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「世界はジャズを求めてる」2022年1月第1週(1月6日)放送分スクリプト(出演 村井康司)#鎌倉FM

テーマ曲:What A World Needs Now Is Love/Stan Getz

こんばんは、毎週木曜午後8時からお送りしている「世界はジャズを求めてる」、第一週は音楽評論家の村井康司がお届けします。
番組の感想、リクエストなどは、鎌倉FMホームページの送信フォームや、ツイッター、フェイスブックなどでどしどしお寄せください。ツイッターでは、ハッシュタグ「#世界はジャズを求めてる」を付けていただければ助かります。また、Noteにもこの番組のページがありまして、番組の選曲リストや概要などをご紹介しています。Noteで、「世界はジャズを求めてる」で検索していただければ、私たちのページをご覧になることができます。そちらもよろしくお願いします!

みなさま、あけましておめでとうございます。2021年1月7日に始まった「世界はジャズを求めてる」、おかげさまで1周年を迎えることができました。5人のパーソナリティにとって、電波とインターネットでたくさんの方々が楽しんでくださっておられることが何よりの励みです。今年も張り切っていろんな曲をご紹介しますので、なにとぞよろしくお願いします。
というわけで、新年にふさわしい曲をまずおかけしたいのですが、ジャズの曲で「お正月」にちなんだタイトルのものって少ないんですよね。見つけてきたのが、パット・メセニーが2012年にリリースしたアルバム『Unity Band』の1曲目、「New Year」です。

M1 New Year / Pat Metheny

パット・メセニーのアルバム『Unity Band』から「New Year」でした。メンバーは、メセニーのギター、クリス・ポッターのサックス、ベン・ウィリアムスのベース、アントニオ・サンチェスのドラムスです。

今日はしりとり形式で曲をおかけしますね。次は、アントニオ・サンチェスの2014年のアルバム『Three Times Three』から、セロニアス・モンクの曲「I Mean You」をどうぞ。

M2 I Mean You / Antonio Sanchez

アントニオ・サンチェスの『Three Times Three』から、セロニアス・モンクの曲「I Mean You」でした。テナー・サックスがジョー・ロヴァーノ、ベースがジョン・パティトゥッチ、そしてアントニオ・サンチェスのドラムスというトリオの演奏です。
モンクは私の大好きなミュージシャンでして、彼の書く曲はほんとに不思議なものが多いですよね。私の愛聴盤、ハル・ウィルナーがプロデュースしたモンクへのトリビュート作『That'’ The Way I Feel Now-A Tribute to Thelonious Monk』から、スティーヴ・カーンのギターとドナルド・フェイゲンのシンセサイザーのデュオで「Reflections」です。

M3  Reflections / Steve Khan,Donald Fagen

スティーヴ・カーンのギターとドナルド・フェイゲンのシンセサイザーのデュオで「Reflections」でした。この『That'’ The Way I Feel Now-A Tribute to Thelonious Monk』は、ギル・エヴァンスやスティーヴ・レイシーといったジャズ・ミュージシャン以外に、ドナルド・フェイゲンやトッド・ラングレンなどのロック・ミュージシャンも参加しているところが特徴です。さて、ドナルド・フェイゲンはスティーリー・ダンの中心人物でしたが、スティーリー・ダンがカヴァーしているデューク・エリントンの曲をご紹介しましょう。アルバム『Pretzel Logic』から、「East St.Louis Toodle-Oo」です。

M4 East St.Louis Toodle-Oo / Steely Dan

スティーリー・ダンのアルバム『Pretzel Logic』から、デューク・エリントンの「East St.Louis Toodle-Oo」でした。トランペットのワウワウ・ミュートの演奏を、ギターがワウワウを使って再現するあたりが楽しい編曲です。
というわけで、本物のデューク・エリントン楽団を1曲かけます。エリントンのパートナーとして作編曲に活躍したビリー・ストレイホーンが亡くなった直後に、ストレイホーン追悼作として録音されたアルバム『And His Mother Called Him Bill』から、ストレイホーンの曲で「Raincheck」です。

