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『起き抜けの夢の残り火』

「ざっくばらんに、らばんばばんば、ばんばらばんばら、ざっくばらんに、ざっくざっく」
突然のプレゼントだった。起き抜けの夢の残り火はこんな言葉を私にくれた。ほんの一瞬スモーキーな香りが枕元でした。「垂らしたか」、昨晩ラジオを聴きながら呑んでいた私と夢の共作のような言葉の連なりは、ラテンの香りと日本昔話のちゃんぽんであり、カクテルだった。

わけのわからない、素敵な言葉の連なりをありがとう。夢の翻訳者でもない私には夢の中身を想像するほか手がないが。わずかな創造を一垂らし。マドラーでくるりと一回りさせてみる。起き抜けの夢の残り火の在りかを、煙る匂いを頼りに迎えにゆく。呑んだ土曜の夜からの夢の連なりが日曜日の朝にあった。休日の贅沢な暇つぶしという訳だ。

「ざっくばらんに、らばんばばんば、ばんばらばんばら、ざっくばらんに、ざっくざっく」
珍しく陽気な私が歌い踊り呆けていた夢だ。
雲狐くもきつねに化かされた私がラテンダンスを披露する。愉快でもなんでもない。寓話でも童話でもない。狐につままれて、泡の雲を呑むような話だ。雲を呑んで雲に呑まれる、そんな話だ。
雲狐にそそのかされた私が踊りながら、ざっくざっく雲を掘ってゆく。雲の切れ間から、さつま芋が見える。雲狐に横取りされる。それだけの話だった。
暇つぶしに夢を迎えにゆく遊びとはそんなものだ。雲にわざわざ呑まれに行ったのだから。煙りにまかれに行ったのだから。狐につままれに行ったのだから。贅沢な暇つぶしだ。


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