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あふれる

あふれる(無伴奏混声4部合唱)

作詩:中貝勇一(@U1nakagai
作曲:SEIGI

合唱指揮者、作曲家としてもご活躍され、拙作である組曲「愛と祈りの世界へと」や「春風の恋歌」の初演指揮者も務めてくださった、まおーさん(@shoumaoh)主催の「第1回仮面作曲会」(2020年7月)という企画の為に作曲。2分ちょっとの無伴奏混声4部合唱曲の小品です。

*2020年9月~2022年1月末までフリーダウンロード配信。PDFピース有料配信は2022年5月頃再開予定。製本版(SEIGIア・カペラコーラスアルバム ベストセレクション Vol.1 [混声編])に収載。

参考演奏:VOCALOID混声合唱団(女声:IA/男声:KAITO)
*強弱は一定にしてあります。

【作曲の経緯】
<仮面作曲会・概要>
共通のテーマに沿って匿名で作曲し、作者を隠した状態で互いの作品について意見を交換する会です。

私は元々参加するつもりはなかったのですが、仮面作曲会の2週間ほど前に、まおーさんよりこっそりTwitterのDMでお誘い頂き、参加者とは別に最後のシークレットゲストとして作曲することになりました。が、筆が遅いことで有名なこの私。まおーさんには「作曲はしますが、もし当日までに間に合わなかったらスルーしてくださって結構です。」と前もって先手を打っていたのでした。2週間という限られた中で、当日までに曲が書けるのかという一抹の不安を抱えながら少しずつ書き進めたものの、結局のところ当日まで納品は間に合わず……。「ま、いっか」と開き直り、そのまま書いては筆を止め、書いては筆を止め、とのんびり書いていたらあれから2ヶ月も経ってしまいました!ごめんなさい!
とにかくこの曲を仕上げない事には全く別の曲が書けないので(マルチタスクができない人間なもので、Aの曲を集中して書いてる時は他のBやCの曲は一切手を付けられないタイプ)、なんとか仕上げようと努力してようやくこの度書きあげました。やれやれ。(お誘いくださったまおーさん、関係各所の皆様、大変遅くなり申し訳ございませんでした。重ねてお詫び申し上げます。)

さて、今回の課題曲の詩は、中貝勇一先生の「あふれる」という素敵なテキストに曲を付けさせて頂きました。まずこの詩を拝読して真っ先に「シンプルなハ長調で書きたい!」という想いがありました。純粋無垢と言いますか、汚れなき世界とでも言えば良いのでしょうか。そういった詩のイメージやインスピレーションから調性を選んで曲を付けることが多いのですが、今回はまさにハ長調がピッタリだと思ったのです。


【作曲メモ・演奏のポイント】
・練習番号【A】冒頭の「雲の上」が難しい。一見譜面を見るとハ長調だしシンプルなので歌うのは楽勝かと思うかもしれませんが、特にソプラノの「う↓え↑」という6度の跳躍、しかも「u」母音からの「e」母音は相当歌いづらいことに気づくかと思います。三善アクセントも付いています。フワッとした浮遊感がほしい箇所。
・途中の練習番号【C】で一度イ長調に転調しますが、ここはまさに自分の音楽(SeigiSound)を存分に味わって頂こうと、テノールの主旋律には力を入れたつもりです。ソプラノの美しいオブリガートにも注目。個人的に気に入っています。
・49~54小節、61~65小節は作曲時、悩みに悩みました。いわゆるフレーズとフレーズを繋げる接続部なのですが、私はその架け橋を作るのがどうも苦手なようです。上手く繋がっていれば嬉しいのですが……。
・練習番号【D】の「ほほえみや/なみだや/いのりが」は、55~60小節まで当初のスケッチ段階ではaccel.を付していました。最終的には省いてしまいましたが、ちょっぴりアクセントを加えたいならaccel.をかけても面白いでしょう。
・練習番号【E】はハ長調に戻ります。「混ざって あふれる/それが こころ」のフレーズはどうか感動的に歌ってほしいと思います。
・この曲は少人数向けのアカペラを意識して書いていたつもりなのですが、曲の最後の最後で私の想いが、音が、それこそ大いに「あふれ」出て、我慢できずにdiv.を書き加えてしまいました。しかも全パート。反省。頑張って人を集めて歌ってくださいね。
・最後の音にはfp(フォルテピアノ)とcresc./decresc.が付されています。技術的にはかなり難しいことをしています。じっくり練習してみてください。(以前から申しているように、私の曲でfpが出てきた場合はそこがかなり重要なウェイトを占めていると言っても過言ではありません。)

長々と綴ってしまいましたが、企画にお声がけくださったまおーさん、素敵な詩を使わせてくださった中貝勇一先生に感謝申し上げます。ありがとうございました!皆様ぜひ歌ってみてくださいね。

2020年9月13日
2022年2月1日 追記
SEIGI


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