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いい話に疲れた時には何故かホラーがみたくなる。漫画「東京伝説」

本日の東京国分寺市は驚きの寒さ。雨。それに加えて更年期だかPMSだかわからないが身体が重くて憂鬱だ。眠いし。しかもガス台壊れて料理もままならないし最悪。

政治経済など現実的なニュースを見ても頭に入って来ないし録画した新喜劇を見てもつまらない。新喜劇ではお化け屋敷と介護と遺産相続の混ざった芝居をやっていた。お化けと小籔座長が追いかけっこするシーンでは会場の子供がキャーキャー言って喜んでいたが、私が子供の頃にもドリフでこんなのあったなあと思う。私も子供の頃はそんな風に喜んでいたのだろうか?全く思い出せない。

私の両親は私が生まれる前まで劇団員で、子供の頃見ていたTVには時々親の知り合いが出ていた。笑っていいともに親の知人が出ている時には、うちに電話来るかもよと騙されて固唾を飲んで電話を見つめていたことがある。本当に大人って、嘘ばかりだよね!

両親が、この人のこの芝居は最高だとか変だとかこれは演出だとかやらせだとか、話しているのを聞いて育ったから、TVの前に座って画面の志村けんに向かってうしろー!とか叫ぶような家庭環境ではなかった。今はSNS時代で色んな人が色んなツッコミ入れてるのを誰でも見ることができるけど、こんな時代でもお化けに追いかけられてる役者に起きて!起きて!とか叫ぶ子供も居るのかと、新喜劇を見ていて少し驚いた。

お屋敷に住むのは子供思いの親と、親思いの子供に金にたかる子供達と、めちゃくちゃベタな設定で、これにも今日の私は疲れてしまう。私の親は世話をしてくれてありがとうなんて一度も言わなかったし、財産目当ての弟夫婦はもっといい人のふりをしていたし、そもそも大した資産もないのに一体なぜそこまでと思う不条理ばかりだった。親の遺産を少しでも多く貰おう、姉の取り分を少しでも少なくしようと努力した、それと同じ熱心さを持って自分の収入を増やそうとしてこなかったのは何故なんだ。弟よ。

いやでもきっと、こういうベタなストーリーはまともな家庭で生活している大多数の人からは必要とされているんだ。わからないけど今の私の為のものではない事だけは確か。布団の中で電子書籍の棚を見て、急に平山夢明が読みたくなった。文字を読むのもダルいので漫画を読んでみたら凄くハマった。

ぶっ飛んでる

物語はどこにでも居そうな東京の女子が異常な世界へと巻き込まれていく話なのだけれど、日常に唐突に狂気が入り込んで来る感じがなぜかリアル。しかも狂気の度合いがぶっ飛びすぎててもはや笑えるレベル。さっきまで私ばっかりなんでこんな目に…とか思っていたことが完全にばかばかしく思える。

頭のおかしい大金持ちのお嬢様が出てきて、主人公はこの女の趣味に巻き込まれてしまうのだけれど、このお嬢様は事故で四肢の自由を失い頭がどうかされてしまったかた。執事がこのお嬢様のことを「いつしかその御心は浮世の戯言では一切動じなくなり/ただ一つ”狂気”にのみご執心されるように」と紹介するのだが、この言葉に強く心を惹かれてしまってそこから一気に最後まで読んでしまった。全三巻で完結するのもよかった。

ヒロインの魅力

主人公は雑誌の編集者をやっている好奇心旺盛でタフな精神の持ち主。バーで男漁りをしたり、やばい男に出くわしたらぶん殴って逃げ出すし、自分の犯罪を隠ぺいするためにキチガイじみた連中の計画に加担するし、とても善人とは言い難いけれども、同僚の女性が命の危険に晒されたときには命がけで助けに行こうとしたり、キチガイお嬢様が幼少時に受けた手ひどい拷問の内容を知った時には強いショックを受ける程度の良心は持ち合わせている。生き抜くことや今を楽しむことに貪欲ではあるが、自由を邪魔する相手を排除することに躊躇があるし苦しんでいる人を見捨てることはできない。

実際こんな女はいねえよとか言い出したらそれまでなのだが、漫画的でありながら理想化されすぎてもいないちょうどよさがある。この異常な物語の中で、生きる気力と最低限の良心を保ち続けるこのヒロインが、この作品に力を与えている気がする。読んだ私に力を与えてくれた気がする。

なお、エログロ注意

どぎつい描写がたくさんあります。

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