M5 Raincheck/ Duke Ellington Orchestra

デューク・エリントン楽団で、ビリー・ストレイホーン作曲の「Raincheck」でした。タイトルの「Raincheck」って、野球の試合やイベントが雨天順延になったときに配られる、代替試合を観るためのチケットのことです。昔、この曲の邦題が「雨切符」となっていて、なんだか変なタイトルだなあ、と思った記憶がありますが、邦題をつけた人はちゃんと意味を知っていたんですね。一般的に「またの機会にする」「後回しにする」みたいな意味で使うこともありますね。
ビリー・ストレイホーンの曲をもう1曲聴きましょう。フィル・ウッズの演奏で、バラード「Chelsea Bridge」と、ウッズがエリントン楽団の偉大なサックス奏者に捧げたオリジナル「Johnny Hodges」のメドレーです。

M6 Chelsea Bridge〜Johnny Hodges/ Phil Woods

Phil Woodsの『The New Phil Woods Album』から「Chelsea Bridge〜Johnny Hodges」のメドレーでした。「Johnny Hodges」でサックス・セクションがソプラノ・サックスをリードにして合奏する部分がありますが、これはウッズがすべてのパートを多重録音したものです。このサックス・ソリがかっこよくって、昔ビッグバンドでやったことがありました。40年ぐらい前ですが・・・。
フィル・ウッズが参加している曲をもう1曲。さきほどセロニアス・モンクに捧げるハル・ウィルナーがプロデュースしたアルバムから「Reflections」をおかけしましたが、次もハル・ウィルナーがプロデュースしたドイツ出身の作曲家、クルト・ワイルの曲集『Lost In The Stars-The Music of Kurt Weill』から、カーラ・ブレイのバンドにフィル・ウッズが参加した「Lost In The Stars」です。

M7 Lost In The Stars / Carla Bley with Phil Woods

ハル・ウィルナーがプロデュースしたクルト・ワイルの曲集『Lost In The Stars-The Music of Kurt Weill』から、カーラ・ブレイとフィル・ウッズで「Lost In The Stars」でした。ハル・ウィルナーはモンクやワイル、チャールズ・ミンガス、さらにはディズニー映画曲集などを、ジャンルを超えた豪華なミュージシャンを集めて制作した、非常に才能のあるプロデューサーでした。惜しくも2020年4月に、コロナウィルスに感染して亡くなってしまいました。64歳でした。
カーラ・ブレイの曲をもう1曲かけましょう。彼女のリーダー作『Dinner Music』から、カーラの代表的な曲のひとつ「Ida Lupino」です。

M8 Ida Lupino / Carla Bley

カーラ・ブレイのアルバム『Dinner Music』から「Ida Lupino」でした。Ida Lupinoはアメリカの映画女優の名前です。1930年代から50年代にかけて活躍し、女性映画監督の先駆者でもありました。この『Dinner Music』というアルバムは、フュージョン・バンドの「スタッフ」が全面的に参加していまして、カーラ・ブレイの作品ではいちばんポップなサウンドですね。
さて、今日の最後は、カーラ・ブレイの元夫、ピアニストのポール・ブレイです。ポール・ブレイはかなりフリー・ジャズ寄りの音楽も演奏しますが、どんなことをやっても妙に色っぽいというか、耽美的な音がするのが不思議です。ポール・ブレイがスタンダード曲を演奏しているアルバム『My Standard』から「I Can’t Get Started」をお聞きください。

M9 I Can’t Get Started / Paul Bley

今聴いていただいているのは、ポール・ブレイの「I Can’t Get Started」です。「世界はジャズを求めてる」、 1月第一週のお相手は、音楽評論家の村井康司でした。来週の進行役は、音楽書籍編集者の池上信次さんです。
では今年も毎週木曜午後8時から、鎌倉FMにチューンインを! またお会いしましょう!

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世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。

進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。

鎌倉FMの周波数は82.8MHz。
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