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サボテン水耕栽培のすゝめ

季節は冬。
清少納言は「雪の降りたるはいふべきにもあらず」と詠んでいますが、毎年100cmは雪が積もる、私、リリーの地元ですら全く雪が降らず、祖母が今年の野菜は甘みがないと嘆いている暖冬です。
寒さが苦手な私にとってはとてもありがたいのですが、やはり夏に比べると出社が億劫になり、リモートワークで家で過ごす時間が増えています。

遡ること3年前、今ぐらいの時期にコロナウイルスが現れ、ただでさえ冬に引きこもりがちな私は、さらに家で過ごすことが多くなりました。
そんな時に出会ったのが、「サボテンの水耕栽培」です。

サボテンと聞くと、気温が高い乾燥地に根を張る植物を想像しませんか?
少量の水で育つサボテンを水耕栽培?土ではなく水の中で育てる?私も最初は半信半疑でした。
育ててみて実感したのですが、実はサボテンは水が大好きで、水耕栽培でもすくすくと育ちます。
彼らは我々の想像を超える生命力の持ち主です。

そんなサボテンの水耕栽培の手順を…と言いたいところですが、いざ書き出してみるとサボテン愛が強すぎるのか、かなりの文字数になったため、今回は水耕栽培のメリット・デメリットをご紹介いたします。



水耕栽培とは

植物を育てたことがない方は、水耕栽培という言葉にあまり聞き馴染みがないかもしれません。水耕栽培とはその名の通り、植物の根を土ではなく水に浸ける栽培方法です。
土の中である程度育った植物を取り出し、土用の根を切り、綺麗に洗って乾かした後、水を張った瓶やグラスに根っこを浸けて育てます。立派に育った根を切るだなんて…!と最初は抵抗があったのですが、水耕栽培の感動を知ってしまった今、地道にポットに植え替えていたあの頃にはもう戻れません。


水耕栽培のメリット

メリットは大きく分けて3つあります。
・成長の可視化
・簡単に育てられる
・生活習慣の改善

・成長の可視化

土の中で育てた場合、当然根っこの状態を見ることができません。サボテンは好条件な環境ならば、私たちが想像している以上に早く、そして広く根を張ります。
すくすく育っているな~と呑気に眺めている間、ポットの中で根がぎちぎちになり、サボテンは苦しい思いをしているかもしれないのです。
水耕栽培をすると根っこがどれくらい成長しているのか一目で分かるため、サボテンに窮屈な思いをさせる前に瓶やグラスを買い替えることができます。

水耕栽培2日目
水耕栽培4日目

また、サボテンの成長は引きこもりの日々に大きな感動を与えてくれます。
上の写真は私が過去に水耕栽培をしていたサボテンの水耕栽培開始2日目と4日目の様子です。たった2日でこんなにも成長するのです。
サボちゃん(育てていたサボテンのことをサボちゃん、チビちゃんと呼んでいました)がこんなに成長してる間、私は何も変わっていない…私も精進せねば…とサボちゃんに毎日やる気勇気を与えてもらっていました。(愛も与えてもらっていたのでサボちゃんはアンパンマンなのかも…)

・簡単に育てられる

水耕栽培って名前だけでも難しそう…そんな心配は不要です。
水に浸けて育てる水耕栽培は、水やりの必要がありません。水を替える周期も一週間に一回程度、それも水道水で良いのです。重たい土を運ばなくても簡単に育てられます。
また、容器も家にある瓶やグラスで十分育てられるため、初期コストがかからず、成長しても買い替えが簡単です。
このように、水耕栽培は植物初心者の方でも始めやすい栽培方法です。

・生活習慣の改善

コロナが流行り始めた頃、暇を持て余していた私は、毎日お昼からお酒を飲んで夕方に仮眠、22時頃に起きてまたお酒を飲むといった地獄のルーティンを繰り返していました。当然朝起きることなどできず、怠惰な日々を過ごしていたのですが、サボちゃんを水耕栽培し始めてから生活が激変したのです。

朝~昼の太陽が登っている時間に水を良く吸収して育つよう、遅くても9時には起き、起床後真っ先にカーテンを開けるようになりました。夜ご飯を食べた後にサボちゃんの成長記録を撮ると決め、ダラダラとご飯を食べ続けたりお酒を飲み続けることもなくなりました。

先ほどもお話ししたように、サボちゃんの健やかな成長を見ていると怠けている自分が恥ずかしくなるのです。サボちゃんのおかげで、朝起きるとカーテンを真っ先に開けることが習慣になり、今でも毎朝続けています。

初めて水耕栽培をした初代サボちゃん


水耕栽培のデメリット

簡単で日常を豊かにしてくれる水耕栽培ですが、良いことばかりではありません。実際に育ててみて感じたデメリットは2つあります。
・水の管理
・根っこの脆さ

・水の管理

先ほど週に一度の水交換のみとお話ししたのですが、水交換の際に瓶やグラスをしっかりと洗わなければなりません。
皆様ご存じの通り、水の中は菌が繁殖しやすく、太陽に当たって温かくなった水や梅雨でジメジメした時期は特に管理が必要です。一度根っこにアオコが付着すると、初期にしっかり取り除かなければ永遠に繁殖し続けます。アオコが酷くなると根っこの成長も止まり、根本の部分から腐り始めてしまいます。私もこの水の管理に苦戦し、サボちゃんを失いました。
毎日サボテンの様子をよく観察し、水や根っこの状態を把握する必要があります。

・根っこの脆さ

水耕栽培の根っこは、土のように支えてくれるものがなく、常に宙に浮いている状態です。サボテンを育て始めてから一日中お酒を飲むことはなくなったものの、友人と宅飲みをしている際に誤ってサボテン用のフラワースタンドに足をひっかけてグラスを倒したことがありました。比較的大きなサボちゃんは無事だったのですが、チビちゃんはその衝撃で根っこを骨折してしまい、再起不能となってしまいました。
あまりにもショックでその後一週間私の心も再起不能に…。
根っこの支えがない水耕栽培をする際は、絶対に倒れない安全な場所の確保が必要です。


このようにデメリットもあるのですが、サボちゃんやチビちゃんのおかげで水耕栽培のノウハウを得ることができました。皆さんが失敗することなくサボテンの水耕栽培ができることを祈っています。

優雅に海を蹴るクラゲ、波打つように上る煙、風に揺れるレースカーテンなど、ゆらゆらと、柔らかく、ゆったりとしたものに魅力を感じる私にとって、水を泳ぐように伸びるサボテンの根っこは見ているだけで幸せになれる癒しのひとつです。
寒い冬のお家時間に、リモートワークのおともに、サボテンの水耕栽培を始めてみてはいかがでしょうか?




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