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拝啓 父上 Vol.60

間に合った。
自分の声で
自分の言葉で伝えられて良かった。


公の場でこんな文章を書くことを
許してください。
諏訪商店の創業者の生き方と
その歴史との繋がりを紡いでいく君たちにも
なんとか知ってもらいたい、カタチに残したい!
という想いで
書き綴らせてもらいました。
最後までよろしくお願いします。

第10話最終回

どう仕事と向き合うのか。
どう自分と向き合うのか。
カッコいいとは なんぞや。
父さんの背中が教えてくれた。


今は小さくなったけど
命を懸けたその背中に教わった。
本当にカッコ良かった。


俺はまだまだカッコ悪い。
兄とは違い
頭も悪く、生意気なことばかり言って
不器用で、言うこともきかない。
父さんは俺のやることなすこと
ただただうなづいて
いつも一方通行に
自分の話を聞いてくれた。
きっとそのおかげで
自分は世界でひとつの考え方を通すクセが
ついた。


高校受験の勉強をしていると
「お前は高校に行くのか?」と俺に
に言ってきたよね。
高校に行くことは
当たり前じゃないことに気づかされた。
正座して「高校に行かせてください。よろしくお願いします」と言ったあの日から
父さんには感謝の気持ちしかない。


学生のとき、自分が「野球だって勉強だって楽しかったら伸びない。仕事も楽しいわけがないだろ?」って
言った時 それまで否定を1度もしなかった
父さんは「商いはあきない、仕事は楽しい」と
はじめて本気で否定された。
あの時は納得しなかったけど
今になって心から言える「父さんが正しい」と。


学生の時、大学いきながら
勉強、野球、どうしようもなく忙しいのに
俺、バカだから会計学の専門学校にも行きたいって
言いだしたよね。何も聞かず
「お金のことは心配するな。やりたいならやれ」と言ってくれたよね。やりたいことをやらせてもらったおかげで気持ちだけじゃなくて数字でも経営する力が身についた。


就職した先に天職をみつけ
諏訪商店には入社しないと伝えたとき
「お前は次男坊だから好きなことをやれ。こっちはお兄ちゃんがいるから大丈夫だ。お前はお前のやり方で生きていけ」と言ってくれたおかげで
手加減なく外で学べ、甘えがなくなった。
諏訪商店には入社しないって言ったとき
きっとすごくきつかったよね。
親になってわかったよ。
言ってほしい一言が。


入社して毎日毎日仕事。全く休みなく仕事をしているとたまには休め。とよく言ってたよね。
休まないよ。
息子はね、オヤジが言ったことは聞かないんだよ。
まったく逆のことをするんだよ。
オヤジの言うことなんて聞かない。
オヤジが作ったものを全部、壊していくんだ。
守ることなんてしない。
壊しまくって前に進む。


生まれてくる出番なんてなかったはずの自分。
奇跡とチャンスを神様が与えてくれたんだよね。
次男坊のバカ息子は諏訪商店にとって
救世主になっただろ?
お兄ちゃんの右腕にふさわしくなっただろ?
自慢のバカ息子になっただろ?
最高の兄弟だろ?
兄弟仲良く今日を迎えたことが
唯一の親孝行だな。


一生に1回しか言わない。
良く聞け‼️届いてくれ。
本当に諏訪広勝の息子でよかった。
こんなにも愛してくれて

ありがとう。


安心しろ。
全部、任せとけ。俺たちに。


『諏訪聖二、どうする父さん』Vol.51-Vol.60(全10話)


父、諏訪廣勝は2023年9月22日に永眠しました。
幸せだった、悔いはない、生前父が残した言葉がすべてだったとおもいます。こんなに愛され慕われた人はみたことがありません。理想の人生であり、憧れる生き方でした。生前、お付き合いいただきました みなさまの愛情に感謝しかありません。父から受け継いだ魂を大切にしながら兄と力を合わせ 恵まれた仲間との絆とともに時代を紡ぎながら諏訪商店をこれからも盛大に盛り上げていきますので今後ともよろしくお願いします。

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