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Morocco 2: 怒鳴るお客さま、迫る出発時間、焦る姉妹。ついに始まる。

姉妹でアフリカはモロッコを旅する話、2回目。アフリカの厳しさを舐めきっている妹を尻目に、アフリカとの再会を一人ドキドキしながら迎える姉(つまり私)。どんくさい姉妹の旅は続く。

舐めんな。アフリカを!

4月6日渋谷発の成田エクスプレスに乗った。渋谷駅の成田エクスプレスが発着するホームはあまりに遠く、遅刻するのではないかと不安に襲われた。

妹とは車中で待ち合わせ。品川駅から彼女が乗ってきた。海外へ一緒に行くことはあまりない。ウキウキすると同時に、緊張もする。飛行機は良いけど、なにせまた、あのアフリカ大陸へ向かうのだ。かなり前にウガンダを訪れたこと、それから2010年のモロッコ、今度で3回目のアフリカ大陸。ああ、あの押し寄せる生命力にまた立ち向かうのだ。少しうざい、でもなんかやめられない。

一人不安に駆られるのも癪(しゃく)なので「なめんな、アフリカを!」と妹に何度も言い聞かせたが、妹はまるで何も感じていないかのように笑っている。コイツは、各種スケジュールの準備も言わないと何もやらず、絶対に舐めている。思い知ることになるに違いない…うかうかしてたら、どんな痛い目に遭うことか!

探偵物語な気持ち

成田空港第2エアターミナル。さすがに古びているのだけれど、それでもやはりここに来ると気持ちが跳ねる。大好きな松田優作と薬師丸ひろ子のキスシーンを思い出す(←年がわかる)。また飛行機に乗って、新たな土地へと向かうのだ。そして、思うのだ。もう二度と帰れなかったりして。ちゃんと会うべき人に会ってからここに着たっけ? と。少しだけ切ない気持ちになる。こういう旅の心もとない感じも好き。

(なかなか東京を離れられないな…成田は千葉だけど)

王様の飛行機、王様の空港、天上界を夢見る

飛行機に乗りこんだ。真夜中の便。飛行機が好きだ。この時はカタール航空だった。今回は、旅人2人のうち1人先に帰るというちょっとイレギュラーな日程だったので、HISに飛行機はお願いした。1人往復20万くらいだったと思います。中東の飛行機が好き。エミレーツとかカタールとか。さすが王様の航空会社。ご飯もそこそこ美味しいし、お酒も飲めるし。CAさんたちからの変な差別感もないしね。

トランジットのドーハのハマド国際空港は新しく、デザインが面白い。建築関係に勤めている妹は大興奮で写真を撮影しまくっていた。頭の上を電車が走ったり、頭をもたげた巨大なクマがお迎えしてくれる。ただし、カフェオレは恐ろしく高かった。普通のサイズが46カタールリアル≒1400円くらいした。鼻血がでるかと思った。日本は貧しい国であることをまたしても実感する出来事であった…

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ピカピカの空港で大満足なのだけれど、乗ったクラスによって、ハマド国際空港は、完全に階が違う。もちろん私たち姉妹は、エコノミーなので窺い知ることもできないが、エスカレータを昇ってなかを覗き込んだところ、何やらみやびな世界が広がっていそうだった。あの階へいければ、王様を見れたのだろうか?いや、ファーストはさらに上階があったように思う。 いやいや、きっと王様にはさらに王様の階がありそうな気がする。天上界行ってみたーい。見るだけでいいのに~。

砂漠の月、砂漠の太陽

前回、一人でモロッコに行った時は、まだハマド空港は建設途中だった。ちょうどついた時は夜明け前。飛行機の窓から外を見ると、海を照らした月の光が一筋の道のように海を照らしていた。海に引かれたその月の道が途切れるところ、それが海と砂漠の境界だった。その光景は私にとってかなり強烈な印象を残した。空港についてしばらくすると徐々に夜が明けてきた。窓際に知らない人たちが集まってきて、砂漠に陽が昇ったときに、そこかしこから拍手がおこった。同じように皆、旅を祝福しているようで、何かすごくうれしかったことも忘れられない。他の人にとってはたいしたことではないことが、ふとした瞬間に入ってくる。

ちなみに、今回も朝方の到着だったけれど、日の出のシーンには出会えなかった。妹にも味合わせたかっただけれど。残念。

ドーハのトランジットは、カタール航空が出している素晴らしいアプリがあって、それさえ入れておけば、なんの不安もない。搭乗口の変更はもちろん、今自分がいる位置からどのように搭乗口まで移動できるか、どこに何があるかといったことが分かりやすく示される。チケットもそのアプリを使えば表示されるので、携帯の電池残量さえ気をつけていれば、デジタルで進めた方が楽チンだと思う。手元でいつも状況を確認できるのは、ものすごく安心だ。飛行機にはUSB電源が大体あるので、アプリの使用を強くオススメしたい。

