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白い羽をおいかけてみて気づいた事

突然の休校で生まれた時間

小2の息子が、鳥の羽の収集にはまっている。

やってみて分かった事だけど、鳥の羽を見つけるのは、なかなかに至難の業だ。

暖かくなれば、もっと落ちているのかもしれないけど、今冬から突飛に始めたものだから満足するような羽にはまだ出会えていない。

そんな中、休校の息子と訪れた公園の池で、ふわふわと漂う柔らかい白い羽を見つけた。


3月の頭にコロナウィルスの影響で突如はじまった休校。

学童も保育園も、人手が確保できないためできるだけ休むようにと連絡が入り、普段からリモートワークの私は、小2の息子を家で見ることにした。

毎日リモートをしている身でも、今回の急に決まった休校にはかなり動揺。

1年ほど前に私は会社員を辞めて、フリーランスに転向したが、会社員だったらもっと動揺していたかもしれない。

学童や保育園に行かせるべきかどうか?

リモートにする? リモートにした場合、出社する頻度はどうする?


とにもかくにも、予想はしていたけれど、子どもがいながらのリモートワークはびっくりするほど捗らないので困った。

そんなわけで、息子とのんびり過ごす日を作ってみた。

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会社員を辞めて、私が手に入れたかったもの

まずは電車に乗り、カフェで仕事の打ち合わせ。

打ち合わせ先の方が、子連れを快く受け入れてくれてありがたい。

美味しいケーキをごちそうになり、ご満悦のスイーツ男子8歳。

その後、近くにある公園に移動した。


日差しがやたら強い。

公園につくと息子が、さっそく「うぉーーーー!!見つけた」と素っ頓狂な声を出した。

息子はとにかく声が大きい。

何事か?と思ってみると、

柵に囲まれた池の中に、白い鳥の羽がふわりと浮かんでいるではないか。

鳥の羽は、手に届きそうで届かない場所をふわふわ漂っている。

風に吹かれて近づいてきたかと思ったら、すぐに離れていってしまう。

「ヤバイ!あれ、取りたい!」

どうしても手に入れたいらしい。

私は観念して、この彼の願望にお付き合いすることにした。

今日は、差し迫った用事もないし、必ず行かなければならないところがあるわけでもない。

そうそう。こんな時間を私は、きっと手に入れたかったのだから。

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気がついたら私が柵をまたいで…

池は柵に覆われてかなり広く、羽には、なかなか手が届きそうもない。

羽は池のへりにかなり近づいてきたかと思えば、どんどん流れていく。

羽と一緒に私たちも移動した。

池の脇にあるベンチで日光浴をしているおじさんが、私たちが騒ぐ様子に、ほんの少し身じろぎした。

あの平凡な小さな羽を、どうしてそんなに欲しがるんだろう? 

まぁ、そのうち息子も諦めるだろうなと思っていた。

太陽の光が池で反射し、羽がキラキラと眩しく光っている。

思わせぶりな動きをする羽。

岸まで近づいてきたかと思うと、風でふっと沖の方へ流されてしまったりする。

そうかと思えば、またこちらへ漂ってくる。

羽を夢中になって追いかける息子を見るうち、私もどうしてもその羽を手に入れたいと思うようになった。

息子は少し大きな木片を投げ入れ、羽の流れをとめたりと試している。

なかなか長い木を見つけてきた息子。

1時間くらい池の周りでうろうろしていただろうか。

またとないチャンスが訪れた!


私は「貸して!」と長い木を息子から奪い取ると、池の柵を乗り越えてグッと手を伸ばしていた。もう、池ポチャも覚悟。

羽にはかろうじて木の先がとどくけど、要領が悪く、なかなか引き寄せられない。

「ママ、貸して!!」今度はたまらず息子が長い木を伸ばして、うまく木を操った。

え!?私より全然上手?

息子の機敏な動きで、あっという間に羽はこちらに引き寄せられて、白い羽が私たちの元に。思わずやったー!!

その時の、満足そうな息子の顔。


たぶん私も満足できた


息子が産まれて、職場に復帰して働いていた私。

息子がよく体調を崩したこともあり、復帰後は子どもを持つ前と、持った後の働き方のギャップに苦しんだ。

アウトソースや家電で、家事は出来る限り手放し(もともと家事は苦手)。

夫もできるかぎり家事育児を協力してくれたし。

病児保育の体制も整えた。

できる限りのことをしたけれど、結構な割合で心の中が仕事でしめられた数年間を過ごした。


息子のことがとんでもなくかわいいのに、疲れきってしまい長期休みに寝込んだり。

思いきって遊ぶぞ〜と意気込む週末は、重い身体をおして出かけたり。

もっとうまくできればよかったけど、私の全力の知恵を絞ってその有様だった。


なんかもったいないなぁ、、というか。

私の中で何か足りないなぁというか、、欠けてるなぁというか。

そんな感じがずっとあった。


息子が寂しそうにしている。

とか、そういう風に思ったことは殆どなくて。

ただただ、私自身が息子ともうちょっと全力で遊びたいなぁっていうことだったんだと思う。

もしかすると、息子も同じ気持ちだったかもしれないし、それは正直、よくわからない。

そして、息子が私と遊んでくれる時間は期限付きだよねっていう事も気になっていたんだと思う。


だから、こういう時間を一緒に過ごす度に、ちょっとずつ欠けていたものが満たされるような感覚があるんだと思う。



白い羽の意味は


「これは、たぶんカモの羽だね」と息子が満足そうに言っている。

オオタカだとかチョウゲンボウだとか、ノスリだとか。

猛禽類のどこどこの部位の羽が欲しい!とえらく高い目標を掲げている息子なのに、カモの羽で満足するんだね?と思った。

もしかすると色々工夫して取ったのが嬉しいのかもしれないし。

ママと一緒にとったのが嬉しいのかもしれない。

それは、正直よく分からないのだけど、、。


私自身は、今まで手に届きそうで届かないとふわふわと漂うように思っていた幸せな時間。

今、ここにあるとはっきり認識できたのだった。


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