菊池あずは受刑者の処遇についての要望書
法務省矯正局御中　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
＜はじめに＞
私たち「生物学的女性の権利を守る会」は「生物学的性別は変えられない、性別移行手術やホルモン治療を施しても、女性的男性や男性的女性になるだけである。従って社会の運用は生物学的性別に基づいて行われるべきである」という立場から活動している女性団体です。昨今「オールジェンダートイレ」という装いで「男女共同トイレ」を増設して「女性専用トイレ」を減らす動きがあり、私たちは防犯対策の観点からこれに反対しています。男女共同トイレは盗撮犯罪がもっとも多発する空間だからです。また、女性刑務所に「トランス女性」を名乗る身体男性が収容されて、女性収容者に対してレイプ犯罪を行っている海外の事例（注１）にも危惧を抱いています。
このような問題意識から2015年12月4日に東京地裁で懲役16年の判決が下り、服役している菊池あずは受刑者の処遇について要望する次第です。
 
＜要望その１：菊池あずは氏を男性刑務所に収容するよう要望します。＞
菊池あずは氏は、法務省矯成第2631号「性同一性障害等を有する被収容者の処遇指針」・3項の（１）「戸籍上の性別に従い、収容施設及び収容区域を指定すること」に則り、女性刑務所に収容されていると思います。女性受刑者の多くが親からの虐待、性暴力、DVの暴力を受けていると聞きいていますので、菊池あずは氏のような経歴を持った人物と接触することは脅威ではないでしょうか。
菊池あずは氏は20歳で性別移行手術（男性器・生殖腺の切除）している事実をみれば、思春期・第二次性徴期は男性として成長していることは明かです。従って、この時期に得た骨格・筋力・心肺機能などは女性ホルモンを摂取したからといって女性並みになることはなく、男性のレベルを保持しています（ちなみに身長は179センチ、と報道されています）。殺人の犯行態様「交際相手の男性の頭部をメッタ打ちにし、首やき胸部を牛刀で何度も刺す」を見れば、どれだけの筋力・体力の保持者であるか明からかです。しかも、犯行当時、菊池あずは氏は女性ホルモンを服用していたにも関わらず、です。
性別移行手術を受けて、ホルモン治療を受け、戸籍変更が認められて、「戸籍女性」であっても、菊池あずは氏は「生物学的男性」です。「性転換」しても、性染色体はXYのままで、XXに変わることはありません（別途補足）。性転換した生物学的男性は、客観的には「生殖腺と男性器を切除し女性ホルモンで女性の第二次性徴に似せた外見を持つ生物学的男性」でしかなく、生物学的女性とは細胞レベルから根本的に身体が異なります。
菊池あずは氏を女性刑務所に収容することは、女性刑務所に収容されている女性や女性刑務官の安全にとって脅威であるとの判断から、男性刑務所に収容するよう強く要望するものです。また菊池あずは氏は「外見を女性に似せて改変している」ために、男性収容者から暴行を受ける可能性も考えられるので、安全確保のために「居室を単独室」するように要望します。
（補足）XXは女性でXYは男性であると云うと、「性別二元論は間違いである」とか、「性別は男女二つだけではなく、中間の性もある。性別が不変であるとは限らない」などと近年流行の言説で批判する声が出てきますが、未だそれらの理論は証明されてはいません。XX男性やXY女性を始めとするDSD（いわゆる性分化疾患）の人々の存在は、「性別二元論」を覆すものではありません。DSDは、性に関する身体の発達が通常とは少し違った形で発達したケースであり、中間の性や第三の性ではありません。DSDの人たちは、疑いなく自分は男性、あるいは女性と思っている人たちであり、身体の健康問題や不妊で悩むことはあっても、心理的社会的性別（性自認や性別違和）に悩んでいるわけではありません。DSDの一部の疾患の例を除けば、性染色体で性別が決まるということは間違いなく事実ですし、DSDの人も含めて人間の生物学的性別は男女のどちらか一つであり、生涯それは不変であることも事実です。
 