そんなわけで、飛行機に関係している間は、最後に荷物が無事受け取れればそんなに問題もなく、楽しく心穏やかに過ごした。

怒鳴るお客さま、迫る出発時間、焦る姉妹

カサブランカの到着予定時刻は15時40分。今日はマラケシュのリヤドを予約してある。カサブランカからはいくつかの行き方が考えられる。たぶん、安くて簡単なのはバスだと思う。私たち姉妹は電車好きだし、二人でいるときは公共交通を攻めたいので、むちゃを承知で電車で4時間かけてマラケシュまで向かうことに決めていた。飛行機はほぼ定刻に到着。電車は17時32分発。

これなら間に合うはず、と思っていたこともつかの間だった。イミグレーションが異常に混んでいて、1時間以上の時間をここで費やすことになった。来たよ。あの電車を逃すと、2時間後の出発になり、マラケシュにつくのは24時を過ぎることになる。嫌だぁ。さすがに怖いよぅ。なんとしてでも、17時の電車に乗るのだ。

入国審査などを済ませ、空港のATMで銀行からお金を下ろす。ちなみに1度に下ろせる金額には制限があり、1日に2000DHまでだ。急いで電車のONCF(Office National des Chemins de Fer)へ進む。標識にそって進み、地下のチケット売り場へついた。自動販売機と人が直に売ってくれる売り場がある。間違えると嫌なので、迷わず人のいるところに並んだ。私たちの前に4組くらいの人たちがいた。

1組進んだところで、自販機を使っていた人が大きな声で怒鳴り始める。どうも自動販売機がトラブルのようだ。やはり自販機にしなくて良かった!と安心したのもつかの間、チケットを売っていたお兄ちゃんにお客さんが文句を言いにきて、そのまま自販機へチケット販売人のだた一人のお兄ちゃんを拉致していった。すでに出発まであと15分くらいになっている。それなのに自販機の前で、もたもたとやりあっている。ううぅ。ヤバいよ。

早く帰ってこいオーラを並んでいる人間たちで出すこと5分(届いていないことは自明の理だ)。周囲の怒りは頂点に達し、前の方の人たちが罵声を浴びせた。売り場のお兄ちゃんはついに自販機の件で文句を言っている人を売り場まで連れてきて対応。やっとこの列の処理が始まる運びになった。始めから連れてくれば良いのに。

一等車は全席指定なので、無論一等車狙いだ。ところが、一等車はすべて売り切れで、2等車しか取れなかった。チケットは手書きで何が書いてあるのかよく分からないが、好意的に読めばマラケシュに行けそうだった。大丈夫なんだろうか。しかし、もう電車の出発まで時間がない。チケットを雑に受け取り、スーツケースを引きながら走る。電車はすでにホームに停泊していた。しかし、チケット売り場から電車の場所までは距離があり、なおかつ車両間は移動できないので、2等車まで行かねばならない。ほぼ衣類しか入っていないので、軽いのだがデカい。貧乏性で心配性な性格上、とにかく必至で走る。妹も必至の形相でついてきている。

IMG_1829のコピー

ONCFのチケット。カサブランカの空港から、マラケシュまで。2人で276DH≒3056円(20200712レート) 1人1500円くらいなんだな。旅のノートをつくり、旅のレシート貼りから、現地の人々との筆談、1日の出来事の日記までこの旅ノートに書き込むようにしている。

ビビる妹。ついに洗礼が始まる

するとどこからか伴走する青年が現れた。さらにその青年は、「大丈夫か、手伝ってあげるよ!」となんとスーツケースを引っ張っていってくれた。始めは泥棒かと思ったらしい妹も、スーツケースを引いて走ってくれる青年の姿に途中からは信じ、さすが異国の方は違うよと思ったようだ。1等車の車両を超えて、後方に連なる2等車へと急ぐ。なんとか2等車の入り口にまでついた。車両に上がるためには3−4段くらいの階段を上がらねばならない。これ上げてくれたら、お御礼にチップ渡そう。そんなことを考えているときに、彼は言った。

「これ以上、運ぶためにはお金が必要だ」

ああ、来たな。いや、言わなくたって御礼するつもりだったよ…。始まったよ。この感じ。でも階段の上まで上げるのは面倒なのでお釣りで握っていた20DHを渡す。彼はにこやかにスーツケースを2個持ち上げてくれた。今日のレートでたかだか221円なんだから良いじゃんと思うこともできるのだが、なんとなくチップの習慣がない上に、要求されたので釈然としない(しかし、日本円を書くと超自分がちまい人間に思えるな)。要求しなければ美談で終わったのに。しかも気持ち的にはスマートにお渡しする気持ち満々だったのに! 妹はこの様子を目を丸くして見ていた。妹よ、これがここのやり方だ。荷物盗まれなかっただけ良かったと思え。しかも、ここで渡さなければ、ケンカだったんだぞ。そりゃあ、面倒なんだから。

これから全うに行けば4時間、電車の旅は続く。このままで終わるはずもなかった…

(…もちろん、モロッコの話は続く…)

P.S. 科学ネを入れるのを忘れたことに気がつく。まぁこれはこれで上げてみるか。

■電車 ONCF
時刻表調べ
http://www.oncf.ma/Pages/Accueil.aspx





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