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アメリカ・カリフォルニア州でつくられる地元で愛されるSAKE(日本酒)Sequoia sake(セコイヤサケ)

「アメリカ・サンフランシスコの醸造所、Sequoia Sakeのテイスティング会をサケストリートで開催することになりました。酒米の生育から本格的なサケ造りに取り組むご夫婦(ジェイクさん、紀子さん)がいらっしゃいます。 国内の日本酒関係者に声をかけています。関さん来ませんか? 」と、サケストリート二戸さんから連絡をもらいました。

そりゃあぜひぜひ、とふたつ返事で、日本酒ジャーナリストの木村咲貴さんと、サケストリート二戸さんが企画した「Sequoia sake(セコイヤサケ)テイスティングイベント」に参加してきました。

日本酒の生酒に惚れこんだけれど、なかなかアメリカでは飲めない。それならば…と2016年、夫婦(亀井紀子さん、Jake Myrickさん)が共同経営で日本酒の醸造所を立ち上げたのが、Sequoia sake(セコイヤサケ)。

今でこそ、アメリカや日本以外の国での小規模SAKE※醸造所は爆発的に増えたけれど、当時はまだ大関、宝酒造、ヤエガキなど、早くからアメリカ参入した日本の酒蔵が主流でした。もちろん酒米の生産や精米所などもまだ整備されていませんでした。日本のように、満足に醸造用具や醸造機器が選んで買えるわけではありません。日本から輸入するとバカ高くつく。。だからみんなアメリカにあるもので転用したり、ワイン機器をカスタマイズしたり、DIYして対応するしかありません。
そんな時代に、IT企業で高給をもらい活躍していたふたりが、夫婦して会社を辞めて、醸造所を立ち上げたベンチャー精神たるや。尊敬します。

亀井紀子さん、Jake Myrickさん夫婦

醸造所:Sequoia Sake(Sequoia Sake Company)
50 Apparel Way, San Francisco, CA 94124 アメリカ合衆国
(415)225-0515

オフィシャルホームページより

現在、小さなウエアハウス(倉庫)で、ふたりで四季醸造、生酒をメインに年間100石ほどを製造。夏場でもそんなに気温が上がらず、湿度も高くないので変わらず醸造ができるそう。暑いときはエアコンを使用。
サンフランシスコやオークランドなど地元を中心に販売しています。愛した日本酒に敬意を払いつつ、日本の日本酒を追うのではなく、あくまでもローカルの人々に愛されるSAKEを目指しているそう。

左から記念酒(純米大吟醸 雫酒)、Sequoia Genshu、Sequoia Nigori、Umeshu (limited edition)

アメリカ人には漢字のラベルが難しくて覚えられないため、ビジュアルで覚えてもらうために、ウサギやハチドリなど分かりやすい動物のイラストラベルが中心になっています。ローカルに愛される酒を、という信念が感じられます。

①純米大吟醸 雫酒

設立10年を迎えた際につくった記念酒。カリフォルニア産の山田錦50%精米。雫取り。袋吊りをした後は、日本のように斗瓶がないので似たもので代用。その後瓶詰めする。売価50ドルほど。
めちゃくちゃシルキーで、きちんと甘みと旨味がありおいしい。

②Sequoia Genshu(原酒)

セコイヤサケのベーシックモデル。フラッグシップ酒。
アルコール17-18%の原酒。テーブルライスのカルローズ(オーガニック)の60%精米。 紀子さんいわく「カルローズ米は飯米のためタンパク質が多く、発酵の序盤は溶けにくく、後半で溶けるので調整に気をつかっている」とのこと(日本の醸造所でもみんな同様に気を遣っている)。売価32ドルほど

③Sequoia Nigori

微発泡?!舌先にわずかなガスを感じます。カルローズ米を使用(カルローズ米でも色々と種類があるとのこと)。
Jakeさんいわく「アメリカ人は濁りが本当に大好き!なぜかはわからない(笑)とにかく好まれるんだ」。たしかに日本では、酒臭いどぶろくのイメージが強いためか、にごり酒だからといって好まれることが少ないかもしれないけれど、先入観がなければ飲みごたえもあって、米の酒らしい味わいなのかもしれない(日本ではうすにごりはめちゃくちゃ人気がある)。
このSAKEは薄濁りではなく、しっかりにごり。でもべたつかず、甘さもあり、爽やかさもあり、これはアメリカ人じゃなくても好きになりそう。

④Umeshu (limited edition)

Sequoia Genshuと地元の梅を使用。甘すぎず普通に旨い。ローカルの人たちがどういうシチュエーションで飲むのか気になる。

⑤Cask - Bourbon Barrel-aged Sake

純米吟醸原酒を、アメリカンバーボン樽で3ヶ月熟成させた酒。味わいはどこか青い(新しい)印象もありながら、深い渋さもある。ミルク軽めのチョコレートのような奥深い味わいがする。

Sequoia sake夫妻と著者


おふたりが造る酒のレベルの高さにびっくり!オフフレーバーはまったくなし。あとは嗜好の問題。フラッグシップ酒の「原酒」は、低アルコール日本酒が多く流通してきた現代の日本で飲むと、私はほんのすこし力強すぎる印象を受けましたが(真昼だったから?)、参加した多くのプロが「原酒が一番好き」と言ったくらい美味しいものでした。アメリカ人の食生活や味覚を考えるとちょうどいいのでしょう。

紀子さんいわく「カリフォルニアの人たち(特に日本酒に関心を示すような感度の高い人)は、オーガニック、ローカルということに非常に敏感。高級志向になってきている。またアメリカの酒米事情はここ数年で格段に品質向上している」とのこと。

いくつかの話も非常に興味深かったです。勉強になりました。大変貴重な機会をいただきました。いつかはアメリカの醸造所も訪れてみたい。ありがとうございました!

【日本酒マメ知識】※SAKE ーー海外でつくった酒は日本酒とは呼べない
海外でつくった酒は、日本の国税庁が制定した地理的表示「日本酒」生産基準により、日本酒と呼ぶことができないため「SAKE」と呼んでいます。(日本酒と呼ぶためには、原料米が日本産、製造地が日本である必要があります)

【地理的表示「日本酒」】
「日本酒」は、米、米こうじ及び水を主な原料として発酵させて、こしたものであり、その原料及び製法は、「清酒」として酒税法(昭和28年法律第6号)により規定されている。「清酒」のうち、米及び米こうじに国内産米を用い、日本国内で製造したものを「日本酒」と呼称している。

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