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しずかなインターネットと個人ブログの再興

「しずかなインターネット」というブログサービスが話題だ。

一時期自分もこれを使っていて、Blueskyの300文字では収まらない長文を書きたいときにちょこちょこと投稿していた。
様々なブログサービスがある中で、この「しずかなインターネット」が気付かせてくれた個人ブログの良さについてちょっと語りたい。


「騒がしい」インターネット

僕がインターネットを使い始めたのは、まだダイアルアップ接続(電話線でつながってたやつだ)で、カラフルなiMacが出たばかりのころだった。
そのころに比べると、インターネットというやつはずいぶん騒がしくなったと思う。
この「騒がしくなった」というのは、「個人が思っていることを気兼ねなく語れる場所が少なくなった」ということだ。何か意見を述べればどこかで火が付きやすくなったと思うし、そういう炎上を事前に防止するために、言葉に言葉を重ねて仮想敵に先んじて反論・誤解のないように説明をしておくことが必要になったと感じている。
もちろん、誰かを傷つける言葉を垂れ流すのはよくないことだ。しかし、深読みしなければそういう意図にも取られないだろうというところまで気を配らなければ、インターネットという場所はすぐにも火の海になってしまうような危険な場所になってしまったように思う。

特にブログというのは、ある時期から「読まれなければ記事を書く意味がない」という風潮が強くなったようにも思う。それは記事を書くことで広告収入を得るブロガーという職業が誕生したからでもあるだろうけれど、その結果として、ただ自分が書きたいから書く、という場所ではなくなったようにも思うのだ。
そうした時代に、当時のTwitterなんかが「マイクロブログ」として参入し、一躍人々のニーズをかっさらっていったのではないかと振り返っている(正確なところはわからないが、個人的な所感として)。

ぼくらは多分、いつでも「ただ自分が書きたいものを書く」という欲求を抱えている。
Twitterがそうやって爆発的に流行ったことも、実際そこで呟かれていたことは午前零時の「よるほー」とか、特に誰かに役に立つようなことではない日常の何気ない”つぶやき”とか、面白かったことや創作した話をシェアしあうような、自由な場だった。

今の旧Twitterは、そういう自由さとは全く無縁の場所になってしまったと思う。
システムの改変によってインプレッション数に応じた利益追求の場になってしまって、読まれなければ、誰かにとって意味のある内容でなければ、かつ炎上しないものでなければならない、そんなギスギスした肩身の狭い場所になってしまったように自分には感じる。
何かを売ったり情報を発信したりする場としてはいいかもしれないが、いわゆる「市場化」してしまったので、かつての「公園(公共スペース)」のような自由さがなくなってしまったように思うのだ。

さて、そのような「騒がしい」インターネットからの逃れ場、かつての自由を取り戻す場所の一つとして、BlueskyというSNSがあった。
最近は招待制が撤廃され、一気にユーザーが増えたことで、これまでの雰囲気がずいぶん変わってしまって、少しずつ「騒がしさ」も感じる場所になりつつあるようにも思う。
でも、Blueskyだって自分一人のものではないし、そういう騒がしさから逃れたいなと思うなら、別のSNSに逃れればいいのだと思っている。そこでお勧めしたいのが、この「しずかなインターネット」というブログサービスだ。

”しずかな”インターネット

しずかなインターネットは、日記やエッセイを書くのにちょうどいい文章投稿サービスです。
ここは、Twitterやnoteのような賑やかな広場ではありません。ここは、あなたのパーソナルな部屋のようなものです。部屋に文章を置き、通りかかった人が部屋に入って自由に読むことができる… そんなコンセプトで作られました。
ここでは、頑張って有益なことを書くことは求められていません。個人的なメモや日記を気楽に書き散らしましょう。

しずかなインターネット 使い方

こういう風に使い方が示されている通り、自分の好きなことを「書き散らす」ことができる場所としてサービスが整えられている。
しかも、スポンサー(課金ユーザー)にならない限りは、自分の書いた文章が勝手に誰かに読まれることはほとんどない。
「通りかかった人が自由に読むことが出来る」と説明にはあるが、そもそもこのサービス内で他のユーザーを探すためには、課金ユーザー一覧からしか公開されていない。
だから、無料ユーザーで、自分の書いた記事を誰かにも読んでほしいと思うのであれば、Blueskyなどの他のSNSに記事をシェアする必要がある。
また、コメントも短文でしか送れないようになっていて、いいね数なんかもない。書いた記事を読みたいと思った人は「購読する」というシステムもあるが、何人から購読されているとか、どれだけの人が読んだとか、そういうインプレッションに関わる情報は徹底的に他のユーザーには見えないようになっている。

