Sekomo

約20年途上国を転々とした元開発ワーカー。これまでに暮らし・働いた国はアジア・アフリカ…

Sekomo

約20年途上国を転々とした元開発ワーカー。これまでに暮らし・働いた国はアジア・アフリカ・欧米含めた10か国、行った国は約50カ国。食べることと飲むことが何より好きで、無いものは自分で作る派。https://twitter.com/sekm_81

マガジン

  • ぱきらいふ

    パキスタンでの仕事・生活の様子。 初めてのイスラム社会での開発援助仕事で、毎日新鮮な学びあり。

  • 開発ワーカーの胸の内

    途上国を転々として、相手国政府に技術支援する「開発ワーカー」なる仕事。 何してどんなことを考えているのか、たまにご紹介。

  • あくらいふ

    ガーナ・アクラでの仕事・生活の様子。

最近の記事

自己決定権と慣習の間で。

40代も後半になって初めて入院・手術を経験した。 自慢じゃないが子どもの頃から健康で、途上国を転々とした20年間にも一度も大きな病気をしていないので、この年になって初めての点滴、初めての入院、初めての全身麻酔、初めての手術と、初めてだらけの経験だ。日本のUHC (Universal Health Coverage、国民皆保険や医療への公平なアクセス)の恩恵をこんなに受けたことなどもちろん無い。帰国以来、毎月高い社会保険料にぶーぶー文句言ってて申し訳ありませんでした。 近所の

    • 身も知らずの人に密やかに怒る回。

      先日、TwitterでTK工房さんにパキスタンのことを質問されました。  ​ぱっと答えられるような内容ではなかったので、その時には「後でnote書きます!」なんて返信したが、TK工房さんのnoteに記されたそのアフガニスタン人から聞いたという話が、やはりもやもやしてしまって、なかなか返答できなかった。 こういうとき、ジェンダーを勉強し始めたウン十年前から、全く変わらないストレスを感じて自分でも苦笑いする。TK工房さんも「ジェンダー間での認知の歪みか?」と書いていたけれど、

      • 老親と車とハームリダクション

        先日の池袋での暴走事故以来、同世代の友人たちとの会話の中で、必ずと言っていいほど親の運転免許問題が話題になります。 海外に住んでいると、年に1・2回しか親にも会えませんが、たまにしか会わないがために親の老いにも気付きやすく、自分がいない間に日本で事故や事件を起こさないように、、、と気にする人たちが多いのかもしれません。 去年、私が姉と協力して、父に大きな四駆から軽への乗り換えをさせたのですが、この話は友人たちにも好評なので、ここでもご紹介してみます。 私の実家は、最寄りのバ

        • 業界卒業の準備中

          久しぶりのnoteです。 気がつけば半年ぶりぐらいの更新になっていました。 ちょっとしたきっかけで書く習慣を止めてしまうと、なかなかルーティンに戻れないのを実感しています。 Facebookも、業務以外のメールも、いろいろ書くことが億劫になっていた半年でした。 前回、昨年11月に書いたように「#心が折れた開発ワーカー」になってしまった後も、相変わらずガーナにいて、毎日ため息を吐きながらも淡々と働いています。 が、さすがにこのnoteも含めたSNSに書くのを躊躇うほどに、毎日

        自己決定権と慣習の間で。

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        • ぱきらいふ
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        記事

          #心が折れた開発ワーカーはどうする

          ガーナに着任してちょうど2か月が過ぎた11月13日未明、私の住んでいるマンションで連続盗難事件があり、就寝中だった私の部屋にも入られて、買って3か月しか経っていないMacbookと、ATMで出金したばかりの現金約5万円が盗まれました。外国人駐在員も多く住む、アクラ市内でも安全と言われている地域にある物件で、常駐のセキュリティガードがいて、敷地内にはCCTVもあちこちにあるのに起こったこの事件。 マンション内の内廊下に飾り窓がある9部屋全てに入り、うち私の部屋を含む3軒から現金

          #心が折れた開発ワーカーはどうする

          日本人に生まれた運。

          バブル末期に大学に入った私は、経済政策を教える担当教授から「あなたたちが戦後・昭和後半の日本に生まれたことは最大の幸運だったのですよ」と言われました。飢餓も紛争も経験せず、教育も医療も基本的平等もあって、共産圏の不自由も強いられることがなかった、と。まだ未成年で、アメリカ帰りで、グローバル市民に憧れていた若き私は、それを聞いて「だからこそ運が悪く途上国に生まれた人たちが、少しでも快適な生活を送れるよう支援したい」と国連職員を目指したわけですが(上から目線がお恥ずかしい・・・)

          日本人に生まれた運。

          あれこれ不思議、ガーナ。

          長く海外暮らしをして、しかも数年刻みに住む国を変えたりしていると、いつの間にか自分のいる国のことを(好き嫌いはあっても)良し悪しでは語らなくなりました。どの国にも良いところも悪いところもあって一概にどんな国かと言えないし、そもそも何に比べて良いか悪いかを判断するのかもわからない。最近では基準になる自分の中の「正しさ」について本人が懐疑的なので、どの国や街に行っても「ここが変」と思うことも少なくなりました。 それでも、不思議だなあ、面白いなあ、予想外だったなあ、というような、

