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文化財保護を軽視した金儲け?小田原市のJSフードシステム社への過剰な配慮はなぜか

史跡小田原城跡調査・整備委員会の議事録を確認しているのですが、9者からの提案があり、文化庁や史跡小田原城跡調査・整備委員会から文化財保護のための牽制を受け、提案公募時の国指定史跡後への増設禁止の条件を破ってまでも、建築審査会により建築基準法の適応除外を受けてまでも、なぜこれほどまでにJSフードシステム社への過剰な配慮を行い、小田原市が文化財保護より商業最優先に舵を切るのか、合理的な理由がなく全く理解できません。

情報として聞くのは(噂の域を越えませんが)、守谷市長とJSフードシステム社の田川社長がライオンズクラブというグループのつながりにより非常に懇意だということだけです。現時点では他には原因が考えられず、小田原市からのオープンな回答を待ちたいところです。他の提案者が本当に公平な選出であったのかと疑問の声は上がっているようです。

9社もの代替プロジェクトや文化庁、史跡小田原城跡調査・整備委員会からの反対意見があったにも関わらず、小田原市がJSフードシステム社の増設計画に固執した経緯と、とその背後にある問題点について詳しく検討します。

清閑亭
公募時の条件違反、文化庁の許可、委員会の懸念、建築基準法などの困難なハードルを越えてまで清閑亭内に増設された厨房


小田原市が多数の提案者がいる中で、特にJSフードシステム社のプランを選び、他にも適切な提案があったにもかかわらず、小田原市が一つの企業に焦点を当て、その提案を進めることに固執した背景には、透明性の欠如と利害関係の問題が指摘されています。他の提案を適切に検討せず、専門家の意見がありながらもプロジェクトを進めたことは、市の意思決定プロセスにおける公平性と公正性に深刻な疑問を投げかけます。このような選択がなされた理由について、小田原市は市民に対して明確な説明責任を負っています。

議事録を見ても、増設やレストラン利用による、火災リスクや荷重等に対して極めて強い懸念を示しているように見えます。

委 員:増築部分をどのような構造にするか、その時に火災の危険性等、そのようなことに関して何らかのコメントがあってもよいのではないか。それはどこかにあるか。
事務局:それについての記述はないので、載せるように修正する。
委 員:結構気になるところであり、増築する新しい部分は、火を扱う訳だから、他から火をもらうというよりもそこから火が出るという可能性があるわけである。外側の防火仕様というよりも内側の問題をきちんとやっておかないといけないと思う。清閑亭本体が、もし何かあった時に本当になくなる、焼けてしまうというあたりがとても心配である。そこをきちんと示しておかないといけない。必要な修正を行っているようにはあまりみえない。それから、もう1つは、75頁にも書いてあることであるが、75頁の一番上の方に当初、住宅として建てられたと書いてあるので、住宅にふさわしい構えをもっていた建物である。昔、私はここの調査をしたことがあるのだが、その時も利活用を考えた。その時に、やはりこの問題が結構あった。清閑亭にものすごくたくさんの人、50名、100名の人が集まって、何かをやるというような場所ではないという話をした覚えがある。やはり、ここに書いてある価値を逸脱した整備は行わないということは、一定以上の密度の高い利用というのはなるべく避けようということを皆がわかっていないといけない。何が起きるかわからないから。もちろん、事業者の提案は必ずしもそうではなく、たくさんの人たちに来てもらいたいということかもしれないが、そこは少し文化財として清閑亭の出来てきた経緯や過去の使われ方を考えた上で、適切な利用をするということをもう一度きちんと確認しておきたいと私は思う。
事務局:業者もレストランをやって、確かにぎゅうぎゅう詰めにするということは考えていなかったと思う。この建物の雰囲気を活かして、お客様にお食事を提供し、小田原の歴史及び食を楽しんで理解していただくようにしていきたいと言っている。密度がどのくらい高いか低いかという問題はあるが、レストランで食事を提供する時のこの建物にふさわしい人数を業者に伝えて、理解してもらうようにしたい。
委 員:念のために言えば、住宅だから床の荷重等は、大勢の人たちがどっと入ってくるようなことは元々想定されていないと思う。その辺が大丈夫ならよいが、考えておかないといけない要素であると思う。

