週間運用レポート 2020.8.15

週間為替市況

寄り付きは穏やかだったが、日本勢が祝日で不在のため日中はドル売りとなった。
欧州時間に入ると先週末にトランプ大統領が署名した失業給付の増額を含めた追加経済対策の大統領令を市場は好感。株価は上昇しドルも買われドル円は一時 106.10 台まで上昇。
その後は、米中対立激化懸念や大統領令への一部不満もあり、こちらが相場の重しとなり株価もドルも売られ、ドル円は再び 105.70 円台まで下落。

トランプ氏のコロナ対策は「州に過大な負担」 協議再開を=与野党知事 ‐ロイター
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-congress-idJPKCN2570B8


上記の様に、トランプ大統領の大統領令署名により現在進行中の追加経済対策の米政権と民主党主導部協議が更に難航すると懸念されていたが、ムニューシン米財務長官は「民主党の主張が合理的ならば、政権と議会は追加対策で合意できる」とコメント。
こちらを受け株価もドルも持ち直しドル円は 105 円台後半で引けた。


翌火曜日
日中は穏やかだったが NY タイムに 7 月の米卸売物価指数(PPI)が前月比+0.6%と予想+0.3%を上回り
2018 年 10 月以来の伸びということでリスクオン。株と共にドルも買われた
また、この日ロシアが新型コロナウイルスのワクチンを世界で初めて承認したと伝わるとリスクオン継続相場となったが、米市場の引け間際に米国の追加経済対策の米政権と民主党首脳部協議が行き詰っていると伝わると株価が失速。
共和党のマコネル上院内務相は FOX ニュースのインタビューで「ムニューシン財務長官やメドウズ首席補佐官は本日ペロシ下院議長ら民主党首脳と話をしていない」と発言。
こちらを受け与野党協議の行き詰まりを証明した形になり株価は大きく下落したが、ドル円への影響は然程でもなく 106 円ミドルをキープして引けた。

また、この日の主役は何といっても Gold だった
先週 2000 ドルを突破し 2100 ドルを伺うところまで急騰したが、先週末から利益確定の売りが入り始め、この日
にはなんと約 130 ドル急落。スポット市場では1トロイオンス 2029 ドル台から一時 1901 ドル台まで急落した。


Spot Gold 日足

Spot Gold 日足

昨年は一か月でも 100 ドルの動きは稀だったがたった一日で 130 ドル下落。


水曜日
ドル円続伸。
日中からドル円は堅調に推移した。
NY タイムに 7 月の米消費者物価指数(CPI)が発表され前日の PPI と同じ+0.6%(予想 0.3%)ということで、株もドルも買われた。
ただ、直後に民主党のペロシ米下院議長「追加経済対策を巡る協議について我々は未だ程遠い場所にいる」と発言。
ムニューシン財務長官も「ペロシ下院議長は追加経済対策について交渉はしないだろう」
更に「キャピタルゲイン税減税のためには法律の制定が必要」と発言し追加経済対策や減税政策への期待後退を余儀なくされ NY タイム後半に株価は伸び悩んだ。

米財務長官、経済対策の交渉に民主党は関心なし-下院議長と電話 -Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-12/QEYZ71DWLU6901?srnd=cojp-v2


ドル円は引き続き底堅く推移し 106 円後半で引けを迎えた。


翌木曜日
日中は前日の戻りを試す展開に。

ドル円はアジア時間終盤にこの日の日通し安値となる 106.50 円台まで押したが、NY タイムに掛け上昇。
NY タイムに先週の米新規失業保険申請数が発表されると予想 112 万件に対し 96.3 万件ということで大きく株が買われドル円も買われた。
その後はリスク回避のドル買い後退で押し込んだが、トランプ大統領が FOX ニュースのインタビューで
「私のおかげでドルが強くなり、第二期は更にドルは強くなるだろう」と昨年まで事ある毎にドル高是正の発言をしてきた人とは思えない発言を受け、ドルは急速に持ち直した。
その後、引けにかけて株価が失速。
ナスダック指数は史上最高値付近まで再び上昇したが、この所市場の関心を一手に集めている米追加経済対策協議の行方に対する不透明感と史上最高値付近で利益確定売りが散見され、引けに掛け大きく値を下げた。

米ハイテク株の上昇にブレーキ、FANG銘柄3月以来最大の下げ ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-20/QDQHE2DWLU6F01?srnd=cojp-v2


