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[生成AI体験談] 肉まんと餡まんとピザまんの三角関係

 このところ自宅マシンに導入可能なローカルLLMの選択肢が増えて話題となっている。どちらかというと企画屋である身としては、世界トップのコンサルティング企業と言えるマッキンゼーが導入していたCohere社Command R+ LLMが脚光を浴びており、周囲も含めて国内企業はこんなに呑気で大丈夫なのだろうかと気がかりにもなる。
 しかしそれはそれ。
 ローカルLLM (生成AI) は野良エンジニアとしては面白いけれども、人生を生きていくためには、自分や家族が生成AIを効果的に活用できることが重要となる。そんな訳で小説方面を検討しているチームがあったので、小説ネタを生成AI (Copilot) に考えて貰った。安直だけれども最近は崎陽軒が新発売したトマトチーズ饅にハマっているので、『変わった小説ネタ』という活用方法になる。

肉まんとアンマンとピザまんの三角関係をテーマにした悲恋の物語をお願いします。

Microsoft Copilotへの入力

なんで三角関係にしたのかというと、単純に肉まん、餡まんがあったところに、ピザまんが新登場して三種類になったからだ。Copilotからの返答は下記の通り。

肉まんは、ふっくらとした皮で包まれ、中にはジューシーな肉が詰まった美味しい料理。アンマンは甘くて香ばしいパンで、中には甘いクリームが入っている。そして、ピザまんは、ピザのようなトッピングが乗った肉まんのバリエーションだ。

ある日、肉まんとアンマンは同じ食べ物の世界で出会った。肉まんは温かく、力強い性格で、アンマンは甘くて優しい性格だった。彼らはすぐに意気投合し、一緒に過ごす時間が増えていった。

しかし、ある日、ピザまんが現れた。彼は肉まんとアンマンの間に立ちはだかり、三角関係が始まった。肉まんはピザまんの斬新なトッピングに魅了され、アンマンはピザまんの甘い香りに惹かれた。

三人は一緒に過ごす時間が増え、やがて愛が芽生えた。しかし、三角関係は複雑で、肉まんとアンマンは互いに心を痛めた。ピザまんはどちらを選ぶべきか迷っていた。

ある日、ピザまんは決断を下した。彼は肉まんとアンマンに別れを告げ、新たな冒険に旅立った。肉まんとアンマンは涙を流し、互いに手を取り合った。

彼らは三角関係を乗り越え、愛を育てることを決めた。肉まんはアンマンに「君は私の甘い一部だ」と言い、アンマンは肉まんに「君は私の温かい一部だ」と答えた。

そして、彼らは一緒に幸せな日々を過ごし、三角関係を乗り越えて愛を育てたのだった。

肉まんアンマン、そしてピザまんの三角関係は、食べ物の世界での悲恋の物語として語り継がれている。

Microsoft Copilotの回答

 これ、一部の関係者にエラく受けてしまった。短編系ではよくあることだけれども、やはり食べ物を擬人化するSFコメディチックな設定は興味を惹かれることが多いためだろうか。(ここら辺もCopilot氏に分析して貰うと面白いアイディア)を得られるかもしれない。

 ところでここで面白かったのは、過去に受験に関する小説を作った時のように、今回も前向きな結末で終わったところだ。ピザまん、あっさりと身を引いてしまったのね。
 どうもここら辺は学習に使用された小説の影響もあるだろうけれども、Microsoft側で前向き回答になるようにプログラム的な制限を掛けていそうな気がする。CopilotはMoE (Mixture of Experts) といって複数LLMを統合させた最近流行のLLMなので、もしかしたら前向きな回答を返すようなLLMが指導権を握るとか、チェック用のLLMが存在しているのかもしれない。

 それからこちらはどーでも良い話だけれども、どうもCopilot先生は肉まんなどを正確に把握していない。「肉まんの画像を描いてください」とやったら、ハンバーガーのようなものが描画されてしまった。おまけにピザまんは『肉まんの上にピザのようなトッピングをした存在』だあ?
 そもそもピザまんなるものをご存じないらしい。

「肉まんの画像を描いてください」

 そういえばマジンガーZという子供向けロボットアニメに登場するジェットパイルダーに関して質問したら、どんぴしゃな説明を返してくれた。RAGとしてWikipediaを参照したとのことだから、まあそうなるかな。

 だいたい今回の話は以上となる。そうそう最後に一つだけ。
 どうも周囲には生成AIに小説を執筆させようとする人が多いらしいけど、個人的にはあまり興味は持っていない。もちろん僕のような三文作家以上の文章を生成することは可能(特にCohere社Command R+ LLMはすごい)だろうけれども、そこが限界だ。
 それよりもマッキンゼーではないけれどもアイディア検討とか、面倒な校正作業といった方面で活用することに興味がある。星新一賞を受賞した生成AI作家も言っていたけれども、「我々は監督で、生成AIはスタッフの役割が似合う」というコメントが全てを表わしているかと思う。「ディレクターとしての能力が生成AIでは重要だ」という人もいるし、原稿用紙を埋める作業はプロットを作成してから執筆する者にとっては、末端管理職の作業に近くなる。そこだけせっせと頑張っても、残念ながら成果物(作品)には大きく影響しないような気がするんですよねえ。

 それでは今回は、このへんで。ではまた。

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記事作成:小野谷静(オノセー)

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