＜要望その２：菊池あずは氏の再診断を要望します＞
菊池あずは氏は、「性同一性障害特例法」が規定した「性同一性障害」ではなく、「異性愛男性の性的対象になることを目的に、女性に似せて身体を改変し、戸籍の性別変更まで行った男性同性愛者」ではないかと推測します。犯行動機について「別れ話をされていた。別れるくらいなら殺そうと思った」と警察の取り調べで供述していることを見れば、菊池あずは氏は同性愛者であり、殺害した相手の男性が交際相手であったことは事実です。また、裁判で弁護団が情状酌量の根拠として提出した診断書「軽い知的障害・広汎性発達障害」は、判決では「ごく限定的で、刑を減じる事情としては考慮出来ない」と退けられました。減刑の理由として否定されたものの「広汎性発達障害」は考慮すべき診断だと考えます。
「性同一性障害」の診断のベテランである精神科医針間克己氏は「自称性同一性障害」と本物をどう見分けるか」という記事（2011年4月4日：注２）で次のように書いています。「『性同一性障害』は本質的に自称である。自称と『本物』の鑑定は精神科の役割。一定期間の診察が必要。識別すべきセクシャリティや疾患として①同性愛　②異性装（オートガイネフィリア）　③性分化疾患　④統合失調症　⑤気分障害　⑥発達障害をあげ、これらのセクシュリティ・疾患による性別違和の訴えは診断から除外すべきだ」と述べています。
これによれば、菊池あずは氏を「性同一性障害」と診断したことは誤診であったのではないでしょうか。菊池あずは氏のような「同性愛に起因する性別違和」や「発達障害に起因する性別違和」のケースは多数報告されています。
また、「性同一性障害」の診断が的確か否かについては、多くの論議がされています。「たった2時間の診察で診断書を取った」、「個人で輸入したホルモン剤を服用して診断を受けると、スムーズに診断がもらえた」「海外で手術して国内の精神科医で診断書を取得する」などの当事者の発言もあります。つまり、本来は「性同一性障害」の診断基準は、除外すべき症例がたくさんある厳格なものであるにもかかわらず、診断をもらう前に勝手にホルモン剤を服用したり海外で手術したりして性別移行の既成事実を作ってしまうと、医師はその既成事実を追認するために、簡単に診断書が取れてしまう実態があるのです。
菊池あずは氏はタイで手術したと報道されています。それならば、なおさら正確な診断がなされたとは思えません。このように安易な診断は「当事者」にとっても不幸なことです。手術を伴う医療的性別移行は未だ実験段階だからです。異性ホルモンの投与は血栓症など様々な副作用を伴います。男性器・生殖腺を切除して「膣」に似せた部位を成形しても、その部位が閉じてしまって「拡張手術」を繰り返す事例も報告されています。診断は慎重の上にも慎重を重ねるべきなのです。
本来は健康な身体にメスを入れることは許されないことです。「性同一性障害」の場合にのみ、やむを得ず例外的にそれを認めるのですから、診断基準は厳格であるべきです。摂食障害の人が「もっと痩せたい。それが自分の幸せだ」と思っているからと云ってダイエットを奨励するのは間違っているように、自分の性的指向（男性同性愛）のために性別移行をした人の誤診断を追認することが正しいとは思えません。また、「発達障害に起因する性別違和」なら「発達障害」の症状に応じた対応をするのが医療ではないでしょうか。何故なら、発達障害のある人の性別違和感とは、発達障害による生きづらさを「間違った性別に生まれたせいだ」と思い込んでいるためであり、たとえ身体の外観を変える性別移行手術を受けてもその生きづらさが改善されることはないからです。
以上の理由から、法務省矯成第2631号・２項「医療上の措置」を運用して再診断して頂くように重ねて要望します。
＜要望その３：法務省矯正第2631号「性同一性障害を有する被収容者の処遇指針」に該当する者の実態について知らせてくださるよう要望します＞
　「性同一性障害を有する被収容者の処遇指針」が適用される被収容者の実態を教えて下さい。また、それに該当する被収容者が刑務所で起こした事件があるかどうか、教えてください。
述べ人数　　　　名　　　うちMｔF　　　名　　FｔM　　　名
発生した事件：その内容および行為者の内訳（MtF　　名　FtM　　名）
＜最後に＞
私たちは2022年4月に発足した団体です。「性同一性障害特例法」の運用実態を調べていて、この事件を知りました。警察の留置所、拘置所での殊遇はどうだったのか伺いたいとも思いましたが、
法務省矯成第2631号が「矯正管区長、刑事施設の区長、矯正研修所長」の三者宛てであったので、貴法務省矯正局成人矯正課様の方針は、留置所や拘置所の管轄部署にも伝わると思って断念しま
した。なにとぞ関係所轄にも私たちの要望が伝わるようご配慮下さい。また、「性別変更」の先進国である英国の情報を添付しましたのでご参考にして下さい。（注３）
 
注１：トランスジェンダーの受刑者女性刑務所で性暴行：カレン・ホワイトのケース | 【英国発】news from nowhere (1ovely.com)
 
注２： 「自称性同一性障害と本物をどう見分けるか」　はりまメンタルクリニック　針間克己
科学論評社出版発行『神経科』第18巻3号（2011年3月発行）の「特集II.　自称○○障害と本物をどう見分けるか」より　https://www.kahyo.com/product/pdf/SE201103
 
注３：以下は米国在住の日本人女性のブログです。「性別移行しても変わらない男性の凶暴性」の記事があります。
https://biglizards.net/strawberryblog/wp/2018/12/28/%e6%80%a7%e8%bb%a2%e6%8f%9b%e6%89%8b%e8%a1%93%e3%82%92%e3%81%97%e3%81%a6%e3%82%82%e5%a4%89%e3%82%8f%e3%82%89%e3%81%aa%e3%81%84%e7%94%b7%e6%80%a7%e3%81%ae%e7%8b%82%e6%9a%b4%e6%80%a7/
 
以上の要望に対して2023年２月20日までにご返答下さい。
返答先：生物学的女性の権利を守る会のメールアドレス makibaka1225@gmail.com
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2023年1月20日
　生物学的女性の権利を守る会