だから、書きたいことを好きに書き散らすにはすごくいいサービスになっている。読みたい人だけが購読し、拡散されたくなければ自分がシェアしなければいい。
幸いにも、そういうコンセプトのサービスであるからか、ユーザーにもいたずらに他ユーザーの記事を悪意をもって拡散しようという人もあまり見かけない。

ああ、ここにかつての自由があったな、と僕は思った。
単に記事を書くというだけではなくて、Blueskyの文字数には収まらない拡張ポスト置き場としてもしばらく使っていてすごく心地が良かったのだが、使っていくうちに、このサービスがある個人の運営のものだということに、すこし不安がよぎってきた。
それは、かつての文字書きサービスが閉鎖されたときにも感じた不安だ。

誰かが運営しているサービスはいつかはサービスを閉じることがある。
すると、そのサービス内で書き散らしていた内容はそのまま無に帰してしまう。自分が書いた文章が全部インターネットの海に消えていくことに、一抹の寂しさを感じたのは確かだ。
だから、自分の書いたものは自分の手元で管理できたらいいな、という思いから昔懐かしの「個人ブログ」を再び始めてみることにした。

wordpressで個人ブログを開設

個人のサイトと言えば、昔はHTMLのタグをいちいち調べながら直打ちして造っていたものだったが、今はwordpressという便利なものがあって、コーディングの知識がなくても自分のサイトを簡単に立ち上げたり、カスタマイズしたりできる。
色々と試行錯誤をしたが、今はしずかなインターネットからこちらに完全に移行して、好き放題書き散らしている。

wordpressには「デイリープロンプト」というお題機能があり、それをテーマに毎日思ったことを好き放題書き散らすのが最近の日課になっている。

ここnoteのように、おすすめ記事として全く知らないユーザーの画面に記事が表示される、ということもないので、「読みたい人だけ読めばいい、自分は書きたいことを好きなだけ書いている」というスタンスが保てる自分のブログサイトというのは、すごく気が楽だ。
それに、誰かに求められて書くのではなく、自分が書きたいから書く、という自分のペースを守れるのもいい。それがキリスト教という宗教に触れるもので、信仰体験などとなればなおさら、noteではなかなか書くのがためらわれる。
皆に紹介したい、皆の役に立ちそうな記事はnoteにも掲載するが、そういう棲み分けが出来ているのでいいかな、と思っている。

最近は自分のブログで毎日書き散らすのが楽しすぎて、まったくnoteに顔を出していなかったが、Blueskyの記事のおかげかすさまじい数のフォロワー数になっていた。\フォローありがとうございます/
そんなわけで、自分はたくさん書きたいのに、シェアされたりいいねされたりというのから解放された場所で自由に書き物をしたいな、という人に、「しずかなインターネット」と、自サイトのブログをおすすめしたい、という話でした。

おまけ(wordpressの構成・維持費など)

wordpressで自分のサイトを立ち上げるにあたって、レンタルサーバーを借りたり独自ドメインを取ったりと、それ自体も面白かったのだが、なるべくお金がかからない方法がいいな、みたいな人もいると思うので、自サイトの構成をここにメモ程度に残しておく。

サーバー:シン・クラウドfree

レンタルサーバーは仕事で使っていたXfreeというところが今は「シン・クラウド」というものになったので、そこを使っている。

詳しいことはリンク先を見てくれればわかるけれど、こんなのが無料でいいんですか???みたいなサーバーを無料で提供してくれている。
wordpressもボタン一つでインストールしてくれる。便利of便利。
ただ、一つだけ欠点は、「数か月に一回このサイトにログインしに行って、サービスの更新ボタンを押す」という手間が発生するということ。
逆に言えば更新しなければ自動的にデータを無に帰してくれるので、万が一のことがあってもアレな書き散らしがインターネットの海に永遠に残り続けることもないし安心だね!やったね!!

ドメイン:シン・ドメイン

独自ドメインも同じサービス内のものを使っている。
こちらには年額だが2000円以下で「kyrie-eleison.net」というドメインが購入できたので使っている。
つまり、wordpressのブログ運営をするにあたって、かかっている費用はこのドメイン料のみ。月額で割ると170円にも満たない維持費である(初年度のドメイン料は割引があるので実際にはもっと安い)。

「しずかなインターネット」でもよかったのだが、それに課金するよりも自分のサイトに早々と移行してしまって、しかも維持費もこちらのほうが安いとなると、迷うこともなく踏み出せてしまった。

もしいいな、と思う人がいればぜひ。

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