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『長い一日』

朝の8時から夕方16時半まで病院にいた。
今日は3週間で1クールの抗がん剤治療の初日だった。1クールの初日は抗がん剤の点滴を入れる日になる。それから、別の抗がん剤を2週間内服する。そして、必ず3週目には抗がん剤を持ち越さない。7日間の回復期間が設けてあるからだ。それで、2クール目に入ることができる。もし、抗がん剤を飲み忘れても、最終週には決して内服してはいけない事になっている。
これが、何クールつづくのかはわからない。なるようになるだろう、としか言えない。

で、早速副作用がでている。手足と口のしびれだ。どんなしびれかというと、宮崎駿監督の『未来少年コナン』を思いだしてもらいたい。コナンが高所から飛び降りて着地した時のビリビリと足下からしびれが身体に伝わる見事なシーンがあったと思う。
ラナ(少女)を抱いていたかも知れない。リアルタイムで作品を見ていた訳でもなく完全なうろ覚えなのですが、なんとなくアレです。

冷蔵庫からとりだした野菜ジュースを飲んだら、喉がしびれて、歯がキーンとなってガクガクブルブルします。常温のチョコレートの一口目も、ガクガクブルブルします。二口目から慣れていきました。基本的に冷たいものに触れるとしびれます。この副作用は数日で治まるそうです。私はこれを未来少年コナンになったつもりで堪える事にしました。

私は、49歳の未来少年コナンです。このガクブルを、『未来少年コナン症候群』と胸に刻みました。『ピーターパン症候群』である私は、『未来少年コナン症候群』にもなった訳です。忙しい私だ。
痛み、しびれ、倦怠感、吐き気、等々の副作用が抗がん剤治療にはつきものなのです。

前回のように、私の頭の中身に副作用が及ばなければ、私は抗がん剤とそれなりにうまく付き合っていけるはずです。それこそが、『ピーターパン症候群』の美質なのです。しかし、『ピーターパン症候群』であるからこそ、初期のがんの兆候を見逃したとも言えます。

くどい説明をしましょう。不安神経症とむずむず脚症候群を掛け合わせると『鬱々不安頭』になります。私はまだその方面の薬も服用しています。『ピーターパン症候群』は一生治らないでしょう。『未来少年コナン症候群』もあります。抗がん剤にもネーミングが必要でしょう。抗がん剤はがん細胞だけを攻撃する訳ではありません。ときに過剰に正常な細胞も攻撃します。
まるでそれは、『天才バカボン』の本官(お巡りさん)のようです。やたらめったらパンパン銃を撃つ、血走った目の、あの、本官です。抗がん剤を、仮に『本官パンパン剤』としましょう。

あ、そうなのか。
私は、『ピーターパン症候群』というより、『バカボンのパパ症候群』のほうなのではないか。そのほうがしっくりくる事に、たった今気がつきました。これからはそれでいきましょう。
文章がとっちらかっています。これは、『本官パンパン剤』のせいです。
「これでいいのだ」


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