ドル円はこの日も 106 円後半で引けた。


昨日金曜日
ドル円は日中から下げた
この所週末のポジション調整が顕著で金曜日に逆行という動きはこれで 3 週連続となった。
東京仲値で107円台まで上昇したが、その後はズルズルと値を下げ、欧州時間には欧州の株価が弱含み株の下落と共にドルも失速。
NY タイムに発表された7月の米小売売上高が予想 1.9%増のところ 1.2%増に留まりさらに下落。
その後に発表されたミシガン州立大学消費者態度指数が予想を上回ったことやトランプ大統領が会見で民主党主導部との追加経済対策協議に関し「交渉は打ち切らない」と発言、また全世帯への現金給付にも触れ、株価は持ち直したがドルは戻りの鈍い展開となり、結局ドル円は 106.60 円台で引けた。
今週は米追加経済対策の先行きに振られた週となった。
株価も時間外での利益確定売りが散見されており、無類の強さを誇っていた Gold も大きく売られたことで調整局面を匂わせる動きが目立った。
来週以降トレンドが逆行するのか注目したい。

取引レポート
先週のレポート通り、株価インデックスのショートと Gold の押し目買いを行おうと思ったが、Gold が週明けより下げ始め、火曜日の動きを見て「これはイケナイ…」と思い Gold をドテンショートした。

当然、爆益となった。
大暴落の翌日水曜日には 25 日移動平均線を割り込んで下ヒゲを出したため、一転ロングに持ち替え
物凄い動きで数分で 5 ドルも 10 ドルも動いたため、日中だけで大きく利益確保が行えた。
Spot Gold 一時間足

Spot Gold 一時間足

常時は一日に 20 ドル動けばまあまあ動いたというシンボルだということを思うと余程激しい相場だったことがお分かりいただけると思う。

一方株価インデックスショートは、この所強すぎたため、こちらもそれなりの対策で挑んだ。
とはいうものの引き付けて売るというシンプルな手法だが、幸運にも今週は NY タイムでの急落が多く非常に有効な手となった
Nasdaq100 CFD 一時間足

Nasdaq100 CFD 一時間足

今週株価インデックスは毎日 NY の高いところで大きく売られた。完全にアジア勢のロングを食いに来ているオーダーだろう
NY タイムの高いところを売るという戦略はこの夏いいかもしれない

また、先週レポートでは触れなかったがシカゴの EUR ロングが非常に溜まっている。ユーロショートを敢行した。
が、不発…
とはいえ引き付けての参入のためまあまあ利益にはなったが、こちらの狙っているようなものにはならなかった 同じ戦略でポンドを売ったら倍以上の利益だったなと思うと「暴れ馬ポンド」というだけで尻込みした意気地のない自分が悔やまれる…

CFTC EUR 先物投機筋 NOP

CFTC EUR 先物投機筋 NOP

昨晩発表で更に増えており、約 20 万枚の買い越し当然過去最大の買い越しとなっている

来週以降、ドルの急反発が警戒されている中でどう動くのか注目したい。


ドルショートに偏りすぎとヘッジファンド、急反発リスクを警戒 -Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-12/QEY534T0G1L601?srnd=cojp-v2

来週からの戦略

今週はこのレポートでもさんざん触れてきた Gold が主役になった喜ばしい
とうとう Gold は天井を打ったのか?これは何かの前兆と捉えるのが自然だろう。以下若干気になっている
CFTC 金先物投機筋 NOP

CFTC 金先物投機筋 NOP

週間終値ベースでも約 90 ドルの下落とは強烈だ
シカゴの金先物投機筋のロングポジションは先週比約 6 万枚しか減っていないこの発表は火曜日までのポジションを金曜日深夜に発表される。
あの暴落で投機筋のロングを 1.4 万枚程度しか減らしてない意外と底堅いかもしれない
暴落以降、25 日移動平均線でサポートされており、そこでロングを仕込んでもいいかもしれないこの 25 日移動平均線は目先重要ポイントとなるだろう

株ショート派の当方としては資産バブルの崩壊は期待している立場だが、2 月や 3 月のコロナショックの様に株も下がり Gold も下がりドルが買われるという動きになるかはちょっと疑問だ。あの時は未知のウイルスに対する知識もなくパニック状態になったため現金化相場となったが、現在市場には各国中央銀行がバラ撒いた資金が潤沢にあり、市場参加者はこの相場に免疫がついて通常通りに対応できそうである。

OECD 公的債務 1270 兆円増 加盟 37 カ国、コロナ対策で膨張 -共同通信
https://this.kiji.is/665503947158750305?c=39546741839462401 1270 兆円っていくらだよと言いたくなる。恐ろしい額だ…

ドル円リテール売買動向

ドル円リテール売買動向

ロングが減少傾向。


CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)

CFTC 円先物投機筋 NOP(円先物のため売買反転)

リテールもシカゴ投機筋もドル円ショートだ。やはり上がるか?

