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日本語と中国語で違う意味

今回は中国語ネィティブの人、日本語ネイティブの人両方に見て欲しい話題をしようと思います。そう、日本語と中国語の漢字のニュアンスについて
です。

Xを見ていると思うのですが、中国語ネイティブの人たちの日本語はとても素晴らしいと常々思っています。文章も日本語ネイティブとそん色ないものを書いている人がごろごろいる。

しかし同時に、中国語ネイティブの人たちが書く日本語の文章で、「日本語の漢字の使い方を間違っているのでは?」という場面に遭遇するところが多々あり、「惜しいな」と思うことがあるのも事実です。

なぜそういうことが起きるのか。実は日本語ネイティブにせよ、中国語ネイティブにせよ、日本語と中国語でニュアンスや用法が微妙に違う漢字の語句を見逃しているケースが多いのです。これは、日本語ネイティブが中国語の文章を読むときにも気を付けなければならないところです

日本語と中国語で微妙にニュアンスが違う語句があるという話題。私は以前のnoteでも説明した記憶があります。

当時のnoteでは主に日本人の中国語学習者、日本人の中日翻訳者に向けて説明しました。このような意識は私の中で今でもあります。

そこで今回は中国語ネイティブの方が見落としそうな漢字に絞って、幾つか違いを説明したいと思います。


信号

日本語の信号(しんごう)と中国語の信号(Xin4hao4)。実は似ているようでかなり違う語句です。

日本語の信号(しんごう)の意味はというと、こうなります。

色・音・光・形などの一定の符号によって、意思を伝え通ずる方法。また、それに使う符号。特に、交通信号。シグナル。

つまり、「文字」などの直接理解できるものではなく、暗号や分かりにくい一義的なものを介して相手に伝える方法のことを示します。

例としては「手旗信号」(てばたしんごう)、「モールス信号」、「信号機」などでしょうか。

対して中国語の信号(Xin4hao4)はどうでしょうか。

北辞郎では①信号②電波➂前触れ─となっていますが。①の意味でつかわれることはほとんどありません。せいぜい合図、シグナルぐらいです
。一番多いのは②でしょう。

例:手机信号(携帯の電波)、信号切断了(電波が途切れた)

この上記の場合、日本語において携帯の「信号」や「信号」が途切れたという言い方はしません。くれぐれも気を付けるようにしましょう。

人口

これも間違えやすい漢字ですね。中国語を知っている日本語ネイティブでさえも、間違えやすいので要注意です。

まずは日本語の「人口」(じんこう)の意味を見てみましょう。

一国または一定地域内の人の総数。

つまりあるコミュニティー、集団、組織の中に所在する人の「数」のことを指します。例えば、高齢者人口と言った場合は「高齢者の数」のことを指します。

対して中国語の「人口」(Ren2kou3)は、「あるコミュニティー、集団、組織の中に所在する人」自体を指します。人の数の場合は「人口数量」と表現するでしょうか。ですから「老年人人口」といった場合は、統計学上の「高齢者のグループ」を指すことになるのです。

注意

日本語の注意(ちゅうい)というとどのような意味を思い浮かべますか。日本語の「注意」を辞書で引くと以下のような意味が出てくるはずです(カッコ内はそれに相当する中国語)。

①意識を集中すること(集中精神、留神)
②気を配ること(留意`、注意)
③用心すること(小心、当心)
④口頭で指摘すること(提醒)

参考として、カッコの中に中国語の訳を入れておきました。どうでしょうか。日本語の注意(ちゅうい)にはこれだけの意味があります。

対して中国語の「注意」には日本語の注意(ちゅうい)でいう②の意味しかありません。しかもどちらかというと「注意して見る(中国語でいう关注)」ぐらいの意味でしょうか。

ですから中国語の注意(Zhu4yi4)を、そのまま「注意(ちゅうい)する」としてしまうと、「あれ?そうだったかな」という意味になってしまう可能性が高くなってしまうのです。

◇◇

どうでしたでしょうか。このように中国語と日本語の漢字の微妙なニュアンスの違いをしっかり把握しておかないと、中国語ネイティブが日本語文を書いたときに日本語ネイティブには「変な文。外人が書いたのかな?」と思われてしまいますし、日本語ネイティブも中国語を日本語に翻訳するとき、変な日本語文になってしまったり、変な中国語文になってしまいます。漢字に惑わされずに、しっかりと意味を把握しておく習慣をつけるといいでしょう。

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