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40代以上の男性に多い腎がんー耳寄り健康講座⑥

今月のアドバイザー
常磐病院 新村浩明 院長

 常磐病院の新村です。今回は腎臓にできる悪性腫瘍「腎がん」についてご説明していきます。

 【腎がんとは?】
 腎臓の中で血液を濾過(ろか)し身体に不要な水分と成分を含む尿をつくる部位を「腎実質」と言います。この腎実質の細胞ががん化して悪性腫瘍になったものを「腎がん(腎細胞がん)」と言います。腎がんは、がんという病気全体で見ると約1%の割合。女性よりも男性の方が罹りやすく、40代以上の方に多く見られます。

 【腎がんの原因と自覚症状】
 腎がんの原因ははっきりとは分かっていませんが、喫煙者は非喫煙者に比べて、リスクが約2倍も高まると言われているほか、食べ過ぎ・運動不足など生活習慣病、いわゆる「メタボリックシンドローム」との関係性が高いと言われています。

 初期症状はほとんどなく、人間ドックや健康診断で見つかったり、がんが進行してから発見されるケースが多いです。がんが進行し腫瘍が大きくなると、血尿が出る、お腹にしこりができる、脇腹や腰、背中が慢性的に痛むなど、様々な症状が現れます。

 【腎がんの検査と治療法】
 腎がんの検査は、スクリーニング検査として超音波(エコー)検査を行い、その後確定診断を行うためにCT検査で、がんの進行度合いや大きさ、リンパ節やほかの臓器への転移などを確認します。

 さらに詳細に調べる際などは、MRI検査なども実施します。これらの画像診断だけでは確定できない際には、腫瘍の一部を採取し、悪性かどうかを調べる生検を行います。

 腎がんの標準治療は、手術になります。7㌢以下の腫瘍では、腫瘍のみを切除する「腎部分切除術」、7㌢以上の腫瘍では、腎臓を全て切除する「根治的腎摘除術」を行います。現在はロボット手術が保険適応となっていて、傷が小さく体の負担が少なくなっています。他の部位に転移がみられる場合は、腎臓を摘出した上で、薬物治療を行います。

 【治療後の注意点】
 手術後、数年を経過してから再発するケースも少なくありません。治療後も定期的な診察・検査を受け、経過を観察していくことが大切です。なお、腎臓を1つ摘出してしまっても、残った腎臓が正常に機能していれば、日常生活を送る上で特別問題はありません。

 【まとめ】
 腎がんは、生活習慣病が影響する病気と言われています。暴飲暴食を避け、適度な運動を行うようにしましょう。なお腎がんは、他のがんと比べて治りやすい病気と言われています。早期発見・早期手術で取り除くことができた場合、5年後の生存率は100%に近いと言われています。また比較的再発も少なく、根治の可能性が高いがんです。人間ドック・健康診断などを定期的に受けることをおすすめします。


しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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