EURUSD リテール売買動向

EURUSD リテール売買動向

先週の高値更新以降、徐々にロングの増加が確認できる。やはり、いよいよなのか?

為替に関してはドル買い目線で良さそうだ
ドル下落、10 年ぶりの 8 週連続安=NY市場 ‐ロイターhttps://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKCN25A2TY 売られ過ぎだ

問題の株…


米テクノロジー大手4社、時価総額で日本全体超える-チャート ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-21/QDSO9YDWLU6K01?srnd=cojp-v2
数か月前、上記 GAFA+M が東証一部を抜いたと報道されたが、以前このレポートでも触れたが、とうとうアルファベット(グーグルの親会社)、マイクロソフト、アップル、アマゾン・ドット・コムの 4 社で日本の全上場企業の時価総額を抜いてしまった…

こりゃバブルだろう。資産バブルだ
世界中誰でも知っている通り、現在景気は全く良くない
確かにこのような状態だと IT への依存は強くなるが、生産による富ではない以上、過剰と言わざるを得ないだろう、前出しているが世界の公的債務が 1270 兆円増えている。
その一部が株式市場に間接的であれ流れているのは疑いようがない
バブル崩壊とまで結論づけるのはまだ時期尚早だが、Gold 同様調整が必要だろう
先週レポートしたが 8 月 31 日にアップルが株式分割する、その辺の時期は注意が必要と思われる

株価の調整局面は寸前のところまで来ていると決めて掛かりたいと思っている。日経平均は 17 日もしかするともしかするかもしれない
欧州株は週末すでに大きく下げた


4-6月GDP年率 27%減見通し、戦後最大の落ち込み-コロナ直撃 ‐Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-13/QEZ4ELDWX2R701?srnd=cojp-v2


4‐6 月の数字が悪いのはわかりきっていることだが、日経平均やドル円は正式発表されると反応することが多いヘッドラインには反応しないのに NHK や日経新聞で報道されると市場が反応するという傾向がある
お国柄かもしれない


日経平均先物と NY ダウ、ナスダック先物の価格推移(日足)

日経平均先物と NY ダウ、ナスダック先物の価格推移(日足)

日経平均(ローソク)、NY ダウ(緑)、ナスダック(青)
実は現在日経平均の方が NY ダウよりパフォーマンスがいいアメリカさんがこの乖離を許すとは思えない…

今までのセオリーとしては、米国が喰らう、その後日本が喰らう
後で喰らった日本の方がひどい目に合う→米国は立ち直っても日本は立ち直れないというのが長年続いてきたセオリーだが、今回はどうなるのか非常に注目している
ご存じの方も多いと思うが1990 年代のバブル期以降、史上最高値を更新していない先進国の株価インデックスは日経平均のみということは頭に入れておいていただきたい
今回は大規模な財政出動で株価の暴落は瞬間的なものだったが、この状態が普通ではないのは誰でも知っている
この青天井相場に「神」の見えざる手は動くのか?
米国の追加経済対策の米政権側と民主党主導部協議が難航している。

大統領選を前に双方譲れない状況だ
これが長引くと人工呼吸器で延命している米国経済には深刻な影響が起きることは今週の株価の値動きが証明した。
3 兆ドル出したい民主党と 1 兆ドルで納めたい共和党。もう資金注入なしでは生活も株価も持たない。
共和党は政権担当者なので後先考えない財政出動は控えたいだろう、ある程度節度は保ちたい筈だ野党は気楽なもんだ
これは日本でも規模は違えど同じ事が起きているさあ波乱の 8 月 3 週目がスタート
来週の戦略は
この 2 週間の動きの規模が大きくなると予測

・ NY タイムの株価が上がったところは大きく売りが入る(ネガティブな報道&利益確定売り)
・ 金曜日は当週の動きに調整が入る上記 2 点は抑えておきたい

そのうえで、ドルロングドル円は押し目買い
75 日移動平均線を抜きに掛かっており水木金と 3 度チャレンジして未だ抜けず
17 日(月)の GDP 発表で一回大きくしゃがむかもしれないが押し目と捉えて安いところを売っていく様な愚は避けたい。
105 円台まである覚悟は必要だろう。

EURUSD はナンピン覚悟で売り上がり戦略遅かれ早かれこれは下げる。
約 20 万枚の利益確定売りはなかなか強烈な下げになると思われる。

Gold は 25 日移動平均線に接触まで待機。

株は前述している通り、NY タイムの高いところをショートという戦略で行きたいと思います。
今週もありがとうございました。 来週もよろしくお願いいたします。

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