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ファシリテーションを考える

立場上、会議やディスカッションをファシリテーションすることが多いのですが、実践しているコツみたいなものを洗い出してみようと思います。

議題を理解する。

会議では、なにか議題があるはずです。
ディスカッションが必要な議題には、必ず何かしらの衝突が伴います。

参加者の認識が違う。
参加者の考え方が違う。
参加者の役務が違う。

こういった様々な衝突が起こりそうな要素を、ファシリテーターは紐解いていく必要があります。
それらが正しく衝突するために、議題が持っている方向性をあらかじめ理解していおく必要があります。
ここで重要なのは、参加者同士の衝突を恐れないことです。
どのようにぶつかるようにするかがファシリテーターの腕の見せ所です。

参加者には感情がある。

参加者は、いまところ人です。(今後AIも参加する可能性はありますが)
人にはおおよそ感情があります。
「やりたくない」「やらされたくない」「無駄な責任を持ちたくない」「仕事を増やしたくない」「アイデアを否定されたくない」などなど、仕事をしていると多くの負の感情が湧きます。
負の感情がぶつかると、大きな衝撃が発生します。
そのため、会議を進行する前後で、出来るだけ負の感情を減らしておく必要があります。

  • なんの精査もなく、発言者が担当者になることはない。

  • 人やお金などのリソースを与えられる担当になることはない。

  • 役職によって発言が無視されることはない。

上記のようなことを、参加者に理解してもらう必要があります。
そのためには、ファシリテーターが参加者を公平に扱う必要があります。
部長や役員といった人でも、変なことを言ってたら「もう少し説明してもらえますか?」と食い込んだり、担当が決まりそうになったら「少し予算とスケジュールに現実性がありそうか考えてみましょう」と促したりします。
これには胆力が必要です。

自分のキャラクターを理解する

いっけんファシリテーションと関係なさそうですが、会議進行をする上で自分のキャラクターに合った立ち振る舞いをするのは重要です。
根が真面目な方が、無理やり楽しく明るく振舞い続けることは難しいでしょう。
逆に、明るく楽しい人が、先輩の真似をしてカッチリしたファシリテーションをするのはそれはそれで限界が来ます。
真面目な打ち合わせも、気軽な打ち合わせも両方できるようになるのがベストですが、自分の性格も踏まえてやりやすいファシリテーションのベースを理解しておくことは重要です。
すべてはそのベースからのアレンジにするべきです。

私の場合、根本的に目立ちたがり屋で話好きなので、意図的に会議中でも適度に余談を入れたり、タイミングを見計らって崩れた話し方をしたりします。
それによって、白熱しすぎた会議の温度を下げたり、上げたりするという感じです。
キャラクターは見た目から始まっていますので、TPOに合わせつつ、自分らしい恰好をしておくのも重要です。

総論合意、各論反対はあたりまえ

地球温暖化は食い止めなければいけない、けど、車に乗らないと生活ができない。
といった、例をとればわかるように、総論合意、各論では渋い回答になるのは当たり前のことです。
そもそも、会議とは各論反対に対してどこで着地をするかを探る場所です。

各論反対に対して、合意を得るためのテクニックは様々あるでしょうが、よくやる手段をいくつか箇条書きにしてみましょう。

・割合を検討する。
A案、B案がある場合、A案をベースにB案の一部を取り込んでも問題ないかを探っていきます。
一部取り込みが難しかった場合、何が難しいと感じたかを言語化してもらうと対案が浮かぶ可能性が高まります。

・中長期スケジュールにしてみる。
明日からやれと言われると難しいけど、来年からであれば納得できる場合はよくあります。
中長期的なスケジュールで実行案を配置していき、無理のない対応を提示してみるのも合意に向けたひとつの手段です。

・反対している人の意見を徹底的に聞く。
反対している人が、負の感情に突き動かされてアイデアを否定していることはよくあります。
その際は、反対意見を徹底的に話してもらいます。
「話す」という言葉は「放す」に語源を持つと言われています(所説ありますが)
負の感情をずっと抱き続けて話続けると、自分の感情を放すことにもつながり、自分の放った意見を自分も聞くことになるので、おおよそ場合徐々に冷静になります。
衝突を軟着陸させるためには、まずは冷静になる必要があります。
感覚的には、水を一杯に吸い込んだスポンジに新しい水が入らないのと一緒です。
これは私も含めて、ほぼすべての人に起こります。
なので、心の中にムクムクと反対意見が湧いてきた場合は、誰かに聞いてもらうと良いと思います。

ファシリテーターは諦めない。

最後は精神論になってしまいますが、議題に対してファシリテーターだけは合意をあきらめてはいけません。
その日では決まらずに、別日で議論となることになる場合もあるかと思いますが、ファシリテーターだけは議論に対する合意と解決に責任を持つ必要があります。
参加者に感情があると書きましたが、参加者全員が諦めかけていても、誰かひとりがまだ奮闘していると、その姿が誰かの心を打つ場合もあります。
ファシリテーターは、心の中に安西先生を置いて「諦めたら、そこで試合終了ですよ」と自分を鼓舞し続ける必要があります。


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