無知だと私はオロオロしてしまうだけで終わるでしょうね。

当事者は大変な事態ですが、視聴者的にはとてもinterestingな番組です。

高みの見物🐱

全ての経験を糧にする

ドキュメンタリーや映画や小説、漫画など、自身の感性に影響したと思える作品は誰しもあるでしょう。
それを受動的ではなく能動的にやっているのが『根っこ型のプロ』です。
何か自分のスキルアップに役立つ出会いがないかを日々求めている。

それは《人や人が作ったもの》とは限りません。

犬の好奇心や猫の視線の先を想像したり、食べ物から自分の体調の変化を気にかけたり、知らない道がどこに通じているか探索したり、
無意識だとスルーしてしまう経験を意識してみることで得られる経験の量と質が大きく変わります。

栄養が腸で吸収されるのか、便として排泄されるかに似ているかも。

折角なら吸収したいですよね。それが身になり骨になるのです。

ちなみに私がNHKでついつい見入ってしまう番組は他にも、【明鏡止水】と【歴史探偵】と【ねほりんぱほりん】です。夜中のピタゴラスイッチも沼ですね。

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