見出し画像

プペルバレエのお金の話

みなさま、こんにちは。
関 巴瑠花(せき はるか)と申します。


普段は、会社を経営しつつ、バレエ教師をしたり、バレエ「えんとつ町のプペル」の製作総指揮をしたりしております。


バレエとかかわる人(バレエを踊る人、観る人、支える人、応援する人)が、もっともっと増えてほしいという夢に向かって活動をしております。
詳しくはこちら

チケットノルマってありますか?


プペルバレエに出演が決まったダンサーさんからこんな質問を受けました。

オーディション募集時には、チケットノルマがないことを記載していましたが、「新作で、しかもバレエ団ではない組織で、チケットノルマがないなんてあるのかな?」と思っていたようです。

私はこのプペルバレエ製作にあたり、

  • チケットノルマはつくらないこと

  • 役によらず全員に報酬を出すこと

  • 稽古代をお支払いすること

この3つを決めました。

文字で書くのは簡単ですが、これを実行するのは本当に至難の業です。

バレエは、多くのダンサーが様々な役で舞台を構成してくれるおかげで作品が成り立ちます。

つまり出演者の数が多いのです。

1人の報酬が少額であったとしても、全員×(リハーサル回数+本番)となると、目が飛び出る金額になります。

この3つをチケット代だけで達成することは困難で、製作側の新しい試みが必要になります。

正直、恥ずかしながら、昨年はこの覚悟ができておりませんでした。

もちろん全員に報酬をお支払いしたいと思っていましたが、公演が不発に終わり雀の涙ほどになったらどうしよう...これを報酬があると口にしていいのだろうか...

そんな思いが先行し、昨年のオーディション案内にはコールド(群舞)役の給与を明記していなかったので、炎上してしまいました。

バレエ関係者の方々には、「気にすることないよ!チケットノルマがないだけですごいことなんだから!」と慰めてくださる方もいました。

しかし、ダンサーを目の前にして、日々の鍛錬やこれまで積み上げてきた技術を見ていると、やはりこのままではいけない!と心の底から思いました。

チケットノルマなしにお客さんを呼ぶこと、全ダンサーに報酬を支払うこと、稽古代を支払うこと。 

これは私の夢への通過点でもあります。

「出演料も払って、稽古代も払うなんて、夢物語だよね」

「ま、理想だよね。現実はそんなに甘くないよ」

そんな助言もいただきました。

私もこの言葉で自分の夢を封じ込めようとしていました。

しかし、ふと気がついたのです。

夢に向かって自分の足で最初の一歩を踏み出さないかぎり、夢には近づけない。

子どもたちの夢を応援するバレエ教師の私が、自分の夢に向かうことを怖がっている場合じゃない!

正直、膝が震える思いです。

でも、ようやく覚悟が決まりました。

舞台をつくるスタッフが心から喜んでイキイキと仕事をしてくださることで、ダンサーが踊る舞台が作られること。

その舞台上で踊るダンサーが命をかけて踊ってくださることで、最高の作品に磨き上げられること。

製作側、演者、みんなが一丸となって、素晴らしい作品をお届けすることこそ、時間とお金をかけて観にきてくださったお客さんへの最大の感謝だと思います。

そんな温かい循環を生むキッカケとして、私はお金の問題と向き合うことにしました。


チケットノルマという仕組みに想いを馳せる


チケットノルマやダンサーへの給与の少なさに対して、批判的な声が大きいです。私も改善されていくべき仕組みだと思っています。

しかし、私はこのような批判は片手落ちで、他国と比較して一方的に非難するような仕組みではないと感じています。

なぜなら、国からの支援が少ない異国の文化が、これほどまでに日本に根付いたのは、この仕組みのおかげでもあると思うからです。

踊る舞台があることが当たり前ではなかった時代から(今もそうかもしれません)、製作側とダンサーが一丸となって、身を削って今のバレエ界を築いてきてくださいました。

「ダンサーから搾取してやろう」なんて思う製作側はおそらく1人もいなくて、「こちらも舞台をつくるために精一杯頑張るよ!でもお客さんがいないと舞台は成り立たないから、チケット売るためにみんなの力も貸してね!」という1つのチームだったからこそ、すばらしい舞台が積み重なってきたはずです。

そして、踊る舞台がたくさんあったからこそ、素敵なダンサーがたくさん生まれて、ダンサーを目指す子どもたちがたくさん増えて、日本がバレエ人口世界一と言われるほどに成長したのだと思います。

逆説的ですが、異国の文化を「給与が少ない!」と批判がでるほどに、日本に根付かせてくれたのはこの仕組みがあったからこそ。

「バレエ界は閉じていて非常識!」というよりは、バレエが文化として日本社会に根付いてきたからこそ注目されるようこなった問題であり、どちらかというと「日本のバレエ、絶賛成長中」であって、その過程にとって、なければならかった愛のある仕組みだったのではないでしょうか。

私はバレエに人生を支えてもらいました。ここまでバレエをつないで大きくしてくださった先人の方々の想いと行動に、敬意と感謝しかありません。

身を削って、血を流しながら、バレエをつないできてくださった先人たちのバレエへの愛情と行動に敬意と感謝をもって、次の世代により良いかたちでつなげていきたい。

すべては変わらないかもしれないけど、キッカケをつくることはできるかもしれない。

その一端を担うために、私も命懸けです。

そして、これを実現するためには、お金の問題と真正面から向き合う必要があります。

「ビジネス臭がする」と非難されることもあり、怖い気持ちもありますが、私は私の信念にしたがって行動し、勇気をもって説明し続けることにしました。

これからプペルバレエのお金の話についても記事を投稿していきます。

最後に、以前書かせていただいた私の夢をいくつか再掲します。
(全文はこちら)

✳︎

日本にいるバレエダンサーが、アルバイトをしなくてもバレエダンサーの仕事だけで食べていける世界になること。

バレエダンサーが副業を探さずに、踊ることに専念できること。

ダンサーにチケットノルマがなく、心から出演を喜べること。

バレエを習う子どもたちが、「食べていけないから」と将来の生活を心配せずにバレエダンサーを目指せること。

子どもたちがバレエダンサーになりたいと言った時、親御さんたちが心から応援できる世界になること。

日本人ダンサーが日本でプロになりたいと思えること。

海外のダンサーも日本でプロになりたいと思えること。

✳︎

私は今度こそ、夢にむかって進みます。


関 巴瑠花(せき はるか)



🌟プペルバレエの制作過程が見られます
★プペルバレエ公式noteはこちら
★プペルバレエ応援Facebookグループはこちら

🌟公演に関する詳細情報が載っています
★プペルバレエ公演情報はこちら
★プペルバレエ公式ホームページはこちら

🌟ぜひフォローお願いします☺
関 巴瑠花Instagram
関 巴瑠花Twitter
プペルバレエInstagram
プペルバレエTwitter


この記事が参加している募集

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?