seisaku

フリーでライターと3DCGデザイナーをしています。 <経歴> 3DCGデザイナー→ラ…

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フリーでライターと3DCGデザイナーをしています。 <経歴> 3DCGデザイナー→ライター→コピーライター→WEBディレクター→ライター→コピーライター→現在フリーランス。

最近の記事

創作 お題「ききただす」 タイトル:屋上

ききただす 【聞(き)糺す】 疑問点などを当事者に直接聞いて確かめる。 新明解 国語辞典 第七版 P333 *** 受験勉強の緊張感に慣れはじめ、夏ということもありクラスには少しだけ生ぬるい風が漂っていた。といっても、僕はそんな風を感じて何かしらの行動を起こせるようなグループに属しておらず、ましてやそんな行動を一緒に起こす友達さえいなかった。高校に入学してから一度も四季というものを意識したことがなく、気づけば高三の夏になっていた。その夏も去年と一昨年と変わらない夏になるは

    • 咳人の日記

      咳 せき。「咳嗽(ソウ)・労咳・謦(ケイ)咳」 新明解 国語辞典 第七版 P221 これは咳のような声で会話する「咳人(せきじん)」による日記である。 ゴホング:オホホング ゴホッ ゴホゴホ ゴホ カッカッ ンン ウン ウウン ゴホゴホゴホッ  コホンコホン オホンオホン コホコホ ゴホホホ ンウウン アー カー ンカ ウプ ウンウ ウンボ コホコホコホ アーッパ ウーウー コココ カ カ コ ホ ホンホン ウグ ングング ググン コホ   ウン ウウン ゴホゴホゴホッ

      • 考えない人は簡単にコントロールされてしまう ー1984年(ジョージ・オーウェル)を読んでー

        「1984年」は1949年にジョージ・オーウェルによって書かれた小説だ。タイトルの通り、1949年当時からみた未来である1984年の世界を描いている。  とある革命によって民主主義が崩壊し、社会主義、全体主義が色濃くなった世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアという三つの地域に分断された。本書ではオセアニアが舞台となっており、このオセアニアを支配するのが「ビッグ・ブラザー」と呼ばれる指導者だ。  この本をどういう視点で語ればいいのだろうか。僕の頭に浮かんだは「監視」「

        • 「SDGs」と「人類の進歩と調和」

          SDGsという言葉を最近よく聞く。「エスディジーズ」と読み「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」と訳す。2015年に国連で採択された。 SDGsの大まかな内容について、外務省のホームページにあるPDFにはこう書かれてある。 1.貧困や飢餓、教育など未だに解決を見ない社会面の開発アジェンダ 2.エネルギーや資源の有効活用、働き方の改善、不平等の解消などすべての国が持続可能な形で経済成長を目指す経済アジェンダ 3.地球環

        創作 お題「ききただす」 タイトル:屋上

          『なんでも鑑定団』が面白いお店

          飲み屋にテレビは必要か。以前の僕なら「いらない」と即答していた。入った飲み屋にテレビが置いてあると「オレはテレビを見に来たんじゃない、酒を飲みに来たんだ」と心の中で毒づいていた。酒と真摯に向き合っていない、友達との会話の邪魔になる、そんな理由で飲み屋にあるテレビを敵視していた。 お酒の楽しさを知った二十代前半、僕はお酒を神格化していた。お酒は楽しいもので、飲めばいろんな問題を解決してくれる。そんな神聖なお酒の場に俗世界の最たるものであるテレビを置くなんて。同じような理由で立

          『なんでも鑑定団』が面白いお店

          それが落ちているだけで

          道に落ちているものに興味を示すのは小学生ぐらいまでだろう。分別がつく年齢になると何が落ちていようが関係ない。財布やバッグなど自分に役に立ちそうなものなら拾うかもしれないがそんなものが落ちていることは滅多になく、落ちているもののほとんどがゴミや役に立たないものだ。 その役に立たないものを見て何か考えることはないし、次の瞬間には何が落ちていたかも忘れてしまう。 しかし稀になぜそこにそれが落ちているのか考え込んでしまうこともある。 僕が勤めている会社は東京でも有数の歓楽街にあ

          それが落ちているだけで

          ロックマンをマリオのようにプレイしてはいけない〜ロックマン完全制覇プロジェクトを終えて〜

           勢いでニンテンドースイッチを買った。プレイしたいゲームがあったわけではない。何か僕の琴線に触れるゲームはないだろうかと検索していたところ「ロックマン11」を発見し驚いた。何に驚いたかって、ロックマンが11作品目であるということよりもすでに10作品以上も出ていたことにだ。  「ロックマン11」はロックマン誕生30周年記念作品として2018年に発売されていた。 そうかあれからすでに30年も経つのか。 ●ロックマンとの出会い  初代ロックマンが発売されたのは1987年

          ロックマンをマリオのようにプレイしてはいけない〜ロックマン完全制覇プロジェクトを終えて〜

          サウナ小噺「十二分」

          大抵のサウナ室の壁には十二分時計という特殊な時計が掛けてある。十二分時計は時刻ではなく十二分という時間を計るためだけにある。十二分時計には秒針と分針の二つの針があり、秒針が一周すると分針が一つ進む。秒針が十二周すると分針は一周して元の位置に戻ってくる。これで十二分だ。時計の盤面には一から十二までの数字が書かれているので一見すると普通の時計に見える。初めてサウナに入った人はこの時計を見て驚くかもしれない。半日がたったの十二分で過ぎてしまうのだから。  なぜ十二分なのか、このご

          サウナ小噺「十二分」

          縦と横、どっちがわくわくするか

          事故や災害などのニュースで最近よく目にするのが視聴者提供の動画だ。スマホの普及によって誰でも動画を撮影できるようになり、一人一人がニュースの発信者になれる。テレビ局もカメラマンを派遣することなく、直後の生々しい映像を提供してもらえるので重宝していることだろう。  そんな視聴者提供動画を見ていてふと思ったことがある。ほとんどが縦動画なのだ。スマホが縦だから縦動画なんでしょ、と言われればそれまでなのだが、普段の生活で見ている映像はテレビや映画などそのほとんどが横動画だ。テレビに

          縦と横、どっちがわくわくするか

          「人生を研ぎ澄ませろ」破獄を読んで

          もし何か罪を犯して刑務所に入ったとする。そのとき脱獄しようという気持ちになるだろうか。おそらくならないだろう。デジタルキー、監視カメラ、分厚いコンクリートの壁、現代の刑務所の警備がどのようなものなのかは知らないが、精一杯の努力を尽くしたとしてもその警備網を突破することは不可能に近い。  だが、もし時代が昭和の戦前、戦中、戦後の時期ならどうか。今のようにテクノロジーも発達していない。ましてや国が戦中の混乱にある。もし「チャンス」と「やる気」があれば、脱獄するだろうか。この本は

          「人生を研ぎ澄ませろ」破獄を読んで