令和4年度第2回史跡小田原城跡調査・整備委員会会議録(令和4年11月17日開催)

また、小田原市は、文化庁から一度は却下されたにも関わらず、許可をとるために相当な調整を行った上で、変更許可の受理につなげているように見られます。他に増築を必要としていない8者からもの提案があったにも関わらずです。

令和3年3月に清閑亭の利活用にかかる民間提案募集を市で行った。7月にプロポーザルにより、小田原市入生田に本社を置く株式会社 JS フードシステムが採用された。提案内容は、「食を通じて小田原ならではの文化を発信すると共に、小田原観光の回遊拠点の1つとして地域連携を図り、持続可能な形で建物を維持保全していくことを目的とする。」というものである。こちらの清閑亭で有料の食事を提供するということになっている。この提案が採択されたので、令和3年9月頃から清閑亭で食事を提供するための改修等の打合せを、文化財課と所管課の文化政策課と株式会社 JS フードシステムとで断続的に行っている。その中で、先程見ていただいた清閑亭の北西に調理室を増築して食事を提供したいという申し出があった。断続的にその旨の調整も行っていたが、今年度、令和4年5月上旬に、調理室を増築する場合の図面を用意し、文化庁へ現状変更申請を提出した。5月中旬に神奈川県を通じて文化庁から現状変更申請は認めないという連絡があった。それを受けて、6月に文化庁へ行き、調査官と協議をしたところ、調理室を増築するのであれば、清閑亭土塁及び清閑亭に関する歴史や保存の方向性をまとめた計画(以下計画と呼ぶ)を作成するようにとの指示があった。また、更にその計画を史跡小田原城跡調査・整備委員会の承認を得るようにとも指示があった。史跡小田原城跡調査・整備委員会にかける前に案を作り、その案を7月下旬に文化庁へ見せ、8月下旬に文化庁調査官と対面で協議を行った。約1ヶ月後、9月下旬に文化庁から計画案の修正をするよう指示があり、この委員会の前に、11月上旬に修正した計画案を文化庁へ再度提出した。今後の予定は、文化庁から計画案について内諾を得られた段階で、現状変更申請を行い、文化庁から現状変更の許可を得る予定でいる。現状変更許可の通知を受理した後、清閑亭の改修工事に入る。改修工事終了後、食事を提供する清閑亭として株式会社 JS フードシステムが開業するということになっている。

令和4年度第2回史跡小田原城跡調査・整備委員会会議録(令和4年11月17日開催)


小田原市の清閑亭及びその周辺地域に対する開発計画は、文化的価値と公共の利益を軽視した事例として、多くの市民から懸念されています。特に、JSフードシステム社による飲食施設の設置は、9者からの提案がありながらも、代替案の検討が不足している懸念があります。このような行動からは、市が特定の民間企業との関係を公共の利益よりも優先したことが示唆されており、市民と文化財保護の基本原則を蔑ろにしているようにも見られます。

さらに、他の提案者による代替案の存在にも関わらず、増設禁止という条件を破ってまでもJSフードシステム社の提案を進め、他社との検討が不十分であったことは、小田原市の開発計画の透明性と公平性に重大な疑問を投げかけます。9者からの提案がある中で、その過程における公正性と適正性が問われています。市が代替案の検討を怠ったことは、民間企業との不透明な契約と結びつき、市民の信頼を損なう結果となりえます。

このプロジェクトに対する小田原市の取り組み方は、短期的な経済利益を追求するあまり、長期的な文化財の価値や市民の福祉を犠牲にしていると言えます。市は、文化庁や専門家の意見をもっと尊重し、開発計画を再考することが求められています。市民と文化財を守るために、透明性の高いプロセスを通じて、全ての提案が公平に検討されるべきです。

「清閑亭問題」は小田原市の守屋市長肝入と言われる文化財利活用プロジェクトに対して、自民党の地方政治でよく聞く「癒着」や「利益供与」の疑いを持ち、積極的な調査と情報発信を行っています。


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