最後に「また」と彼は言った
彼の家を出て、車に乗る前「じゃあ、また」と声に出した。
「はい、また」
寝起きのかすれ声が聞こえたけど、私は彼の顔を見ることは出来なかった。
彼は転勤族。辞令が出て、明日このアパートを出る。そして、帰郷する。
「また」というあいまいな口約束ではこわくて、確固たる何かが欲しくて、私は言葉を続けた。
続けてしまった。
その言葉を思い出しては、心を沈め、夜になっては私を呪っている。いまも。
もう、連絡は来ないかもしれない。
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