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『バス旅シリーズ』

今夜、テレビ東京系で、『本家、バス旅シリーズ』の女版の『W』の第二弾が放送される。ややこしい言い方だ。どう、手短に適切に説明すればいいか迷う。とにかく、あの、シリーズの番組の本家、三代目だ。
本家は『土曜スペシャル』その他は『水曜パラダイス』の枠で放送されている。水曜のほうは、対決したり、電車に乗ったり、ミッションがあったりと、色々だ。その大本、本家の放送が今夜だ。

初代はゆるくスタートしたように思う。『いい旅夢気分』の亜流のような形だった。太川陽介氏と蛭子能収氏コンビにマドンナゲストを加えた、多少の観光ムードを残しながらの、ぐだぐだした旅であったようだ。私は始まった当初を見逃していた。それには理由があった。
「ニカッ」とした太川陽介氏の笑顔が怖かったからだ。氏の番組を避けて視ないようにつとめていた。が、番組の評判につられて視聴するようになると、不思議なもので『太川スマイル』にも慣れてきて、いつのまにか怖さが消えていた。そればかりか、『バス旅』のファンになっていた。

ファンといっても、太川陽介氏と蛭子能収氏のファンではないから、このコンビを応援するわけではなかったが。(あ、蛭子さんの絵はすきだった)
むしろ心のなかでは太川氏の悔しがる姿を期待しながら視ているところもあった。やがて、初代バス旅シリーズは、蛭子氏の加齢と認知機能の衰えなどもあり、『バス旅シリーズ』は『Z』に引き継がれていった。

『Z』の二人は、俳優の田中要次氏と作家の羽田圭介氏だった。この『Z』シリーズも私はかかさずに視聴した。いいコンビだった。テレビドラマ『相棒』シリーズの二代目相棒を思わせる、こじれた爽やかさが羽田圭介氏にあった。そして、シリーズを重ねる事に田中要次氏がこの番組に真剣に取り組む姿もあった。それが画面から伝わってきた。おそらく、テレビの中に収まらないような喧嘩に近い事もあったコンビから、友情がうまれつつあった。

とくに、マドンナゲストの鈴木杏樹氏と羽田圭介氏の丁々発止は震えるように面白かった。渋々、羽田氏に従う鈴木氏が「私のせいで子孫代々まで恨まれたらたまらない」とか「あのひとの本を私が一生読まなければすむこと」など、いらだった、素の鈴木杏樹氏は千両役者だった。その氏でさえ、クリア出来なかった後「もう一度出たい」と落涙していた。

その『バス旅シリーズ』の三代目が、赤江珠緒氏と三船美佳氏のコンビなのだ。私は初代シリーズの『太川スマイル』同様に『三船スマイル』が怖かった。初回では、まだ『三船スマイル』に慣れる事は出来なかった。バス旅をクリアするしない、どうこうよりも、まず、『三船スマイル』を私が克服しなければならない。『太川スマイル』と『三船スマイル』には、なんの因果があると言うのだ。テレビ東京のスタッフが恐ろしい。

私は、『出来すぎたスマイル』が怖いのだろうか。『出来すぎたスマイル』は、若者の特権ではない。私の内心では『出来すぎたスマイル』は、それ相応の歳で卒業したほうがいいとでも思っているのか。痛々しく思えてしまうのか。これは私の偏見なのだろう。『太川スマイル』を克服できた私が『三船スマイル』を克服できないわけがない。

我々人類の表情の下には、暗渠が流れているのだ。その暗渠を隠すように表情という都市を築く。それが少しばかり両者は『古くさくて過剰』なのだ。そして、その表情の都市が『チバリーヒルズ』っぽいのだろう。テレビ東京のスタッフはわざわざ『チバリースマイル芸』を習得したタレントを起用しているのだ。チバテレビでもないのに。虚を突いた『チバリースマイル芸』に我々視聴者は一瞬たじろいでしまうのだ。そして、その表情の下を流れる暗渠に狂気を感じてしまうのだろう。

ところで、アンミカ氏までいくと視ていられるのは不思議なのだが、それはアンミカ氏が暗渠の上に宇宙都市を築いたからだろう。『ユニバーススマイル芸』までいくと、もうどうでもよくなるのだろう。私は降参するしかないのだ。

さて、私は、『チバリースマイル芸』であるところの『三船スマイル』を克服出来るのだろうか。今夜の放送が楽しみだ。

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