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アルコールの世界一周旅行ってなに、旅行の後に待っていた白い天井

かくして、粛々と訓練をこなし、隊長査閲までこぎつけました。
隊長査閲って言っても、普段の訓練に隊長様が身に来るだけなのですが、最初と最後に敬礼をして、普段の10倍キビキビやるという内容です。

可もなく不可もなく淡々となんの面白味もなく終わりましたが、我々新隊員は顔がこわばり緊張してますっ
って感じで隊長査閲を終えました。

でも、最後に隊長から「レンジャー章」なるものを頂けました。
これはレンジャーの証という感じで服の胸あたりにマジックテープでとめる簡易的なレンジャーの刺繍をいれたワッペンなのですが、これがなかなかうれしかったな。
自衛隊とか警察とか海保とかワッペン的なの好きよね。

そうして無事に隊長査閲を終えたのでした。

END




なけわがないのです。
ここからが本番、今度は爆の中隊長以下全体の歓迎会なのです。

隊長査閲が終わったので、晴れて爆の仲間いりを果たした我々新人。

中隊長以下で、さあ飲めや食べれやと居酒屋の個室を用意されました。

しかし、我々の歓迎会なのに当然お酌、注文、など上司や先輩らのお世話係です。

当時はそれが当たり前だと刷り込まれていましたが、今はこれもパワハラになるのでしょう。
今のおじさん達、どうやって飲み会しているのかしら。
不思議です。

しかし、そのお世話も新人がだいぶ酔っぱらってきたら解除傾向にあります。
だって自分たちで新人を飲ませていますから、酔っぱらっていくのはあたりまえ。

そうすると、今度は一気飲み大会が始まるのです。
今なら完全にアウトですが、当時はそんなの関係なかったですね。

中隊長もそれを見てわははと笑っている始末です。

しかも個室なものですから周りに対する配慮がまるでないのです。
トイレに行きたくて個室を抜けると当然ながらほかのお客さんもいる訳で、トイレにまで爆が騒いでいる声が聞こえて、一番うるさいのは爆でした。
しかも、個室でも、天井は開いているし、襖で仕切ってあるだけだから会話が丸聞こえなのです。
会話の内容を推察するに、というか推察するまでもなく、内容が警察なのです。
当時は酔っぱらっていますしどうでもよかったですが、逆の立場であの店にほかのお客さんとして言っていたら、警察ってやっぱりいかれているよね、うるさすぎ、110番通報してもよいレベルの騒ぎ方でした。

はずかしい

そうして飲み会も終盤にかかると、今度は、メニューの頭から最後までのアルコールを順番に注文して飲んでいこう「名付けて世界一周旅行」などと訳の分からない企画を考えだしました。

全員で一杯目のビールを頼のみ、順番にビール、ハイボール、カクテルなどと飲んでいきます。
それもほぼ一気飲み
バカです。

しかし、4,5杯目までならなんとかついていきますが、メニューの中盤から最後らへんは日本酒のオンパレード、そのお店は日本酒に力を入れているお店でした。

でも、みんな胆力と体力がありますので、なんとかメニュー1周はします。
しかし、2周目に入ると脱落者がちらほら
私と同期は頑張りましたが、同期はその場でコテンと寝落ちしました。
周囲は、なに寝てんのよ、みたいに茶化しましたが、だんだんとこれはおかしいと感じて、本人の息が過呼吸的な感になり瞳孔は開き汗がびっしょり、遂には痙攣をし出しました。
はい、アルコール中毒でした。

当時、どこだかのラグビー部からアルコール中毒を出したとかでニュースで叩かれていましたが、それです。

しかし、警察は汚れたものを隠すのが非常にうまいものですから、救急車は呼ばずに、数名のある程度まともな隊員を外に出しタクシーを拾い、アルコール中毒の同期と私と、先輩1人が病院にいくという強行手段を取りました。
救急車なんて呼ぼうものなら管轄の警察署からお巡りさんが来て事情聴取になるでしょう、すると、我々機動隊員です、飲み会です、一気飲みしてました、と言わざるを得ない状態になします。
中隊長はそれを避けたかったのですね。


結論は、病院で点滴して無事に帰りましたが、彼の奥さんはご立腹でしたね。
そうですよ、旦那を殺されそうになったのですから。

私もですが、当時は何にもわかっていなかったのです。
アルコール中毒の怖さも、警察官であることも、何もかも。

組織で生きていくには、アホな上司のいいなりにならなければ生きてはいけない。
そんなことをやった上司は、今やかなり偉いところまで言って、無事に定年退職をしようとしています。

すごいな、でも当時彼が死んでいたらどうなっていたのでしょう。
彼の人生はどう変わっていたのでしょう。

彼はそんなことがあったのに、いまだに酒の強要などを行っているようです。
元気なおじいちゃんだ。

彼とは、当時の中隊長殿です。

よく職場は上司で決まるといいますが、本当にその通りだと思います。

上司は偉ぶらず、部下のことをよく見て、良いところは伸ばしてやり、人格に優れ、尊敬されるべき人間が上司をやるべきだと思います。

世の中の上司たちよ、頑張りましょう。
偉くはないのです、偉いのはその階級なのです。


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