誰にも見せないつもりだった日記の、意外な効能
気がつくと机の上に、見慣れないノートが開かれていた。
「何だろう」と思って、ノートを見てみると、"2015年8月"とある。
どんな経緯で、その日記が机の上にあったのかはよく分からない。最近、私の日記という存在に気づいた上の息子に漁られたのか、はたまた私が開いたまま、置き忘れてしまったのか…(でも、さっぱり身に覚えがないんだよね)
読んでみると、ちょうど次男が産まれる数日前からの出来事が綴られていた。
👶👶👶
まだ正産期前なのに子宮口が4cm空いていると言われて、自宅で安静にと言われたこと。
予定日が近づいても生まれないことの焦り。
その年は猛暑で、生まれる頃になり、急に涼しくなったのがご褒美に思えたこと。
出産の前日に上の子の保育園の夏祭りにいったこと。
🎇
そんな出来事たちが、事細かに綴られていた。
出産当日の様子が、詳細に書かれていたのにも驚いた。
産後は、育児のしんどさを訴えるネガティブなことも、多数書かれていたけど、出産時は幸福感に包まれた内容で、これは誰かに読み聞かせても大丈夫そう。
ならば、生まれてきた本人である次男に読んであげるのはどうだろう?(今日は気持ちに余裕のある日曜日だし)と思いついた。
さっそく次男に聞くと、是非読んで欲しい!と喜んだ。
昔から、次男は自分が生まれた時の写真集を眺めるのが好きなのだ。写真を見ながら、私が「本当に可愛かったんだよ。今も可愛いけどね」とため息をつくように言うのを、ニヤニヤしながら聞くのが好きだ。
特に、ここ1年くらいは事情があって、「パパもママも僕に構ってくれない」とふてくされる事も多かった。
だから、こうやって生まれた時から大切にされてきた事実を日記から知るのは、愛情を確認するよい機会になるだろう。
きっと私の思いつきを気に入ってくれるだろうと思った。
私は次男を引き寄せて、読み聞かせを始めた。
次男に日記を読み聞かせると、じっっと耳を澄ませるように聞いている。
日記の一部を抜粋するとこんなふうだ。
(※この後、子宮口だの胎盤だの、リアルすぎる内容が多数あるので、苦手な人は読み進め注意!)
※なんだか、音声ピーが多い文章ですみません!もしかしたら不快に思われる方がいるかも?なところをカット✂しました。
このピーの間は、それぞれ皆様のご想像にお任せします!笑
読み終えて、「生まれる所の部分、もう一回聞かせて!」と次男が言う。
私は、もう一回読み聞かせた。「ちゅるりーーん」の表現とか、宇宙になぞらえた描写など、自分でもすっかり忘れていた。我ながら、おもしろいじゃないか!(笑)、と思いながら読む。
その先の日記も読んでと言われて、差しさわりの無い平和な部分を選んで読み聞かせる。
読み聞かせを終え、満足そうに去っていった次男。
一緒にお風呂に入り、改めて感想を聞いてみると「すごいなって思った」と感心したように言った。私を見る目が心なしか変わったような。
ほんのりだけど、私たちの間の見えない絆が、少しだけ太くなったような気がした。
👶👶👶
長男の時も生まれた後の育児日記を書いていたけど、さすがに出産当日は、大変すぎて記録は残せなかった。第2子ならではの余裕も感じられた。
今、こうして振り返ってみると、当時、ただ自分の記録のためだけに書いた育児日記は、時を経て宝物になったと思う。
もちろん書かれているのはポジティブなことだけではない。
生まれて1ヶ月の息子に風邪をひかせてしまって、どんなに心配したか。乳児湿疹を案じる気持ち。
産後クライシスで夫への不満。など必死な様子もうかがえる。
そういう事も含めて、貴重な記録だなと思う。全く誰かに読み聞かせるなんて考えてもいなかったけれど、今回思いがけず息子に読みきかせて愛情を伝えるきっかけになれた。
出産や育児だけでなく、自分にとって特別な出来事を詳細に綴った日々は、時を経て誰かの宝物になるのかもしれない。
(もしかしたら、パンドラの箱になる可能性もあるけど……。😅)
【後記】
実は、以前から自分のためだけの日記を書いていた。
ここ数年も、書くと気持ちが驚くほどスッキリするので熱心に日記を書いている。
日記の中身は絶対誰にも見せるつもりがないもので乱筆上等。いや、むしろ絶対に見せられない、見せてはいけないものだと思う。
ネガティブなことも、とにかく頭の中のモヤっとしたものを解きほぐすような気持ちで書きつける。そうすると、根っこにある原因がフッと見える瞬間がきて、不思議とこういう心持ちでいればいいだけか……、という糸口が見つかったりする。
もちろんポジティブな気持ち、幸せな気持ちも、忘れないようにと書きつける。
でも、先日、私の日記の存在が、初めて息子たちに見つかった。
というか、正確には、初めて興味を持たれてしまった。
それまで日記には「モーニングぺージ」というタイトルをつけていた。でも最近、ふと思い直す出来事があり、もう少しこのノートの重要度を上げようと「心のノート」という、なんとも興味をそそられるタイトルに変えることにしたのが良くなかったらしい。笑
まるでトム&ジェリーの餌食になったかのように、家中「見せろ~」と追いかけられてしまった。 こんなに必死に逃げ回ったのは初めてかもしれないっていうくらい、必死に家中逃げ回り、ノートを取り返したのだ。
最近は特に、思春期の息子へのイライラが書きつらねてあったりする、あのノートだけは絶対見せられない!見せたらぜったい、やばい!(でも、漁られた形跡があったのには、ちょっとヒヤッとするけど)
「心のノート」を取り返し、次のノートではタイトルを変えることを心に誓う。今後は興味を全くそそられないタイトルにしよう。
そして、このノートたち、私がこの世界からいなくなることが予測できたなら、その前に、綺麗さっぱりと片付ける方法も考えておかなくてはと思ったりする。
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