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【政経東北】問われる復興への本気度-巻頭言2020.10

 長期にわたった安倍内閣が退陣し、菅内閣が発足した。安倍政権の継承を謳っているため主要閣僚はほとんど変わっていないが、被災地の人たちが自然と目を向けるのは「復興大臣に誰が就くか」だ。

 今回就任したのは平沢勝栄衆院議員(75)。当選8回で初入閣となった平沢氏は東京17区選出で、岐阜県白川村出身だが、幼少期を福島で過ごし、福島高校を卒業している。

 自民党政権下における復興大臣には一つの共通点がある。それは「大臣未経験者」か「被災地と何らかの関わりを持つ人」が就任していることだ。

 復興庁が発足したのは2012年2月。以来、歴代の復興大臣は、民主党(菅・野田)政権下で務めた①松本龍氏、②平野達男氏以降、自民党(安倍)政権下では③根本匠、④竹下亘、⑤高木毅、⑥今村雅弘、⑦吉野正芳、⑧渡辺博道、⑨田中和徳の各氏が務めたが、実に全員が「大臣未経験者」(根本氏は後に厚生労働大臣)。「被災地と関わりを持つ人」は福島2区選出の根本氏、同5区選出の吉野氏、そして今回の平沢氏だ。

 ちなみに、この3氏が就任した時期も明確な意図がある。根本氏は「被災地の復興なくして日本の復興なし」と宣言した安倍政権発足直後、吉野氏は前任の今村氏が「震災が起きたのが東北でよかった」と失言した後、平沢氏は菅内閣発足直後。これほど分かり易い人選の大臣ポストは、ほかにあるまい。

 いま世間が最も関心を寄せるのは、新型コロナウイルスの収束と落ち込んだ経済の立て直しだ。そのタイミングで発足した菅内閣が両問題に注力するのは当然だが、その陰で被災地の復興は未だ途上にあることを忘れてはならない。とりわけ原発事故に見舞われた福島県は、避難指示が順次解除されているとはいえ、帰還困難区域の再生に目途がついていないことを考えると、さらに10年、20年と長いスパンで復興の行方を見守る必要がある。

 にもかかわらず、菅義偉首相からは復興への取り組みに関する言及がない。菅内閣が9月16日の初閣議で決定した基本方針には、安倍政権で記載のあった「震災からの復興」「原発事故」に関する記述がなかった。そもそも復興の象徴だったはずの東京オリンピック・パラリンピックが、いまでは新型コロナウイルスに打ち勝った証しの場にすり替わりつつあるのだから、国会議員が復興を忘れるのも無理ない。

 復興庁の設置が延長されたとはいえ、復興大臣ポストが〝初入閣組〟にあてがわれているようでは、復興への本気度は伝わってこない。      (佐藤仁)


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