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『グローブの手入れと人類の暗黒史』

冬恒例のグローブの手入れをした。9双ある。皮革製のグローブだけでこれだけある。雨天用の化学繊維を使用したグローブを入れるともっとある。冬用のインナーグローブもある。なんでこんなにあるのだろと考えて見た。写真右下のグローブが私の初バイク用のグローブになる。四国は香川県でつくられた逸品だ。20年以上愛用している。皮革製品は手入れをしっかり行えば、いじょ~なぐらい長持ちするから、減ることがないのです。

極私的な皮革製品の手入れ方法を書いてみたいと思います。あくまで『極私的な』ですが。皮革製のバイクグローブに、うすくメンソレータムを塗るだけの簡単な手入れなのです。冬のはじまりと春のはじまりの、年2回の恒例の手入れ。私は革ジャンの手入れも同じようにメンソレータムでしている。昔は馬油を使っていたけれど、「メンソレータムでもいいのでは?」と思い、使ってみたら私には合っていた。
革ジャンの手入れには諸説ある。一般的にはミンクオイルが主流のようで、私も初革ジャンを手に入れたときには、ミンクオイルを購入した。しかし、ミンクオイルの匂いに私は耐えられなかった。それから、馬油時代があり、それを経てメンソレータム時代を迎えている。

「ハンドクリームでも良いんだよ」とか「いやいや、動物性のオイルじゃないと」とか、それぞれの皮革製品愛好家には、様々な言い分がある。
結局(シミにならなければ)なんでもいいのだろう、皮革製品はタフなのだ。革は一生ものと言うけれど、次の次の世代にも愛用されるようなサスティナブルなものでもある。ただし過保護にし過ぎてはいけない。過保護にし過ぎるとカビが生えることもある。

ときどきブラシで埃を払って、年に2回メンソレータム(潤えばなんでもいい)をぬればいい。私の暮らしている群馬は冬場の乾燥がひどいので、年に2回の手入れをしているけれど、ほかの土地では年に1回でもいいと思う。
それと、冬場になると革内部から白い粉のようなものが表面に浮き出てくることがある。これはカビではない。オイルの小さな粉だ。ドライヤーで温めてあげると溶けてなくなる。カビと間違えて皮革製品を捨てないでください。

こだわればキリがないのが皮革製品の難しいところでもある。馬革には馬油(これはある)。牛革には牛脂(焼き肉ついでにスーパーでタダで)。豚革にはラード(揚げ物ついでにスーパーで買う)。牛革と豚革。それはたぶん嘘だ。そんな話は聞いたことがない。しかし、完全否定はできない。肯定も否定も、常にのりしろを残しておかなければならない。それが大人だ。でも、誰か、試した者はいるだろう。愛好家とはそいう者だ。ある種の狂気を内包している。考えるだに恐ろしい。念のために、私ではありませんよ。

恐ろしついでに申しあげれば、もしかしたら。みなさんが毎日使用している化粧水とか、乳液とかも、人間由来のオイルがいいのかもしれない。恐ろしいけれど。調べる気にもならないので、想像ですが。
人類の長い(残酷で狂った)歴史を考えると、ぜったいに誰か試していると思う。ぜったいにだ。恐ろしいけれど。人間の美への探究心は底知れないものがあるから。
私が言っているのは、マリー•アントワネットが試しに「母乳を肌に塗ってみるわ」ていどのことではない(想像ですよ)。もっとひどい、『魔女狩り』みたいなものだ。『人脂ひとし狩り』みたいなものがどこかの地域であったと思いませんか。ああ、恐ろしい。人類の暗黒史だ。美しさを追い求めた人類の途方もない、徒花だ。

最後に言葉遊びを、人死狩り。火と詩狩り。火都市狩り。ヒトシ狩り。
「ヒトシさんは今すぐ逃げてください」


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