          あれこれ不思議、ガーナ。

          アフリカに帰ってきました。

          noteには久しぶりの投稿です。 パキスタンでの仕事を終えて、日本で3ヶ月間の夏休み(という名目の契約と契約の間の腑抜け期間)を取った後に、西アフリカのガーナにやってきました。 これまでにも南部アフリカで合わせて3年ほど暮らしましたが、西アフリカは数日間の出張で来たことがあるだけ。 文化的にも経済的にもとても多様なアフリカ、これだけ違う国々をアフリカとして一つにくくるのには少し違和感はあるけれど、やはりアフリカに帰ってきたのだなあ、と感じることも多いです。 まずは人々。人懐

          アフリカに帰ってきました。

          2度目のラマダン、D-19

          5月17日からRamadan Mubarak... と人に会うたびに口にして、パキスタンで2度目のラマダンに入りました。今年も去年と同様、職場にローカルスタッフがいる間の平日8~14時(政府に合わせて時短勤務)は私も飲食は控えていますが、経験知というのはすごいもので、14時になれば水・お茶が飲めるから大丈夫という安心感でほぼ普通に過ごしています。 そんなパキスタンでの生活もついに残すところ19日。3週間を切りました。支援していた研修等の活動は無事に全て終わり、私にとっての最

          2度目のラマダン、D-19

          ついに来た、、、と受け入れる。

          先月末から中東・ヨルダンに旅行に行ってきました。 久しぶりに会う友人家族と語りまくり、美味しいものを食べ、砂漠も遺跡も死海リゾートも堪能して、やはり人生に旅は必要だと思った1週間。 こんな楽しみがあるから、時々叫びたくなるほど大変な途上国暮らし・仕事も頑張れるというものです。 さて、そんな旅行中にはたっぷり時間があったため、じっくり物事を考えたり、普段はできない現状分析や将来の計画を立てる良い機会にもなりました。人生後半の生き方、次の仕事のこと、その先の定住地のこと、いつリ

          ついに来た、、、と受け入れる。

          レモングラス茶で一息。

          海外を転々とする生活も約20年、9か国目のパキスタンでの任期は残り11週間になりました。 過酷な暑さが半年近く続く、厳しい夏が始まったパキスタンでは、今週はもう30℃を超えるようになり、自宅でも職場でもついに扇風機がまわり始めています。  長くて厳しい暑さになると冷たいものを飲んでいたのは若き日のこと。常夏のカンボジアやタイに暮らしていた時に、夏バテで体調を崩すことが多くなって以来、ローカルスタッフから勧められて飲んでいたのがレモングラス(シトロネル)や菊花のお茶でした。 

          レモングラス茶で一息。

          ここではない、どこか。

          2週間後に友人ファミリーを訪ねて中東の某国に旅行に行くことになりました。 私にとってはこれまでに行ったことのない国に出かけるのは、出張でもプライベートの旅行でもとても楽しみなことで、仕事の合間に旅行先の情報を集めるのが今の最大の気分転換。 自分で選んで海外・途上国の生活をしているものの、やはり3カ月も経つと自然に「ここではないどこかに行きたい」と思うもので、途上国生活に於いてはリフレッシュも大事な精神衛生管理の術であり、必要不可欠な支出の一つだと感じます。 何十年も海外を転

          ここではない、どこか。

          私、を際立たせる。

          毎週土曜日に、LinkedInから "you appeared in xx searches this week" というメールが届きます。最近、特に職探しをしているわけでもないので、LinkedInのプロフィールページももう1年半ぐらい更新していないし、自分のどんな職歴・スキルがサーチに引っかかっているのか興味もなかったのですが、久しぶりにログインしてみたら面白いことを発見。 先週、14人の組織・個人からのサーチに引っかかったという私の職歴・スキルのキーワードがばらっばら

          私、を際立たせる。

          寿司と指輪は自分で買いたい。

          あっと言う間に2月も最終日。 パキスタンでの仕事・生活から任期満了で帰国するまで、あとちょうど100日となりました。 6月なんてまだ先のことのようだと思いつつも、片道の帰路便E-ticketが送られてくると、もうリアリティをもって残りの日々に何をするかを考えなくてはなりません。 無い袖は振れぬものの、はああ、さすがにあと100日で何が達成できるかと思うと、色々プレッシャーがかかります。 さて本題の寿司と指輪の話。 ちょうど1年前ぐらいに西原理恵子さんが国際女性デーの特集か何

          寿司と指輪は自分で買いたい。

          若手の国際機関就職:あなたの価値は、あなたにはないかもしれない。

          先日、某国際機関の空席ポスト(公募)に応募する、30代前半の方のCVを添削しました。管理職ではないオフィサーレベルの職。一般公募になっているけど、まず内部候補者は両手で数えきれないほどいるんだろうなあと思うほど、修士を持っていて、開発援助や緊急援助などで5年以上の経験を積んだ程度の若手、30~35歳ぐらいまでが対象のポストです。組織のネームバリューにもよるけれど、国連や準国連の国際機関であれば、正職員でこのぐらいの若手レベルのポストが希少なので、軽く300~500人ぐらいが世

          若手の国際機関就職:あなたの価値は、あなたにはないかもしれない。

          日本人書き英語からの脱却に。

          この数年、日本人の書いた英語を手直しする作業が増えています。(日本の組織で働くようになったら不可避な作業…) 皆さんそれぞれ一生懸命書かれた報告書だったり、和文の方は内容も素晴らしいのだけれど、何とも英語が残念なので、私が「仕事で共有・ロゴ入りで印刷されても恥ずかしくない」レベルまで校正することが多くなりました。 国際機関にいた頃は、日本の翻訳業者が出してきた英和訳で使われる専門用語が間違いだらけのお粗末なことに嘆いてばかりでしたが、今は日本人の書き英語の酷さに涙することばか

          日本人書き英語からの脱却に。