見出し画像

理学療法士として”問い”を立て、その答えを探していく

トップレベルの理学療法士は何を感じて臨床を実践しているんだろう

これが、2011年から理学療法士として社会に出てから、2015年くらいからぼく自身の中で生まれた”問い”です。

この問いは、理学療法士としての仕事を仕方を根本から変えていきました。一般的に臨床研究を行うときに使う「クリニカルクエスション」としての問いとは根本的に異なります。

この問いは、2015年当時の自分の今後10-20年単位での理学療法士人生をも左右するものであり、重要なリソースであるたくさんの”時間”を使ってでも、自分なりの答えを見つけたいと思わせてくれるものでした。

仕事に当てられる時間は、人間平等に与えられた24時間という時間の大半を占めるものです。その時間をどうやって使っていくか、その使い道を自分が立てた問いの解決に使い、その問いに対する自分なりの答えを見つけることは、自分自身の成長にも繋がるし、自分が対応する患者さんのためになると信じて進んできました。

そして、8年が経過した2023年時点でその”問い”に対する自分なりの答えをハンドリングに見出すことになります。今回は、その答えに至るまでの過程をアウトプットして、整理していきたいと思います。


♦︎勉強の方向性を変える必要があると感じた2013-2014年

自分がPTを目指したきっかけは、自身が野球をしていたことでした。そのため、養成校を卒業したあとは、整形外科に勤めることが自分の中で既定路線になっていたと思います。

その後、2011年に整形外科へ就職することになり、臨床家としての経験が始まります。

転期となったのは、確か2014年くらいだったように思います。ある肩関節に愁訴をもつ患者さんを対応したのですが、まったく改善がない、もしくはむしろ介入することで悪化(肩関節の挙上可動域が30°程度悪くなる)したという経験を立て続けにしました。

それなりには勉強する方だったので、教科書や論文、講習会にも参加しており、2-3年経って慣れも出てきたときだったこともあり、自分の力のなさに危機感を覚えたことを今でも覚えています。

このときに、「自分が勉強するべき方向性を明確に変える必要があるかもしれない」と強く感じました。

この出来事をきっかけに行動を変えていくことになります。

♦︎理学療法士としての”問い”を立てる

自分が目指す理学療法士像(当時はかなり漠然としてた)に近づくために、PTとしてはビックネームである、山口光國先生、福井勉先生、柿崎藤泰先生、安里和也先生などの勉強会に参加します。

この先生方は、データを元に臨床を行うというよりは、自分の臨床をデータから証明するという一般的なPTとは反対の行動をとっている方々で、セミナーを受けていても、かなり興味を惹かれるものでした。

しかし、勉強会の中ではわかった気になるものの、翌日からの臨床で自分なりに学んだものをアウトプットしても全く成果は出ません(このような経験はしたことがある人も多いのではないでしょうか)。

ここで、冒頭でも書いた”問い”が生まれることになります。この先生方がいったいどうゆうことを意識して、何を考え、何を感じて患者さんの体を触れているんだろう、と。

この段階では、理学療法士としてのスペックが天と地なのは承知です。しかし、彼らも理学療法士になる前からできたわけでもなければ、生まれた時点でこのような能力があったわけでもありません。

同じ人間なのですから、生物としての構造はほとんど同じです。であれば、ぼく自身にも理解できるのではないか、できるようになるのではないか、自分なりに作り上げていくことができるのではないか、というように思ったのです。

その結果、彼らを自分のPTとてのベンチマークと設定して、臨床での研鑽を積み重ねることになります。

♦︎立てた”問い”と自分自身の特性の相性が良かった

このような問いを立てて臨床に戻っていくわけですが、当然のごとくいきなりできるわけもありません。むしろ、逆によくわからなくなったことすらありました。

目の前の患者さんの愁訴を無視するわけにはいかないので、どうにか改善の方向に導きつつも、自分の中での感覚は迷走して時期もあります。

2015年当時、自分の勉強の方向性を変えてから自分が所属するリハ科内での初めての症例発表を迎えたとき、発表後に科長から呼ばれて、内容について色々とマンツーマンで指摘を受けたこともありました。対象症例の方はちゃんと改善したんですけどね。

そんなことがあっても自分の信念を変えることはありませんでした。確かにその時点では周囲を納得させられるスキルには程遠いかったですし、自分自身ができている!とも思っていません。

しかし、自分なりの”問い”の答えを見つけていくことが、結果的に患者さんのためになることを信じていたので、周りの目や上司からの意見で自分を曲げつことがありませんでした。

自分自身の特性的に、”一度明確に信じたものを貫き通す”という力があったのかもしれません。

この記事を執筆している2023年11月現在、この問いに対する自分ありの答えが見えてきたように思います。そして、一度、納得できるレベルに自分の中に落とし込めると、それは自分のスキルという資産になるのでこれが複利的に改善していく感覚もあります。

この答えは、自分なりのハンドリングに落とし込めると考えています。これから常に自分の感覚をアップデートし続けていきます。

EBMが叫ばれ、AIが勃興しているこんな時代に人間と人間を関わりでしか得られない知見を溜めていくことはこれからの時代をPTとして生きていく上では必要だと思います。

このnoteから継続的に発信していきますので、これかもよろしくお願い致します。

2023年11月 沼田

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?